特集「日本の魚ビジネス」を担当した大野和幸です。元々、それほど魚に関心のなかった私ですが、調べれば調べるほど、今の危機的状況を認識できました。何と言っても注目すべきは魚の激減。日本の漁獲量はピークの1984年の1282万トンから、22年の391万トンまで、7割減も減っています。
理由は複数考えられます。⓵米ソの200カイリ設定で日本が遠洋・沖合漁業から事実上追放された、②地球温暖化によって海水温が上昇し、魚の生態系に影響を与えた、⓷マイワシという固有の魚種が大幅に減った、④中国や台湾などの外国漁船が公海上で乱獲した、⑤漁業就業者そのものが減った、などです。
しかし、最も大きな理由として挙げられるのが、「日本自身」の「乱獲」です。
生物資源というのは、獲りすぎると全体の資源量が減り、逆に獲るのを抑えるとまた資源量が増え出す、とされています。つまり、生物の自然増と釣り合ったペースで漁獲をすることが、持続性のある漁業には欠かせないのです。
そうした中、日本は民主導で、漁業協同組合など各地の漁業者に管理を任せ、事実上の“獲り放題”でした。漁師には「大漁文化」があり、たくさん獲るのはいいこと。もちろん、目先の水揚げ量が、その年の収入にも直結します。一方、ノルウェーなどの漁業先進国は国主導で管理し、資源量をコントロールしてきました。
遅ればせながら、日本も世界に習い、「TAC」(漁業可能量)という枠を魚種ごとに設定し、「この年にこの魚種を獲れるのはここまで」などと抑制する方向を打ち出し、資源管理へと動きました。まだまだですが、一歩は踏み出しています。
そうした漁業政策に加え、みなさんの大好きな主要な魚介類のデータをまとめた「魚大図鑑」、クロマグロやブリ、サーモンの養殖現場を捉えた「現地ルポ」、全国主要漁港の「水揚げ量ランキング」など、さまざまな形で魚を“全解剖”しました。ぜひ手に取ってご覧ください。
担当記者:大野 和幸(おおの かずゆき)
ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。
56ページ | ■回転ずしの王者 スシローの超進化 FOOD & LIFE COMPANIESの2024年9月期の中間決算 <誤> 売上高は1759億円(前年同期比22.8%増)、営業利益は123億円(同135%増)と、ともに過去最高をたたき出した。 ↓ <正> 売上高は1759億円(前年同期比22.8%増)、営業利益は123億円(同135%増)で、過去最高に近い水準だ。 |