特集「損害保険の闇」を担当した中村正毅です。2023年夏、損害保険業界を揺るがすような特大の不正事案が、2つも同時に顕在化しました。一つは損保大手4社による保険料カルテル(価格調整)です。企業向けの火災保険などで、大手4社の営業担当者が水面下で協議し、入札で企業に提示する保険料を調整していたのです。
独占禁止法が禁じるそうしたカルテル行為は、10年以上前から業界慣行として大手損保が手を染めていたことも分かっており、その疑義は金融庁の調べで500社以上の契約に及ぶことも判明しています。
独禁法を所管する公正取引委員会も調査に乗り出す事態になっており、今後大手4社に課徴金処分などの鉄槌が下される見通しです。
2つ目の不正事案は、中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求問題です。ゴルフボールを靴下に入れて、故意に車体を傷つけるといった非常に悪質な行為に及んでいたことで、昨夏に大きな耳目を集め社会問題化しました。
そうした不正請求に対して、本来厳正なる是正措置を講じるはずの損保会社が、不正請求の隠蔽に加担していたことも大きな衝撃でした。ビッグモーターと蜜月関係にあった損保ジャパンについては、金融庁が立ち入り検査に踏み切るなど、騒動はいまだに収まる気配がありません。
本特集では、損保業界の闇ともいえる2大不正事案はいったいなぜ起こったのか、その真相に徹底取材で迫りました。是非手に取ってご覧頂ければ幸いです。
担当記者:中村 正毅(なかむら まさき)
これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険、消費者金融などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。
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