「病院 大淘汰」を担当した井艸恵美です。
全国の民間病院、公立・公的病院を取材しました。いずれの病院の病院長も口をそろえて窮状を語ります。診療報酬の抑制、人件費の高騰、患者の減少、医療材料の値上げの4重苦で、経営力のある病院ですら黒字化できない状況です。
これまで過疎地を中心に起こっていた病院の再編や統合は、今後は地方都市でも起こりえます。ある病院経営者は「胴体着陸にならないように、『撤退戦』を考えなければならない」と言います。限られた医療の担い手を有効に活用するためにも、病院の集約化は避けられません。
ただ、病院は統合できても、そこに住む人々に別の町に移動して暮らせとは言えません。病院再編では、少子化によって採算が取りにくい新生児集中治療室やハイリスク分娩などを担う周産期医療の維持が課題になっています。そうした機能がなくなれば、その町の出生率はさらに低下するでしょう。石破首相が掲げる「地方創生」は、病院再編の行方と表裏一体だと思います。
今回はあまり内情が語られることのない日本赤十字病院や済生会グループの経営改革、離島医療に原点回帰する徳洲会病院の意外な一面を深掘りしています。医療関係者はもちろん、ビジネスパーソンにとって必読の情報を盛り込みました。ぜひ手にとってご覧下さい。
担当記者:井艸 恵美(いぐさ えみ)
群馬県生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。実用ムック編集などを経て、2018年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部を経て2020年から調査報道部記者。
『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。
創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。
一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。
視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。
図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。
『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。
52~53ページ | ■自治体病院 累積欠損金ランキング 愛知県立愛知病院、愛知県立循環器呼吸器病センター、岐阜県総合医療センタ-、大阪市立総合医療センター、大阪市立十三市民病院、神奈川県立こども医療センター の6病院を削除 |
67ページ | ■医療法人売上高ランキング 43位 啓仁会の病床数 【誤】1,26床 ↓ 【正】1268床 |