特集「解読!地政学』を担当した兵頭輝夏です。
特集の準備を始めた4月末からの2カ月間、米国の関税交渉やイラン空爆など、世界は目まぐるしく動きました。寝ている間に世界情勢が一変しているかもしれず、朝のニュースをチェックするのが恐い毎日でした。
今回の特集では、まず各国経済に混乱をもたらす「トランプ関税」の読み解き方に迫りました。
世界最大の輸入国である米国が高関税を課せば、その影響は世界中に波及します。各国との関税交渉は数度にわたり延期され、いまだ決着に至っていません。日本企業もサプライチェーン再構築という課題を突き付けられています。
「予測不能」と評されるトランプ氏の次の一手をどう読むか。本誌では、米国務省で主席アナリストを務めた経験を持つ経済学者が「ゲーム理論」を用いて、トランプ外交の読み解きを試みています。
経済にとどまらず、政治的・軍事的にも波乱が続きそうです。
トランプ氏は再選前から「戦争を終わらせる」と訴え、3月にはウクライナに譲歩を求めました。ところが7月には一転、ロシアのプーチン大統領の戦争を止めない姿勢に業を煮やしたのか、ウクライナへの武器供与再開を表明しました。
6月には、イスラエルを支援する形で米国がイランを空爆。歴代政権の介入主義を否定する形で当選したトランプ氏が、矛盾した行動をとったようにも見えました。トランプを支持する人々の間でも、戦争をめぐって対立が表面化し、米保守思想の複雑さが浮き彫りになりました。
特集では、こうした米国内外の動きを第一線の識者と共に多角的に分析。締め切り直前まで変化する情勢を反映し、世界の「今」を読み解く視座を詰め込みました。激動の「トランプ時代」を生きるためのヒントがここにあります。ぜひご一読ください。
担当記者:兵頭 輝夏(ひょうどう きか)
東洋経済記者。愛媛県生まれ。 東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年入社、食品・飲料メーカーを担当。温泉や銭湯が好き。
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