週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年3月29日号
2025年3月24日 発売
定価 950円(税込)
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【第1特集】再来! 大倒産時代

コロナ禍での支援策で落ち着いていた企業倒産が昨年、11年ぶりに1万件を突破しました。ゼロゼロ融資の返済や物価高、そして金利上昇など企業に対する逆風は強まるばかりです。本特集では突然破産した船井電機破産の真相や、急拡大しているコンプライアンス違反を原因とする倒産の現状などをリポート。また、倒産予知モデルで算出したリスクの高い上場企業を見分けるための倒産危険度ランキングを作成、今回の分析では683社が危険水域にあることが判明しました。
 

【第2特集】狙われたセブン&アイ 巨艦の分かれ道


社長交代で刷新アピールでも「外圧」は強まるばかり。成長戦略を示せるか。

担当記者より

「既存融資の追加はもちろん、ゼロゼロ融資など、借りられるものは全部借りた。そのおかげでどうにか社員のクビも切らずここまでこられたが、さすがにもう無理かもしれない」

昨年末、かれこれ15年以上の付き合いになる中小企業社長と会った際、彼が肩を落としながらつぶやいたこの一言がきっかけになりました。

今回の特集は「再来!大倒産時代」。東京商工リサーチの調査で2024年に倒産した企業の件数が、実に11年ぶりに1万件を超えました。コロナ禍で政府のなりふり構わぬ支援策で抑え込まれていた倒産が、平時に戻ったことで一気に噴き出した感じです。

当初は、「コロナ禍が終われば企業業績も回復する」と言われていました。しかし、企業を取り巻く環境がすぐに変わるわけではありません。しかもゼロゼロ融資を始めとする支援策を受けた企業は過剰債務に陥り、かえって苦しくなっていました。

特集では、実際のケースやデータを基に、倒産に至った背景に迫りました。そこには主に中小企業がゼロゼロ融資の返済、円安、物価高、そして人手不足という“四重苦”に苦しめられている現状がありました。

加えて昨今、増加しているもう一つの倒産があります。長年、粉飾決算や架空取引に手を染めてきた老舗企業が、倒産に至るという「コンプラ倒産」です。債務超過に陥っているにもかかわらず、売上高や利益を偽って生きながらえてきたものの、コロナ禍を経て露呈してしまうケースが後を絶たないのです。

そこで、信用調査会社のプロが語る「危ない企業の見分け方」、そしてまんまとだまされてきた銀行員たちの本音も掲載しました。

そして特集の目玉は、全上場企業を対象にした「倒産危険度ランキング」。じつに683社が危険水域にあることがわかりました。

金利が上昇している中で利払い負担が膨らみ、企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。是非、特集を手に取っていただき、お読みいただければ幸いです。

担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
週刊東洋経済編集部副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件・事故を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社し現職。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
再来! 大倒産時代

Cover Story
高まる信用不安

マレリに忍び寄る「ハゲタカ」 日産発「連鎖倒産」の悪夢
[Column] 50万社が倒産予備軍 高止まりするゾンビ企業

Part1
倒産ラッシュ

コロナ後に環境激変!企業を追い詰める倒産の「四重苦」
[ゼロゼロ融資倒産/円安倒産/物価高倒産/人手不足倒産]
コロナ禍のシワ寄せ受ける 信用保証協会の苦悩と焦燥
スポンサーや社長が相次ぎ交代 船井電機 突然破産の真相
脱毛クリニックの倒産が続出 前払いビジネスの罠
[Column] 後継者不足に付け込む 事業承継の闇

Part2
コンプラ違反倒産

過去最高の320件を記録 不正に手を染める企業たち
不正を見抜けない 銀行員 覆面座談会
企業調査のプロが伝授! 危ない企業の見分け方 後藤賢治
倒産企業への新たな姿勢 銀行「再生ビジネス」の本気度

Part3
時限爆弾

「危ない企業」はここだ! 倒産危険度ランキング 477社
全上場企業を倒産予知モデルで分析 683社が危険水域に

第2特集
狙われたセブン&アイ 巨艦の分かれ道
「敵対的買収しない」と言うが… カナダ社創業会長の胸の内
創業家のMBOが破談 金策難航、埋まらない溝

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