特集「お金の終活 超入門」を担当した田島靖久です。
「老後に備えるために、今のうちから資産運用をしましょう」
老後2000万円問題が騒がれるようになってから、ちまたにはこうした宣伝文句で資産運用を呼び掛ける広告があふれています。そればかりか、「それだけの資産では老後に困りますよ」「老後地獄は本当に大変ですよ」などと不安をあおって金融商品の購入を迫るセミナーまであります。
私自身、50歳を超えて定年が見えてきたこともあり不安を感じ始めていました。しかし一方で、「本当にそうなのだろうか」との疑問も。そんな折、「上手に資産を取り崩せば大丈夫」という話を聞いたことをきっかけに、今回の特集を作ることにしました。
定年世代に向けてお金にまつわる情報発信を続けている野尻哲史さんは言います。「現役時代から行ってきた資産運用を続けながら形成した資産を取り崩すやり方であれば100歳まで大丈夫」だと。定年後、単に老後資産を切り崩していくのではなく、運用しながら使うという「資産活用」で資産の寿命を延ばせば、豊かな老後を送れるというのです。
さらに別の識者は、「たとえ60歳の時点で老後資金が100万円しかなくても、工夫次第で老後の資産を構築することができ、生活には困らなくなりますよ」とも。思わず「わが意を得たり」と嬉しくなってしまいました。
そこで今回の特集では、これまでのような資産運用ではなく、形成した資産の取り崩し方にフォーカス。亡くなるまでに使い切り、ハッピーな老後を送れるノウハウを詰め込みました。あわせて現役時代にやっておくべき準備、そして「お金」「孤独」「健康」という老後の3大不安を取り除くための秘策もご紹介しています。
ぜひ特集を読んでいただき、前向きな定年後の生活をお送りいただければと思います。
担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
週刊東洋経済編集部副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件・事故を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社し現職。