「半導体覇権 エヌビディアの猛威」の特集を担当した大野和幸です。去年の特集から10カ月振りとなった今年のテーマは、ずばり「エヌビディア」。6月18日には、エヌビディアの時価総額は3.3兆ドル(約520兆円)を突破、GAFAM(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト)を抜き去り、ついに世界一の座につきました。トヨタ自動車が50兆円ないくらいですから、いかに存在感が大きいかがわかるでしょう。
エヌビディアを見てすごいと思うのは、そのスピード感です。例えば売上高で見ると、2023年第1四半期(2~4月期)に71億ドルだったのが、24年第1四半期には260億ドル、25年第1四半期予想では363億ドル見込みと、異様なペースで伸びているのです。
絶好調の背景にあるのは、言うまでもなく、生成AI(人工知能)。生成AIの普及です。生成AIを開発するためのデータセンターが世界中に増え、データセンターを満たすためのAIサーバーが伸び、そこに搭載されているAI半導体が爆発的に売れる。GPU(画像処理半導体)と言われる、AI半導体を一手に握っているのが、エヌビディアなのです。つまり、エヌビディアのチップがなければ、生成AIも利用できません。
興味深いのは、株式市場ではさらに、その先を見越していること。半導体製造装置株やサーバー関連株はもちろん、データセンター拡大に伴う電力不足を見越し、米国市場では何と電力株まで買われています。今特集では、株式市場のプロたちが厳選した、日米の注目株を取り上げました。
最近の相場は荒れていますが、こんなときこそ絶好の仕込み場。10年前の2015年8月、エヌビディア株はわずか0.5ドル程度だったのが、10年後の今年8月には、100ドル台に乗せています(24年6月に株式分割済み)。ざっと200倍。単純計算ですが、そのときに100万円分買っていれば、今は2億円まで膨らんだ格好です。いかに株式市場では先を読む力が重要かわかるでしょう。
加えて今特集では、ルネサスエレクトロニクスや東京エレクトロンなど、日本の半導体関連企業や、国内のデータセンター事情をはじめ、半導体に関するありとあらゆるテーマを盛りこみました。ぜひ手にとってご覧下さい。
担当記者:大野 和幸(おおの かずゆき)
ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。