特集「偏差値45からの中高一貫校選び」を担当した木皮透庸です。3大都市圏を中心に「中学受験熱」は高まる一方ですが、今回は近年人気を集めている中堅校(偏差値45前後~60未満)にフォーカスを絞りました。
話題の学校を取材すると、各校は子どもたちの「得意」を伸ばそうと、理数教育やグローバル教育、探究学習などで工夫を凝らしており、なるほどと思わせるものがありました。今回の特集では、「難関校でなくても有名校に合格できる中高一貫校ランキング」も作成し、「偏差値40前後でも卒業生の4割以上がMARCHに合格」など従来はなかなか見ることのなかったデータを可視化しています。
また、東洋経済オンラインのメルマガ読者にアンケートへの回答をお願いし、お子さんが中堅校に進学した保護者で取材OKの方5人にお話を伺いました。中受の道のりは各家庭さまざまで、まさに波乱万丈なエピソードばかり。進学先が第1志望校でなくてもお子さんが学校生活を満喫していると、保護者の方が嬉しそうに話しているのが印象的でした。
保護者の皆さんが口を揃えていたのは、「進学先の偏差値にあまりこだわりすぎないほうがいい」ということ。「6年間を過ごす場として校風や教育内容、クラブ活動などが子どもに合っているかのほうがより大事」「実社会に出ると偏差値以外の要素に左右されることが多い」とも。思いのほか、偏差値に対して冷静なことが驚きでした。
ただ、アンケートの結果を見る限り、中堅校にお子さんが進学した家庭でも、小4から通塾させて小6の塾代に100万円以上かけていたケースも珍しくありません。小6から中堅校を狙うような「ゆる受験」はまださほど広がっていませんが、偏差値で無理をせず、子どもに合った中堅校を選ぶ家庭が増えつつあることは間違いなさそうです。
そもそも中学受験をするか、しないかの選択で悩む家庭も多いと思います。どんな道を選ぶにしても、最後は本人次第の面があるのが教育の難しさと醍醐味と言えます。2児の父である当事者としても悩みは尽きません。小学生のお子さんがいる家庭にとって本特集が何かのヒントになることを願ってやみません。是非、お手にとってご覧ください。
担当記者:木皮 透庸(きがわ ゆきのぶ)
1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年10月から東洋経済編集部でニュースや特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。
47ページ | ■「芝浦工大柏」に記載された記事 4段目の9~22行を以下のように訂正致します。 探究の成果は校内外で発表する機会も多い。高校生国際シンポジウムで最優秀賞(数学・物理部門)を「自己共振振り子の成立条件の解明」で受賞した男子生徒は今春、東京大学文科1類に進学した。日本の現状を憂い、官僚を目指すという。探究で能力を伸ばした生徒は文系・理系の壁も軽々と越えていく証左だ。 |