週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2024年2月10日号
2024年2月5日 発売
定価 880円(税込)
JAN:4910201320240

【第1特集】データ錬金術

データは金になる――。長い間そういわれてきましたが、試行錯誤の末、ようやくビジネスが開花し始めました。本特集では人流や検索履歴、決済情報などのデータ外販ビジネスやクッキー規制下で隆盛の広告ビジネスなど、ビッグデータ錬金術の最前線を追いました。また宝の山とされる医療ビッグデータなどパーソナルデータの錬金術、調査会社で集めた情報で名簿を作成し稼ぎまくるアウトローたちの実態など知られざるアンダーグラウンド錬金術も紹介しています。
 

【第2特集】2024 CSR企業ランキング


CSRの取り組みを評価するランキング。18回目で商社が初めてのトップに。

担当記者より

「ビッグデータって10年前くらいにもてはやされたけど最近あまり聞かないねぇ。生成AIも生まれ、かなり発展しているんじゃないかなぁ」

今回の週刊東洋経済の特集『データ錬金術』は、編集部内で次の特集内容について議論していた時に出たこんな声から始まりました。確かにひと昔、「データは宝の山」と言われて、ビッグデータがもてはやされていた時代がありました。

そこで当時、ビッグデータについて発言していた専門家を軒並み取材してみたところ、皆、少々あきらめ顔。詳しく聞いてみたところ、「データが宝の山であることは間違いない。だが、その利活用は容易ではなく、うまく行っているところはそんなに多くない」との話でした。

これはまずいと冷や汗が。そこで最もデータを保有し、かつてビッグデータの販売などを華々しくぶち上げていた鉄道会社や携帯キャリア、そして銀行などを軒並み取材して回りました。すると、そこには意外な姿が。皆一様に「ビッグデータは扱いが難しいんです」と表情が芳しくありません。

よくよく聞くと、「データは大量にあるんです。しかしどう使うのかという目的、ゴールを定めないと、なんら意味がないものになるんです」との声が多数。さらに「データを買う顧客側にデータを加工する人もいないしノウハウもないので……」というのです。

とはいえ詳しく取材すると、大手企業を中心に、さまざまな工夫を施しながらデータの外販に乗り出している企業が。そこで今回の特集では、データを金に換えている企業の取り組みを紹介しています。

また「情報」を生かしているのは表社会の企業だけではありません。アンダーグラウンドの世界でも「情報」は命です。そこで、週刊東洋経済としては珍しく、アウトローたちの情報活用術についてもまとめてみました。

情報が金になることは間違いありません。特集を読んで、新たなビジネスを生み出すきっかけにしていただければと思います。

担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
週刊東洋経済編集部副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件・事故を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社し現職。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
「情報」という宝の山で稼ぐノウハウ大全
データ錬金術

PART1
アンダーグラウンド錬金術

調査会社で集めた情報で名簿作成 稼ぎまくるアウトローたち
[インタビュー] ITジャーナリスト 三上 洋

ヤミ金で手に入れた名簿を活用 アウトローの最新ビジネス 根本直樹

元経済ヤクザが明かす 情報で裏社会を生き抜く法
[インタビュー] 山口組系暴力団元組長 菅原 潮

PART2
ビッグデータ錬金術

人流から検索履歴、決済情報まで データ外販ビジネスの開幕
ネット投稿は宝の山? Xで稼ぐ企業たち

データ元にアプローチ クッキー規制下で隆盛の広告ビジネス
[インタビュー] 電通 統括執行役員 鈴木禎久
[インタビュー] オプト執行役員 岩本智裕

3つのステップで成功させる データビジネスで稼ぐ方法 岩泉謙吾
AIコンペで人材発掘 金融業界一丸で情報活用 
日本社会には早すぎた 「情報銀行」の大誤算
公開情報を徹底分析 アクティビストの稼ぎ方

PART3
パーソナルデータ錬金術

医療ビッグデータは宝の山 膨張する医療データ市場
治験の効率化にも活用 遺伝子検査サービスの今
見えないニーズを探り出せ 消費者の声を生かす仕組み
[インタビュー] インテージ 常務取締役執行役員CDO 長崎貴裕

本誌記者が1週間やってみた アプリで稼げ! 個人情報換金作戦

個人データ時代到来で変貌するプライバシー議論の現在地
 [インタビュー] 情報法制研究所(JILIS)副理事長 高木浩光

第2特集
2024 CSR企業ランキング
▼CSR企業ランキング300
[1位 三井物産 インタビュー] 三井物産 代表取締役専務執行役員CSO 佐藤 理
脱炭素や人権問題などを 考慮した事業活動が必須

[2位 JT インタビュー] JT サステナビリティマネジメント部長 向井芳昌
持続可能なたばこ事業の実現目指す


部門別上位企業 人材活用は三菱UFJ、合計は三井住友、第一生命
▼部門別上位企業 人材活用/環境/企業統治+社会性/財務
金融機関&未上場企業 三井住友と第一生命が金融機関の同点トップ、未上場はNTT西
▼金融機関上位20社/▼未上場企業上位10社

ニュース最前線

ビッグモーター不正問題でSOMPOが経営陣を刷新
焦点は中小企業の賃上げ 春闘が金融政策も左右する
株高を牽引する半導体銘柄 レーザーテック「熱狂の裏」


連載
|経済を見る眼|起業家に必要なのは「経験を積む才能」|井上達彦
|ニュースの核心|日本の公的年金は「逃げ切り世代」を認めない|野村明弘
|発見! 成長企業|KOKUSAI ELECTRIC
|会社四季報 注目決算|今週の4社
|トップに直撃|ニッスイ 社長 浜田晋吾
|フォーカス政治|「派閥解散ドミノ」の知られざる内幕|歳川隆雄
|マネー潮流|円安誘導も貿易赤字国となった理由|佐々木 融
|中国動態|失業率では見えない中国の労働問題|梶谷 懐
|財新 Opinion&News|中国サッカー協会の深刻な腐敗問題が示す教訓
|グローバル・アイ|国軍打倒だけでは戻らないミャンマーの民主主義|ティティナン・ポンスディラック
|FROM The New York Times|日本テレビ史の「体現者」 黒柳徹子と女性のキャリア
|少数異見|ガバナンス改革は浸透したのか?
|ヤバい会社烈伝|東芝 我が巨人会社は永遠に不滅です!|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法44|佐藤 優
|経済学者が読み解く現代社会のリアル|未亡人をどう救うか 戦争の負の影響は長く続く|五十嵐英梨香
|話題の本|『ルポ 歌舞伎町の路上売春 それでも「立ちんぼ」を続ける彼女たち』著者 春増翔太氏に聞く ほか
|社会に斬り込む骨太シネマ|『ボーはおそれている』
|シンクタンク 厳選リポート|
|PICK UP 東洋経済ONLINE|
|編集部から|
|次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 10/27(月) 週刊東洋経済 2025年11月1日号