週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年4月12日号
2025年4月7日 発売
定価 950円(税込)
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【第1特集】万博、IR、再開発… 関西が熱い!

大阪・関西万博が開幕し、2030年にはIR(統合型リゾート)が開業。都市開発も盛り上がっています。これまで産業基盤が細ってきた関西経済は、この万博を機に、かつての勢いを取り戻せるのでしょうか。本特集では、3兆円といわれる万博の経済波及効果を検証するほか、大阪「うめきた」などでの再開発の動きをリポート。駅別マンション価格上昇率ランキングのほか、関西圏の企業や大学の新秩序についても詳しく解説しており、徹底的に関西の今にスポットを当てました。
 

【第2特集】関西圏 大学の新序列


大阪公立大の人気上昇。立命館大、近畿大など注目大学最新動向。

担当記者より

特集「万博、IR、再開発… 関西が熱い!」を担当した野中大樹です。

4月13日から大阪・関西万博が開幕します。関西の経済界は、この万博とどう向き合っているのか。関西経済の課題はどこにあるのか。万博を開催することで、課題をどう克服できるのか。そんなことを考えながら関西を歩きました。

ある経営者は「経済効果は2兆9000億円や。期待しとるで」と高揚して言いました。別の経営者は、「本当に2820万人(来場者想定)も来るんか?」とこぼしました。また別のある経営者は「入場チケットを企業がどれだけ買わされたか」と嘆きました。実際、買われた前売りチケットの7割は企業による購入分です。2割は修学旅行などの団体向けですから、一般の個人で買っている人は1割程度ということになります。

なぜ一般人の購入が増えないのか。一因として挙げられるのが「チケットが買いにくい」こと。3月も後半になって「当日券」が買えるようになりましたが、当初は「並ばない万博」実現のために完全予約制をとり、デジタル上でIDを取得し、来場する日時まで、こと細かに決めなければなりませんでした。高齢者にとっては厳しい仕組みです。ほかでもない、「並ばない万博」を提唱した松井一郎前大阪府知事も「自分では買えず、娘にやってもらった」と明かしました。

とはいえ、万博は経済活性化の起爆剤。かつてはパナソニック(旧松下電機)やシャープが関西経済を牽引しました。これからは観光業やヘルスケア産業や主力となっていくかもしれません。万博は、新しい産業基盤を構築する奇貨となりえますし、実際、関西経済人の多くがそうなることを望んでいます。

大阪駅の周辺では再開発工事が活況です。阪急阪神ホールディングスやJR西、大和ハウス工業、三菱地所など大手デベロッパーが熱く陣取り合戦を繰り広げています。長らく昭和の雰囲気が残っていた歓楽街「十三」にも再開発の波が押し寄せ、街の風景が一変しそうです。現場を歩いた記者の生々しいリポートを掲載しています。

関西企業の序列が30年前比でどう変わったのかを時価総額と売上高で評価するページや、中古マンション価格が最も上がっている駅をランキング形式で見せるページにも力を込めました。ぜひ、ご覧ください。

担当記者:野中 大樹(のなか だいき)
東洋経済記者。熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年、東洋経済新報社に入社。現在は統合編集部。

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『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

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「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

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『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
万博、IR、再開発... 関西が熱い

第1章
万博マネー 光と影
「70年万博」を超えられるか 万博経済効果3兆円達成への高いハードル
大阪ヘルスケアパビリオンがスゴい 予防、治療の未来を体験
競合が増えて前提が崩れる懸念 初期投資1兆円超 大阪IRの期待と不安
[インタビュー] 関西経済連合会会長 松本正義
「"待たずに入れる"施策に誤算 訪日客の来場は800万人も」

[インタビュー] 前大阪府知事 松井一郎
「万博? 最初はネガティブだった 関西ものづくり文化を披露したい」

維新と自民党の不協和音も 万博不人気の陰に仕切り屋電通の不在
大阪市がカジノ業者に忖度した証拠 不動産鑑定の奇妙な一致に訴訟6件の泥沼
万博会場整備費が高騰した一因か 維新が気を使う大阪生コン協同組合

第2章
狂乱 再開発マネー
阪急vs.JR西vs.三菱地所 「うめきた」で大暴れ 不動産、春の陣取り合戦
動き出した「眠れる獅子」 神戸・三宮、エリア刷新の賭け
[現場を歩く] 最後の歓楽街「十三(じゅうそう)」 大型再開発の舞台裏
南海が狙う「グレーターなんば」構想 「なにわ筋線」にらむ南北の動き
[駅別] マンション価格上昇率ランキング

第3章
関西企業の新序列
低迷のパナソニック・躍進のダイキン 関西家電二強 盟主交代の裏側
浮かぶ阪急本店、沈む阪神本店 明暗くっきり!大阪小売り戦争
[インタビュー] 阪急阪神百貨店 社長 山口俊比古
『会社四季報』データで見る 大阪、京都、兵庫 企業序列「今」と「30年前」

第2特集
関西圏 大学の新序列
各種ランキングで評価 関西圏の大学の真価は
[インタビュー] 近畿大学 経営戦略本部長 世耕石弘
「実学」重視でベンチャー育成
[インタビュー] 学校法人立命館 総長 立命館大学 学長 仲谷善雄
 民間出身の異色総長が進める研究力強化


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