週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2024年3月2日号
2024年2月26日 発売
定価 900円(税込)
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【第1特集】ドライバーが消える日

時間外労働の上限規制が適用され、ドライバー不足が懸念される「2024年問題」が到来する4月まで、すでに2カ月を切りました。トラック、タクシー、バス…、各業界ともすでにドライバー不足は深刻で、今後物流や人流が大幅に滞る事態が見込まれます。本特集では逼迫するトラック事情を受けて大胆な改革に踏み切った物流業界の取り組みの最前線を追いました。コロナ禍後の人流回復で行列待ちが日常となったタクシー不足の解消の行方や地域を支える路線バスの消滅危機もリポートし、その処方箋を探りました。
 

【第2特集】ホンダ 「ゼロ」の正体


ホンダが新EVブランド「ゼロ」シリーズを投入する。「第二の創業」と位置づけるその真意とは。

担当記者より

特集「物も人も動かない ドライバーが消える日」をまとめた大野和幸です。

「2024年問題」がいよいよこの4月に到来します。2024年問題とは、主にトラックのドライバーの時間外労働(残業)が年間最大960時間までに規制されるため、物流が滞ると懸念されている問題です。もともとは2019年4月に施行された働き方改革関連法に遡るのですが、顧客に直接影響する自動車運転業や建設業、医師などは例外とされ、5年間の猶予がありました。それがなくなるのがこの4月1日から、というわけです。

しかし、取材の中では、現実との矛盾も垣間見えました。若手ドライバーは休みがほしい一方、50代で家庭もあるドライバーたちは口をそろえたように、「残業をしてでもいいからお金がほしい」と言います。バブル期ピークに入社した今の50代は、当時(90年前後)、先輩たちが派手な芸者遊びをしたり、家を複数持てたりという、武勇伝を聞かされてきた世代。豊富な収入と引き換えに、労働基準法さえ守られてこなかった時代でした。そんな時代にノスタルジーを感じるのもわからないではありません。

これからは違います。年間の残業時間はもちろん、1日と1日の間に11時間の休息時間(インターバル)を設けなければならないなど、きめ細かな対応が企業にも義務付けられます。消費者の目も厳しくなってきており、取引先や地域社会など、さまざまなステークホルダーを意識する必要があるのです。

トラックだけではありません。4月からはタクシーやバスのドライバーも、24年問題の規制の対象になります。需要の大きさに供給が足りず、日本全国でドライバーがいなくなる事態はすぐそこまで来ています。さらに目を転じれば、公共交通の柱である在来線(鉄道)の運転士や飛行機のパイロットすら、絶対数が不足しているのが現実です。

目先、ドライバーが不足すると、どんなことが起こるのか。そうしたことが起こらないよう、今からどんな手が打てるのか。本特集では現場の最新事情から、現在進行中の対処法まで、さまざまな観点からリポートしています。ぜひご覧ください。

担当記者:大野 和幸(おおの かずゆき)
ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
物も人も動かない ドライバーが消える日

Part1
逼迫するトラック

なぜ物が運べなくなっているのか 物流危機こそ最後のチャンス
[独白 中高年ドライバーたちの本音] 規制で残業が減るのは困る
深夜の浜松SAで見た中継輸送の現場 トラックリレーという切り札
荷主優位のあしき慣習を断ち切れ 奮闘する「トラックGメン」
今後の売り上げ見通しは「減収」が最多 香川の運送会社が語る胸中

ハブ&スポークで進める集中と分散 ヤマト、40年越しの輸送改革
ECの巨人も個人ドライバーを囲い込み アマゾンが本気の自社配送網
九州でトラックを相互に走らす イオンが競合と組んだ必然
物流企業ランキングベスト10[財務編・人材編]

[トップインタビュー 1]
「協業で強みを交換 運賃値上げに本腰」 西濃運輸 社長 小寺康久
「価格競争は終わり 業界は目を覚ませ」 福山通運 社長 小丸成洋

Part2
足りないタクシー

コロナ禍後の人流回復で行列が当然に タクシー不足は解消するのか
一般ドライバー参入に業界は戦々恐々 ライドシェア限定解禁の行方
GOがリード、都内に強いS.RIDE 配車アプリ、覇権争いを制すのは?

ライドシェアで論客が舌戦
・賛成「移動が束縛されている 改革の本丸は自動運転」デジタル相 河野太郎
・反対「国際的には時代遅れ 隙間時間ではやれない」立憲民主党代表代行 辻元清美
[ルポ 白タクに「空飛ぶタクシーも」]タクシーの現場はカオス
過疎地に限っては80歳のドライバーもOK 全国に2.8万人いる個人タクシーの実態

保護者向け説明会、平均24歳代の営業所… 「新卒求む!」採用活動最前線
[若手タクシードライバー座談会]緊急時には最後の存在 稼ぐテクニックもある
[トップインタビュー 2]
「乗合タクシーなどやれることはある」第一交通産業 社長 田中亮一郎
「社員の雇用は守る なぜ解禁を急ぐか」日の丸交通 社長 富田和孝

Part3
減り続けるバス

金剛バスは廃止、長電バスは日曜運休 路線バス、地域で消滅の危機
[トップインタビュー 3]「公共交通の衰退は地方消滅の始まり」両備グループ代表兼CEO 小嶋光信
クレーム、カスハラも悩みの種に 人材が定着しないバス会社

第2特集
単なるEV新ブランドではない 事業モデル刷新の具体像
ホンダ「ゼロ」の正体

[インタビュー]三部社長、ホンダのEV戦略は順調ですか?
ホンダが狙うEV変革 「ゼロ」起点に構造転換
車載電池は提携戦略に活路

ニュース最前線
再びファンドが筆頭株主 サッポロの不動産にメス
ルネサスが「異質」の買収 狙うは脱・伝統的メーカー
柱の抗精神病薬が97%減 住友ファーマが陥った窮地


連載
|経済を見る眼|IMFの提言を政策立案に生かせ|早川英男
|ニュースの核心|そのパーパスはトップの自己満足になっていないか|山田雄大
|発見! 成長企業|カバー
|会社四季報 注目決算|今週の4社
|トップに直撃|住友電気工業 社長 井上 治
|フォーカス政治|問われる「党ガバナンス」改革の要諦|牧原 出
|マネー潮流|マイルドなスタグフレーションか?|森田長太郎
|中国動態|脆弱な中小銀行の整理再編が加速|福本智之
|財新 Opinion&News|上海の賃貸オフィスビル、空室率20%超の深刻
|グローバル・アイ|トランプや独ネオナチを「出禁」にすべき理由|ヤン=ヴェルナー・ミュラー
|Inside USA|バイデン流の通商政策に漂う手詰まり感|安井明彦
|少数異見|自民党の裏金、自浄作用は望めるのか
|ヤバい会社烈伝|吉本興業とテレビ局 グルだったヤツら 誰もおらへんでえ|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法47|佐藤 優
|経済学者が読み解く現代社会のリアル|母親たちの労働参加 年金や控除の影響を考える|小寺寛彰
|話題の本|『いのちの言の葉 やまゆり園事件・植松聖死刑囚へ 生きる意味を問い続けた60通』著者 最首 悟氏に聞く ほか
|社会に斬り込む骨太シネマ|『落下の解剖学』
|シンクタンク 厳選リポート|
|PICK UP 東洋経済ONLINE|
|ゴルフざんまい|もう一度行ってみたい国内のゴルフ場|本庶 佑
|編集部から|
|次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2024年3月2日号」(2月26日発売)に、以下の誤りがありました。訂正してお詫び致します。
 
24ページ ■トップに直撃 住友電気工業・井上治社長インタビュー

23年度の自動車事業の営業利益
【誤】1250億円
 ↓
【正】1320億円