週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2024年5月18日号
2024年5月13日 発売
定価 900円(税込)
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【第1特集】誤解だらけの「女性活躍」 女性を伸ばす会社、潰す会社

労働力不足が続く中、「女性活躍」が叫ばれて久しいです。多くの企業が各種施策を打っていますが、その効果がしっかりと出ている「先進企業」と、まるで変われない「後進企業」との格差は開く一方です。本特集では真に女性を活かすための処方箋を示しました。独自集計した女性活躍「先進」「後進」企業総合ランキング100のほか、男女賃金差や女性管理職割合などでもランキングしています。本誌アンケートに寄せられた1825件の声から、女性活躍をめぐり「シラケる女性」と「戸惑う男性」の実像を描きました。
 

【第2特集】日の丸電池 反撃の狼煙


ようやく日本の電池投資が活発化してきた。パナソニックなど電池メーカーに加えて、トヨタやホンダも自前化に乗り出す。中韓勢が先行する中で、巻き返しへの最後のチャンスだ。
 

担当記者より

特集「女性を伸ばす会社 潰す会社」を担当した印南志帆です。私は、世間で言う「育児と仕事を両立する女性」ですが、両立というより、やじろべいのようにぐらぐら揺れる両者のバランスを必死に取っている、というのが偽らざる実態です。

5月の大型連休も、日中は子どもと牧場を馬で駆け、子どもが寝たあと忍者のように寝室をそろりと出てこの特集の原稿を書く、という日々でした。体力が取り柄の自分ですら、全力で、生きています。それでも「会社を辞めたい」とならないのは、この仕事にやりがいを感じられるからです。逆に言えば、それが失われたら挫けてしまうかもしれません。

今回、女性活躍の実態を探るべく、読者アンケートを実施したところ、1825件もの回答が集まりました。寄せられた声を見ていくと、男性は女性が昇進していくことや、慣れない女性のマネジメントで困惑し、女性は「女性活躍は女性の搾取」などと、その本質を見抜いてシラケている、という傾向が見えてきました。男性が好意的に見ていないことは想定内でしたが、女性の反応は意外でした。

なぜ、女性は「女性活躍」に幻滅しているのか。1つ考えられるのは、育児のための時短勤務で働く女性を軽易な業務に転換して評価や報酬を必要以上に下げたり、企業の「花形」部門はいまだ男性社会であったりと、「男性の都合」が優先されている、という実感があるからではないでしょうか。こうした本音を見過ごしていたら、女性労働力を十分に生かせない企業は、これからの人手不足社会で窮地に陥ることになります。

特集内では、アンケート調査結果の詳細を始め、オープンデータを基に作成した「女性活躍『先進』『後進』企業ランキング」、株主総会で投資家が迫る女性役員登用、メルカリ、リクルートなどの「スゴい女性活躍事例」など、最旬データとトピックが満載です。「女性活躍が大嫌い!」そんな方にこそ、手にとって欲しい特集です。

担当記者:印南 志帆(いんなみ しほ)
早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者、東洋経済オンライン編集部、電機、ゲーム業界担当記者などを経て、現在は『週刊東洋経済』や東洋経済オンラインの編集を担当。過去に手がけた特集に「会社とジェンダー」「ソニー 掛け算の経営」「EV産業革命」などがある。保育・介護業界の担当記者。大学時代に日本古代史を研究していたことから歴史は大好物。1児の親。

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週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
誤解だらけの「女性活躍」
女性を伸ばす会社、潰す会社


PART1
女性活躍「格差」

[プロローグ] 2030年、女性を活かせない会社が陥る窮地
「女性1人」でも反対票 「女性役員」めぐり厳格化する機関投資家の目
[インタビュー] 女性がいない取締役会にNO 機関投資家はココを見ている!
・ブラックロック・ジャパン インベストメント・スチュワードシップ部長 江良明嗣
・インベスコ・アセット・マネジメント 運用本部 日本株式運用部 ヘッド・オブ・ESG 古布 薫
トップが本気なら役員や部長もついてくる 社内登用はこうすれば進む 越 直美

独自集計! 女性活躍「先進」「後進」企業 ランキング100
・総合ランキング・男女賃金差・女性管理職割合
・勤続年数男女比・主要8業種 「女性を伸ばす」トップ10
担当役員を直撃! 先進企業の「自信」 後進企業の「反論」
メガバンク「一般職」廃止の実態
[インタビュー] カルビー代表取締役社長兼CEO 江原 信
 「トップの意識はマストだが それだけでは空回り」
会長の影響力、2人の副社長 JAL「初の女性社長」の内実
7割が希望も取得率は17% 男性育休は若者の常識、企業の非常識?

PART2
女性の「本音」に解がある

本誌アンケートに寄せられた女性活躍めぐる1825件の声 「シラケる女性」と「戸惑う男性」
先進企業の好事例に学べ ここまでやるか!「スゴい女性活躍」
・メルカリ・リクルート・双日・千葉銀行・ソフトバンク・ダイキン工業
企業はデキる女性を生かせていない 女性管理職比率と業績には「正相関」
弁護士は見た!「女性を潰した」企業事件簿
増える女性の海外駐在員 妻の駐在に同行する「駐夫」の生活とキャリア
妊娠・出産の先延ばし策に賛否 増える企業の「卵子凍結」補助
東工大、京大、阪大も導入 大学の理工系学部で広がる「女子枠」入試

[エピローグ] 女性を潰す企業からは男性も逃げていく
[インタビュー] SWCCグループCEO 長谷川隆代

第2特集
日の丸電池 反撃の狼煙
投入近づく全固体電池 切り札を手にする企業は
[インタビュー] 設備投資急拡大する電池メーカーの深謀
パナソニック エナジー CTO 渡邊庄一郎
AESC CEO 松本昌一
ジーエス・ユアサ コーポレーション 社長 村尾 修

産業リポート
イトーヨーカ堂 後手に回ったリストラ 迷走の末の「分離」
カギはインフラ活用 「食品スーパー」に生まれ変わる条件
[インタビュー] イトーヨーカ堂 社長 山本哲也
「IPOは成長に必要 切り離しではなく独立」

スペシャルインタビュー
英 フィナンシャル・タイムズグループ CEO ジョン・リディング
もはや新聞社ではない 「マルチメディア企業」だ


ニュース最前線
一時34年ぶりの160円台 円安の終わりはなお見えず
財界総理輩出の名門が危機 2重苦にあえぐ住友化学
公取委がグーグルを初処分 露呈した検索市場の危うさ


連載
|経済を見る眼|曖昧になる企業の境界にチャンスがある|柳川範之
|ニュースの核心|運命を分ける経営判断・住友化学の教訓|山田雄大
|トップに直撃|キリンホールディングス 社長COO 南方健志
|フォーカス政治|補選全敗が自民に迫る政治資金改革|牧原 出
|マネー潮流|為替安定と金融政策の自主性の問題|森田長太郎
|中国動態|中国の宣伝戦にのぞく戦略と内憂|益尾知佐子
|財新 Opinion&News|中国鉄鋼業界の供給過剰、政府が生産抑制指示
|グローバル・アイ|トランプ裁判とヒトラー裁判の恐怖すべき類似性|マーク・ジョーンズ
|Inside USA|トランプが「公認」聖書発売、資金集めに奔走|瀧口範子
|少数異見|交通事業者は何か勘違いしていないか
|シンクタンク 厳選リポート|
|ヤバい会社烈伝|大谷翔平とMLB マネーボールって デカすぎやろ|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法 57|佐藤 優
|経済学者が読み解く現代社会のリアル|戦災と都市の経済的損失 何が復興と停滞を分けるか|高野佳佑
|話題の本|『静かに退職する若者たち 部下との1on1の前に 知っておいてほしいこと』著者 金間大介氏に聞く ほか
|名著は知っている|『命売ります』[前編]
|社会に斬り込む骨太シネマ|『マリウポリの20日間』
|PICK UP 東洋経済ONLINE|
|ゴルフざんまい|久しぶりのコースを回る楽しみ|佐藤信人
|編集部から|
|次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 11/10(月) 週刊東洋経済 2025年11月15日号
  • 11/4(火) 週刊東洋経済 2025年11月8日号