週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2024年11月30日号
2024年11月25日 発売
定価 950円(税込)
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【第1特集】医者・医学部 崖っぷち

医師は増えているにもかかわらず、地域と診療科に偏りが見られます。今年からは残業規制が始まり働き方も激変しています。本特集では、医師不足の中で診療をどう維持していくのか苦悩する診療現場を徹底取材。また、これから有望な診療科は何かを、市場の伸びや収益性など将来の医療需要を踏まえつつ大胆に予測。「直美(ちょくび)」と呼ばれる、初期研修後に直接、美容医療業界に進む若手医師が増えている実態や、医学部の序列変化、研究力についても解説します。
 

【第2特集】羽生結弦 進化するエンターテイナー


世界一有名なフィギュアスケーターが、今さらなる進化を遂げようとしている。最新ツアー「Echoes of Life」、12月7日の開幕を前に明かされた「プロ」としての思い、その影響力。

担当記者より

「医者・医学部」特集を担当した兵頭輝夏です。今年4月に「医師の働き方改革」が始まったけれど、現場はどうなっているのだろうか。現状を知るために、全国各地の病院に取材をさせてもらいました。

分かったのは、依然として医師が大変な働き方をしているということです。中には、見せかけの労働時間を短縮するため、無給で働くベテラン医師たちも多くいました。最近ではワーク・ライフ・バランスを重視する若手が、外科や産科など24時間365日の対応が必要な診療科を避ける傾向にあり、若手の医師不足が深刻になっています。

医療現場は、ベテラン医師たちの責任感と長時間労働で何とか成り立っている状況でした。その中でも、若手の教育や、職場環境改善のために奔走する医師たちがいました。

とくに印象的だったのは、女性比率が1割に満たない消化器外科医の奮闘ぶりです。出産や子育てをしながら長時間働いて出世し、若手が働きやすい職場づくりを進める方もいました。女性が「バリキャリ」となるのは、長年男性中心の医療現場では簡単ではなかったはずです。

医師の劇的な増員が難しい中では、業務の見直しや効率化も欠かせません。医療現場でも少しずつDX化や、業務の優先順位付け、効率化が進んでいます。こうした取り組みが必要なのは、決して医療現場だけではないはずです。

加えて今特集では、研究力の高い大学ランキングや診療科ごとの未来予想など、医学部を志す方にも役立つテーマを盛りこみました。ぜひ手に取ってご覧下さい。

担当記者:兵頭 輝夏(ひょうどう きか)
東洋経済記者。愛媛県生まれ。 東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年入社、食品・飲料メーカーを担当。温泉や銭湯が好き。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
医者・医学部 崖っぷち

Part1
医師たちの苦闘

ドクターが足りない! 働き方改革で診療現場に試練
[市立函館病院]島への派遣を縮小
[十和田市立中央病院]過疎地での苦闘
[湘南鎌倉総合病院]チーム医療で負担軽減

医師の偏在、働き方改革が拍車 解消されない都市集中
若手がハードな職場を敬遠 「がん手術できない」 絶滅危機の消化器外科
大学病院、崩壊の危機 働き方改革で矛盾噴出 やりがい搾取の限界か
大学病院 もう1つの危機 「選択と集中」で研究力低下

Part2
医師のキャリアと医学部の実力

20年後の診療科未来図34 診療科を4つの指標で診断 笑う医者・泣く医者
「タイパ」「コスパ」を求め美容医療の道へ 若手医師に広がる「直美(ちょくび)」
湘南美容は米ナスダック上場 「切らない」美容医療 大手チェーンが出店拡大
いつのまにか膨らむ支払総額 「整形沼」にはまるとエンドレス

科研費獲得と論文引用の回数で評価 医学部「研究に強い大学」 東大に京大、阪大が迫る
医学部の序列に変化 歴史から見るヒエラルキーと「ダブル合格者」の進学先
医療界最大の圧力団体の素顔 日本医師会の不安 逆風下の25年参院選

第2特集
羽生結弦 進化するエンターテイナー
羽生結弦 スペシャルインタビュー 「どの席で見ても、特別な体験をしてもらいたい」
公演が地域振興の好機に
被災地支援へのこだわり
「人のための金メダル」の意味 復興支援のための2連覇だった

NEWS&TOPICS最前線
みずほが楽天カードに出資 カード事業統合に布石打つ
追い込まれ苦境のドコモ 値下げ競争再燃へ火蓋切る
半導体バブルに異変あり 「AIかそれ以外」で明暗


連載
|経済を見る眼|石破政権「地方創生2.0」への注文|小峰隆夫
|ニュースの核心|石橋湛山が見通した世界経済の「百年戦争」|西村豪太
|トップに直撃|トーセイ 社長 山口誠一郎
|フォーカス政治|国民民主は多党政治の主役担えるか|塩田 潮
|マネー潮流|「債券自警団」が狼少年でなくなる日|森田長太郎
|中国動態|強まる不確実性、政策選好に影響か|加茂具樹
|財新 Opinion&News|中国で進む地下駐車場「EV火災対策」の中身
|グローバル・アイ|プラトンを読めばトランプ現象は完全に予測可能|ジェイソン・スタンリー
|FROM The New York Times|二の舞いを演じぬテック重鎮 トランプへの「媚びへつらい」
|少数異見|「地方創生」、あえて東京を擁護する
|ヤバい会社烈伝|米ドラマ「フレンズ」 取り巻きが悪いと天国から地獄っす|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法82|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|「平成の大合併」が原因 河川の水質への悪影響|元橋一輝
|話題の本|『富士山』著者 平野啓一郎氏に聞く ほか
|名著は知っている|『下駄で歩いた巴里』[中編]
|社会に斬り込む骨太シネマ|『ぼくとパパ、約束の週末』
|西野智彦の金融秘録|異次元緩和「解体」への道②
|編集部から|
|次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2024年11月30日号」(11月25日発売)に、以下の誤りがありました。訂正してお詫び致します。
 
57ページ ■歴史から見るヒエラルキーと「ダブル合格者」の進学先

ダブル合格者の進学先についての記述
【誤】過去5年で累計10人以上のデータ
 ↓
【正】過去5年で累計5人以上のデータ

表の(注)も「5人以上」に訂正します