株価や業績で“独り負け”のパナソニック。何が問題か。
特集「過熱する1兆円市場『ふるさと納税』のカラクリ」を担当した佐々木亮祐です。
7月に山形県に遊びに行く機会がありました。同県には、ふるさと納税に黎明期から力を入れている自治体が多くあります。
ある上位の自治体では、ピカピカの道の駅に特産品を生かした商品がズラリ。ふるさと納税によって設備投資や商品開発が進んだのでしょう。一方、最新鋭のセルフレジが何台か遊んでいて、潤沢な寄付を効率的に投資できているのか疑問も感じました。
実は、私は8月末で小社を退職します。溜まりに溜まった有休を消化して羽を伸ばそうと考えていましたが、ふるさと納税特集をやると聞き、じっとしていられませんでした。
地理的な条件が人々の経済社会活動をどう規定するかを扱う「経済地理学」を大学で専攻していました。庶民の私は、高所得者優遇の側面もあるふるさと納税に興味を抱いて卒論を書き、入社後も6年半追ってきました。入社1年目に書いた記事の反響は今でも忘れません。
特集は「カラクリ」と題した通り、ふるさと納税を一から解説しました。制度の仕組みやトレンドから、ポータルサイトのポイント還元や高所得者優遇などの現状の問題点や、地方自治体で起こっている実態までカバーしています。
自治体の裏側を支える多くの「地域商社」の方々に取材させていただきました。そのうちの1人が「自治体のふるさと納税担当者は『ボッチ(孤独)』になりやすい」と話していました。特殊な業務であり、初めは役所の中でも理解者を得にくいそうです。そうした方々にこの特集を手に取っていただきたいです。
取材先の方々の、地域を良くするため熱心に仕事をする話に感銘を受けました。もう少しこのテーマを追いたいと後ろ髪を引かれつつ、9月から新しい仕事に挑戦します。
6年半、多くの取材先や同僚に大変お世話になりました。この場を借りて心よりお礼申し上げます。私の最後の原稿をご覧いただけますと幸いです。
担当記者:佐々木 亮祐(ささき りょうすけ)
1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki