「病院 大淘汰」を担当した井艸恵美です。
全国の民間病院、公立・公的病院を取材しました。いずれの病院の病院長も口をそろえて窮状を語ります。診療報酬の抑制、人件費の高騰、患者の減少、医療材料の値上げの4重苦で、経営力のある病院ですら黒字化できない状況です。
これまで過疎地を中心に起こっていた病院の再編や統合は、今後は地方都市でも起こりえます。ある病院経営者は「胴体着陸にならないように、『撤退戦』を考えなければならない」と言います。限られた医療の担い手を有効に活用するためにも、病院の集約化は避けられません。
ただ、病院は統合できても、そこに住む人々に別の町に移動して暮らせとは言えません。病院再編では、少子化によって採算が取りにくい新生児集中治療室やハイリスク分娩などを担う周産期医療の維持が課題になっています。そうした機能がなくなれば、その町の出生率はさらに低下するでしょう。石破首相が掲げる「地方創生」は、病院再編の行方と表裏一体だと思います。
今回はあまり内情が語られることのない日本赤十字病院や済生会グループの経営改革、離島医療に原点回帰する徳洲会病院の意外な一面を深掘りしています。医療関係者はもちろん、ビジネスパーソンにとって必読の情報を盛り込みました。ぜひ手にとってご覧下さい。
担当記者:井艸 恵美(いぐさ えみ)
群馬県生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。実用ムック編集などを経て、2018年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部を経て2020年から調査報道部記者。
52~53ページ | ■自治体病院 累積欠損金ランキング 愛知県立愛知病院、愛知県立循環器呼吸器病センター、岐阜県総合医療センタ-、大阪市立総合医療センター、大阪市立十三市民病院、神奈川県立こども医療センター の6病院を削除 |
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