特集「すごいベンチャー100 2024年最新版」を担当した木皮透庸です。
恒例の特集も今年で9年目。今回も、社会にインパクトを与えるポテンシャルがあり、「面白いこと」に取り組んでいるスタートアップを100社選びました。実感するのは、昨年以上にディープテックと呼ばれる研究開発型企業の存在感が高まっていることです。米半導体大手エヌビディアの出資で話題となった生成AI開発のSakana AIも取り上げています。大学発や地方発のスタートアップの掲載も増えました。
国内のスタートアップは2万社を超えて裾野が拡大する一方で、特に成熟期の資金調達は厳しい状態が続いています。100億円規模の大型資金調達を実現しIPO(新規株式公開)の時期を窺う企業もある中、投資を受けたファンドの満期償還への対応で苦慮しているところも少なくありません。十分な成長ができていないのに上場した結果、その後の資金調達が厳しくなり成長が行き詰まる「小粒上場」の問題も指摘されています。
スタートアップの成長加速に向け、より重要になってきているイグジット(出口戦略)や資金調達。本特集ではスタートアップが売り手や買い手となるM&A(合併・買収)、未上場株のセカンダリー(2次取引)についても手厚く取材しました。
また、ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長(経団連副会長)にもインタビュー。
南場会長は自ら立ち上げたVC(ベンチャーキャピタル)で起業家の支援や育成に取り組んでいます。日本のスタートアップエコシステムをどう活性化するか、そのカギを聞きました。大企業の経営者に反省を迫る部分は必読です。
このほか、ユニコーンや上場予備軍の最新動向、200社をカバーした評価額・調達額・評価額変化率のランキング、自治体のベンチャー支援、業界関係者による匿名座談会も掲載しました。
日本でも今やすっかり市民権を得たスタートアップ。その動きから日本社会の針路が見えてきます。スタートアップの関係者はもちろんのこと、そうでない方にもぜひお手に取っていただきたいです。
担当記者:木皮透庸(きがわ ゆきのぶ)
1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。
『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。
創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。
一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。
視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。
図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。
『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。