特集「銀行 大波乱」を担当した田島靖久です。
日本銀行が金融政策を転換し、ようやく「金利ある時代」がやって来ました。銀行は集めた預金を貸し出しや有価証券投資などに回し、預金の金利と運用利回りとの差、つまり利ざやで収益を得る商売。そのため金利の復活は待ちに待った大きなビジネスチャンスです。市場もそのときを待っていたとばかりに銀行株を買い、株価は上昇しています。
しかし、冷静に銀行を取り巻く環境を見たとき、お花畑のような気分ではいられないことに気づきます。資産のポートフォリオやビジネスモデルなどによってメリットを享受できる銀行と、そうでない銀行とに二極化されるからです。
今回の特集「銀行大波乱」では、金利が1%上昇した場合の利上げメリットをさまざまな角度から試算、ランキングを作成しました。これを見れば、どの銀行が恩恵を受けることができるのか一目瞭然です。
またここ数年、JR東日本や楽天など、異業種からの銀行参入が相次いでいます。最近ではNTTドコモが銀行参入を明言し、業界を震撼させました。彼らはポイントを使って消費者をグループ内に囲い込む、いわゆる「ポイント経済圏」を展開しており、さまざまな規制に縛られている銀行には脅威に映ります。
慌てたメガバンクは異業種の猛攻勢に対抗すべく、個人を中心とするリテール分野において新たな取り組みを始めました。今回の特集では三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)や、みずほFGが水面下でひそかに進めていたグループ内の再編劇をスクープ。リテール戦争の様子をつぶさにお伝えします。
そこには、黒船の襲来によって、ようやく変わり始めた銀行の姿があります。今回の特集ではそんな注目のテーマに、ビジネスパーソンにとって必読の情報を盛り込みました。ぜひ手にとってご覧下さい。
担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
週刊東洋経済編集部副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件・事故を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社し現職。
62ページ | 三菱UFJ銀行・堀直樹会長について、別人の顔を掲載しました。 11月7日公開のウエブ版では正しい写真に差し替えます。 |