特集「集英社、講談社、小学館の野望」を担当した西澤佑介です。
昨年担当した特集「アニメ、熱狂のカラクリ」(アニメ特集)は、私たちの予想をはるかに上回る反響を呼びました。読者からの熱いフィードバックだけでなく、メディアや評論家からも高い評価をいただきました。今回は、それとほぼ同じ執筆、編集陣でお届けする昨年のアニメ特集の第二弾的な位置づけです。
特集のお陰で、アニメ・エンタメ業界の関係者と話す機会が増え、その度に得る新しい知見には驚かされてきました。
特に、大手出版社について話題が及ぶとき、業界関係者の口ぶりが変わるのを感じます。「集英社」という名前が出ると、まるで神聖な存在に対するかのように話し始めるのです。集英社に対する畏敬の念は、業界全体に共通しているようで、その影響力の大きさを改めて実感しました。こうした背景から、今回のアニメ特集の続編テーマとして大手出版社を選びました。
非上場会社であるこれら大手出版社の実情を取材することは困難が予想されましたが、昨年の特集を通じて築いた信頼関係が大いに役立ちました。読者や業界関係者の協力があったおかげで、取材がスムーズに進み、感謝の気持ちでいっぱいです。
取材を進める中で感じたのは、漫画のヒット作を基にする知的財産(IP)がこれほどまでに大きな利益を生むのか、ということです。同じ出版業界にいる者として、その成功には羨望の念を抱かずにはいられません。IPビジネスの奥深さと可能性を改めて認識し、我々も学び取るべき点が多いと感じました。
今回の特集では、大手出版社がどのようにして強力なIPを生み出し、それをどのようにして市場で成功させているのか、その裏側に迫ります。業界内外からの視点を交えつつ、その成功の秘訣を解明していきたいと思います。この特集を通じて、読者の皆様にも新たな発見と驚きを提供できることを願っています。
担当記者:西澤 佑介(にしざわ ゆうすけ)
1981年生まれ。2006年大阪大学大学院経済学研究科卒、東洋経済新報入社。自動車、電機、商社、不動産などの業界担当記者、19年10月『会社四季報 業界地図』編集長、22年10月より『週刊東洋経済』副編集長。
『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。
創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。
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