週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2024年9月7日号
2024年9月2日 発売
定価 920円(税込)
JAN:4910201310944

【特集】「脱中国」で脚光 インドが熱い


世界一の人口を抱え、GDPで世界3位になることが確実視されるインド。日本企業はこの国とどう向き合えばいいのでしょうか。本特集は、製造大国化に挑むインドの現状を探る現地ルポのほか、スズキや日本製鉄、パナソニック ホールディングスといった進出済み日本企業の最新戦略など、インドビジネスのヒントが満載です。また、台頭する現地のスタートアップ企業のほか、投信から日本で買える個別株まで注目のインド銘柄も紹介しています。
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担当記者より

特集「インドが熱い――『脱中国』で脚光」を担当した野中大樹です。

インドの人口は中国を抜いて世界一となり、GDP(国内総生産)も2029年にはドイツや日本を追い抜き、米国、中国に次ぐ世界3番目の経済大国になると予測されています。

インドの存在感を高めているのが米中の覇権争いと「脱中国」の流れです。中国のゼロコロナ政策によるサプライチェーン(供給網)の乱れや米中摩擦の激化で、中国に生産拠点を置いてきたメーカーは投資や生産拠点を中国以外に分散させなければならなくなりました。受け皿として浮上しているのがインドです。

「脱中国」とインドシフトの流れを体現しているのが台湾の電子機器受託製造サービス大手、鴻海精密工業です。全世界のiPhone生産の6割以上を手がけている同社は今、インドに東京ドーム26個分の巨大な新工場を建設しています。

今回の特集では、中国事情に詳しい本誌の西村豪太記者が現地に入り、鴻海新工場の建設現場を歩いてきました。現場の写真がメディアに出るのは、おそらく世界で初めてでしょう。さらに西村記者は現場で、あることに気がつきました――。米国、中国、インドそれぞれの事情と思惑が交錯する現場のルポルタージュを堪能してください。

特集ではインドで事業展開する日本企業も取り上げました。スズキや日本製鉄、パナソニックやダイキン工業、サントリー、ユニ・チャーム、住友不動産、シスメックスなど、各企業の現場責任者の苦労話には、インドビジネスのヒントが詰まっています。

他にも、スタートアップ大国インドの注目企業10社や、成長著しいインドのお宝銘柄、投資信託等を紹介しています。ぜひ、ご一読ください。

担当記者:野中 大樹(のなか だいき)
東洋経済記者。熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年、東洋経済新報社に入社。現在は統合編集部。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
「脱中国」で脚光 インドが熱い
[図解]急成長の陰で失業率や産業構造に課題
〈MAP〉インド全域で日本企業が事業展開
国際経済の主役になるか? 超大国インドの虚実 防衛大学校教授 伊藤 融

PART1
「脱中国」でインドは飛躍するか

[現地ルポ]巨大工場の建設現場で見た鴻海の「誤算」
製造業立国(メイク・イン・インディア)を悩ます「脱中国」のジレンマ

都市化、中間層拡大のメガトレンドをつかめ 現地起業家が語るインド市場のリアル
日本企業のチャンスはどこにある インドは20年前の中国か
経産省が旗を振る 日の丸半導体・電池 現地化計画
インド駐在員 ホンネ座談会
増産計画は進むも前途は多難 台湾EMS企業 「インドシフト」の苦しみ

PART2
インドに飛び降りた日本企業

「インドに乗り遅れるな」部品会社も殺到 スズキ「400万台」の大勝負

日本企業 インド最前線リポート
 日本製鉄/パナソニックHD/ダイキン工業/住友不動産/サントリー/ユニ・チャーム/シスメックス
[シャープ]生産終了 「液晶」製造装置をインドに売却?

100社超のユニコーンが誕生する秘訣 挑戦するスタートアップ10選 山本勝則
投資信託から個別銘柄まで解説 お宝発掘! 成長途上のインド銘柄 須貝信一

PART3
台頭するグローバルサウス

ASEAN有識者たちは米中対立をめぐって緊張 絶妙なバランス感覚で実利を取るグローバルサウス 藤岡資正
米中対立下でも萎縮しないベトナム、インドネシア 日本はASEANと連携し 貿易秩序回復の先導役を 木村福成
[インタビュー]日印関係の歴史を忘れるな
江戸川インド人会会長 ジャグモハン・チャンドラニ/日本総合研究所会長 寺島実郎

産業リポート
米国事業でリストラ メルカリの反省
[インタビュー]メルカリ CEO 山田進太郎
「米国はまだやりようがある 経営者として能力不足だった」

NEWS&TOPICS最前線
楽天モバイルが「契約爆増」 競合も驚いた躍進の深層
ヤマトが「逆張り」値下げ 過熱する荷物争奪戦の波紋
ディズニー「D23」で見た 消費者をファンにする神髄


連載
|経済を見る眼|日本の高等教育への公的支出が低い理由|苅谷剛彦
|ニュースの核心|日米韓と中ロ朝の「同盟関係」は同じ意味なのか|福田恵介
|トップに直撃|いすゞ自動車 社長 南 真介
|フォーカス政治|自民総裁選は「小泉vs. 小林」の構図か|歳川隆雄
|マネー潮流|8月大荒れ市場は景気後退の前兆か|森田長太郎
|中国動態|PB人気が映す中国経済の構造転換|田中信彦
|財新 Opinion&News|ホンダ中国工場、エンジン車の生産能力を削減
|グローバル・アイ|極右は「変な人たち」という正しいレッテル|ヤン=ヴェルナー・ミュラー
|FROM The New York Times|若者のメンタルをむしばむ 世界的な有害「メガトレンド」
|少数異見|今の災害報道は過剰ではないか
|シンクタンク 厳選リポート|
|ヤバい会社烈伝|ゼネコン 「儲けすぎ」って それ、ちゃうでえ|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法 72|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|なぜ年金支給日になると救急搬送数が増えるのか|井深陽子
|話題の本|『ぼんくら外交官の北朝鮮日記 2年間の「楽園」滞在見聞録』著者 杉山 長氏に聞く ほか
|名著は知っている|『星の王子さま』[中編]
|社会に斬り込む骨太シネマ|『オキナワより愛を込めて』
|編集部から|
|次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2024年9月7日号」(9月2日発売)に、以下の誤りがありました。訂正してお詫び致します。
 
67ページ ■日本株インド関連銘柄

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