週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2024年10月5日号
2024年9月30日 発売
定価 950円(税込)
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【特集】製薬サバイバル


国際化を進め、買収で規模を拡大させてきた武田薬品工業が米国、日本で研究員を大量リストラするなど苦戦している一方、中外製薬は外資大手・ロシュの傘下で独自のビジネスモデルを構築し時価総額で国内トップに躍り出ました。第一三共も乳がん薬の成功でジリ貧から脱し、海外製薬大手も注目する存在に変貌しています。本特集では、アステラス製薬やエーザイを含め明暗分かれる国内製薬企業の今や、長引く薬不足の現状を追いました。

担当記者より

特集「苦悩の武田、アステラス/進撃の第一三共、中外『製薬サバイバル』」を担当した印南志帆です。

今回、特集のパート1で大きく取り上げた武田薬品工業は創業240年を超える老舗企業ですが、多くの日本企業の「お手本」となるべき飛躍的なグローバル化を成し遂げました。2015年にCEOに就任したクリストフ・ウェバー氏の下で、世界の創薬の中心地・ボストンに研究開発機能を集約し、買収などにより海外販路も拡大。経営幹部や管理職に女性や外国人など多様な人材の登用を進め、組織体制もまるで外資系企業のようです。東洋経済のインタビュー取材に対し、ウェバーCEOは「非常にいい方向に進んできた」とこれまでの改革に手応えを感じている様子でした。

しかし、株式市場は武田に厳しい視線を注いでいます。6月の株主総会で、ウェバーCEOの取締役再任に対する賛成率は、昨年の95%から76%まで低下しました。2015年には6000円前後を推移していた株価は足元で4000円台前半をつけ、規模で劣る第一三共や中外製薬に追い抜かれてしまいました。ウェバーCEOと市場からの評価の「乖離」の正体は、いったい何なのでしょうか?特集班は、「タケダ愛」溢れる多数の現役・元社員の協力を得て、この難題を丁寧に掘り下げて参りました。

武田のみならず、アステラス製薬、第一三共、中外製薬、エーザイなど、注目の製薬企業の「今」と「これから」に迫っています。業界関係者のみならず、就活生や投資家など、幅広い方にお読みいただけますと幸いです。

今回の特集ではそんな注目のテーマに、ビジネスパーソンにとって必読の情報を盛り込みました。ぜひ手にとってご覧下さい。

担当記者:印南 志帆(いんなみ しほ)
早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者、東洋経済オンライン編集部、電機、ゲーム業界担当記者などを経て、現在は『週刊東洋経済』や東洋経済オンラインの編集を担当。過去に手がけた特集に「会社とジェンダー」「ソニー 掛け算の経営」「EV産業革命」などがある。保育・介護業界の担当記者。大学時代に日本古代史を研究していたことから歴史は大好物。1児の親。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
苦悩の武田、アステラス 進撃の第一三共、中外
製薬 サバイバル

Part1
苦悩する王者 武田薬品

[prologue]国内製薬企業で分かれる明暗
武田薬品、4年で再び 「国内リストラ」の全内幕
▶国内製薬 戦国絵巻 [一目でわかる 業界MAP]
[スペシャルインタビュー]「シャイアーの買収なくして、今の武田はなし」
 
武田薬品工業 社長CEO クリストフ・ウェバー

米国、日本で研究員を大量リストラ 武田薬品、巨額買収の裏で減退した「創薬力」
インドネシアに駐在経験、日本のリストラを主導 MR出身「女性初の国内トップ」の横顔
[座談会]現役社員・OBが匿名で告白! 武田薬品「グローバル化」の光と影
肥満症薬、抗がん剤、認知症薬… 世界から熱視線! 注目の新薬10 伊藤勝彦

Part2
活路を探る 日の丸製薬

【第一三共】特大ヒット薬はたった4人のチームから生まれた 究極のボトムアップで「がんの企業」へ変貌
[インタビュー]第一三共 常務執行役員 研究開発本部長 我妻利紀
【中外製薬】外資大手の傘下で独自ビジネスモデルを構築 肥満症薬を育てた「技術戦略」
[インタビュー]中外製薬 社長・CEO 奥田 修
[インタビュー]住友ファーマ 社長 木村 徹
【アステラス製薬】深刻な開発遅れ 「2つの危機」に直面
[インタビュー]アステラス製薬 社長・CEO 岡村直樹
【エーザイ】欧州当局が承認申請却下し暗雲 頼みの抗認知症薬に懸念材料 坂口 直
人材滞留で派遣MRも今や買い手市場に 早期退職に応募した40、50代MRの“その後”
昇進、転職に有利な女性MRの甘くない現実

Part3
薬が届かぬ国

武見大臣「1成分5社」突然の要請 長引く薬不足で浮上 国主導の再編に温度差 宮本亜美
Meiji、塩野義が国産化も、採算性が課題 抗菌薬、「脱中国依存」の高い壁
バイオ医薬品の製造受託が伸び盛り 富士フイルムが大型投資 バイオの「黒子」で稼ぐ
[epilogue]「ドラッグロス」の深刻度
先を見極めよ! 製薬業界四季報 和島英樹

ひと烈風録
藤木企業取締役相談役 藤木幸夫
死者と共闘したハマのドン 情理に生きる男の素顔


NEWS&TOPICS最前線
輪軸データ不正のJR貨物 「不適切な風土」の深層
キリンのファンケル買収劇 ファンド急浮上で紆余曲折
「フランフラン」を傘下に アインHDが小売りに本腰


連載
|経済を見る眼|「新たな高齢期像」を体現した社会づくり|藤森克彦
|ニュースの核心|自民党総裁選を「政治ショー」で終わらせるな|野村明弘
|トップに直撃|ヤマハ 社長 山浦 敦
|フォーカス政治|総裁選後に自民を待ち受ける茨の道|牧原 出
|マネー潮流|金と原油、明暗が分かれた半世紀|高井裕之
|中国動態|グレーゾーン作戦多発の「汚い中国」|益尾知佐子
|財新 Opinion&News|「EV火災事故」で焦る中国の電池メーカー
|グローバル・アイ|ロシア本土攻撃はウクライナ「戦争終結」の序曲|サミュエル・チャラップ/チャールズ・カプチャン
|Inside USA|トランプ支持に回ったマスクの「不安定さ」|瀧口範子
|少数異見|見渡せば、世襲議員ばかりなり
|シンクタンク 厳選リポート|
|ヤバい会社烈伝|日清食品 カップヌードル 手が出ないっす|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と 分析の手法 75|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|南アが目指す「虹の国」 テレビ放送が果たす役割|原 朋弘
|話題の本|『倫理資本主義の時代』著者 マルクス・ガブリエル氏 に聞く ほか
|名著は知っている|『存在の彼方へ』[第二回]
|社会に斬り込む骨太シネマ|『ピアニストを待ちながら』
|ゴルフざんまい|オリンピックならではの喜びと感動|佐藤信人
|PICK UP 東洋経済ONLINE|
|編集部から|
|次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2024年10月5日号」(9月30日発売)に、以下の誤りがありました。訂正してお詫び致します。
 
52ページ ■中外製薬の記事

肥満症薬「オルフォルグリプロン」についての米イーライリリーの権利
【誤】日本以外での開発・販売権を取得
 ↓
【正】日本を含む世界での開発・販売権を取得
65ページ ■富士フイルムの記事

米バイオジェンの製造子会社買収をめぐる記述
【誤】傘下の米、英、デンマークの工場を手に入れ
 ↓
【正】傘下のデンマークの工場を手に入れ
68ページ ■製薬業界四季報

東和薬品の配当利回り
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【正】2.05%

サワイグループHDの配当利回り
【誤】0%
 ↓
【正】2.57%