週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2024年7月6日号
2024年7月1日 発売
定価 880円(税込)
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【第1特集】根拠なき「エセ医療」に騙されるな! 不安につけこむ「医療情報」の罠

人の命を左右することがある医療情報。SNS上では私たちの不安につけこんだ、根拠に乏しい情報があふれています。何を信じ、何を疑えばいいのでしょうか。本特集では科学的根拠のない治療法が横行する、「がんエセ医療」大国である日本の現状をリポート。高額自由診療に騙されないための10カ条、そしてがんエセ医療12リストを一挙公開しました。また新型コロナワクチンがどこまで有効だったのか、子宮頸がんワクチンの「副反応疑い」にどう向き合うかなど、注目されるワクチンの論争を追いました。
 

【第2特集】藩札から銀行券へ 銀行制度も整え実践 新1万円札の顔 渋沢栄一


7月3日、40年ぶりに1万円札の肖像が変わる。明治から昭和にかけ近代日本の産業勃興期を駆けた人物だ。

担当記者より

特集「不安につけこむ医療情報の罠」を担当した野中大樹です。

インターネット内の情報が玉石混交であることはよく知られていますが、もっとも偽情報が溢れているのが「医療情報」と言われます。

YouTubeで「がんに効く」で検索すると、「24時間以内にがん消滅 これを食べて」「野菜スープががんに効く」「セブン 抗がん食品 医師の5選」といった、科学的エビデンスに疑義がある動画がずらりと並びます。

ネット上だけの話ではありません。現実世界でも日本は、科学的根拠のない治療法が横行する「がんエセ医療」大国と言われています。根拠はないはずなのに、100万円~400万円もする免疫細胞療法や200万ほどかかるコロイドヨード療法、165万円の遺伝子治療といった「エセ医療」が氾濫しています。彼らがターゲットにしているのは、自身や家族が余命を宣告され、藁にすがるような思いで治療法を探す人々でしょう。

血液、唾液、尿で全身のがんリスクを測定できると謳うサービスも増えています。手軽さが好評のようですが、科学的根拠は実はあいまいです。今回は、唾液を使ってがんリスクを測定する会社のトップに実情を聞きました。

子供の能力を解析できるという遺伝子検査キットを、ふるさと納税の返礼品に採用する自治体もありました。「やる気」や「怒りやすさ」「持久力」などを測れると謳っていますが、もちろん科学的根拠はなく、製品を供給する会社の社長は、「占いのようなものではないか」という指摘に「よくわかっている」と言ってのけました。

特集では他にも、新型コロナワクチンの有効性についての記事や、この10年、世界的な論争になってきた子宮頸がんワクチン問題の核心にも踏み込みました。

医療の世界の裏側で起きていることを、じっくり読んでいただければ幸いです。

担当記者:野中 大樹(のなか だいき)
東洋経済記者。熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年、東洋経済新報社に入社。現在は統合編集部。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
根拠なき「エセ医療」に騙されるな!
不安につけこむ「医療情報」の罠

医療情報の「正」と「誤」は誰が、どう決めるのか

【ワクチン編】
次のパンデミックに備えて検証するとき コロナワクチン「ベネフィット>リスク」の虚実
10年間の論争を追う 子宮頸がんワクチン 1万人に3人の「副反応疑い」とどう向き合うか
[インタビュー]医師、翻訳者 大脇幸志郎
「わかっていること」はどこまでなのかが重要 「打つ」「打たない」の答えに飛びつきすぎた

【検査編】
血液、尿、唾液からわかる? がんリスク検査 精度に課題
科学的根拠は実はあいまい ふるさと納税で採用例も 遺伝子検査キット濫用の危うさ
妊婦が本当に望む検査とは何か? 出生前検査 無認証施設の拡大は止まらない
医師の安易な診断がトラブルに発展 認知症「誤診」で財産を奪われる高齢者たち
[インタビュー]東京都立松沢病院 名誉院長 齋藤正彦
「成年後見制度はゼロから新しくつくり直すべし」

【治療編】
科学的根拠のない治療法が横行 「がんエセ医療」大国ニッポン 高額自由診療に騙されるな
楽天メディカル 光免疫療法 便乗商法の自由診療は別モノ
詐欺被害でがんサバイバーの女性が自殺 なぜ人はエセ医療に騙されるのか

政治とカネをしのぐ巨額謝金 製薬マネーと医師 コロナ後に多額の受領が増加
医師自らが製薬マネー問題に取り組む理由 社会の信頼は専門職の根源
 乳腺外科医、医療ガバナンス研究所 研究員 尾崎章彦

患者に知ってほしい最新治療 アトピー患者が新治療や新薬にたどり着けない複雑事情
「早い、安い」「手術件数が多い」だけで判断してはいけない 高額インプラント 後悔しないための5つの要点

第2特集
藩札から銀行券へ 銀行制度も整え実践
新1万円札の顔 渋沢栄一


銀行券の150年 突出した戦時期、膨らむ現代
孫・敬三が直面した 戦後インフレの帰結
[インタビュー]渋沢家4代の邸宅でひ孫・雅英さんが語る
「栄一は欲のない人」
[インタビュー]シブサワ・アンド・カンパニー 代表取締役、コモンズ投信 会長 渋澤 健
 よく集め、よく散ぜよ 今の世にこそ「合本主義」を
創刊時に300部の購読をあっせん 東洋経済と渋沢栄一の縁

ニュース最前線
新NISAの人気銘柄 NTT株が急落した深層
日産が中国の工場停止 BYD猛攻に日系車陥落
「全社株価急落」 が示すM&A仲介大手の深い病巣


連載
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|ニュースの核心|「資産運用立国」に付きまとう違和感の正体|野村明弘
|トップに直撃|TDK 社長 齋藤 昇
|フォーカス政治|迫力なき定額減税「継続」の可能性は|軽部謙介
|マネー潮流|世界の潮流に乗れず独り負けの円|佐々木 融
|中国動態|中国の欧州投資でハンガリーが突出|吉岡桂子
|財新 Opinion&News|中国で苦戦のポルシェ、直面する2つの課題
|グローバル・アイ|貿易赤字に固執する米政界の嘆かわしい経済政策|モーリス・オブストフェルド
|FROM The New York Times|自動運転開発でトップを独走 中国が封じ込める情報・データ
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