今後、結婚の常識が大きく変わる!!
現在、活躍の場をアジアに求めて飛び出し、そこでアジアのグローバル・エリートと国際結婚し活動する日本人女性=「なでしこ姫」が急増中。彼女たち急増の背景には、日本における女性差別的慣行や、絶食化する若年男性の問題があった。
一方の若年男性は現在、好きな女性がいても告白せずに様子をみているという。さらには、恋愛に消極的で誘われるのを待つ「草食系」にとどまらず、そもそも女性との交際を諦めている、あるいは女性との交際が面倒くさいといって恋愛欲求すらもたない「絶食系男子」へと変質している。
グローバル化の進展、雇用不安定化のなかで「なでしこ姫」は海外に進出し、安定志向の日本人男性は「絶食系男子」となって国内に取り残される。30代前半男性のほぼ半分、女性の3分の1が未婚という日本における結婚の現状は、今後どうなるのか。
日本の結婚問題が、日本の社会・経済システムが停滞から抜け出せないことの象徴であることを喝破し、結婚の常識が大きく変わることを明確に示した、家族経済学の視点から発せられた警鐘。ベストセラー『「婚活」時代』で「婚活」ブームの火付け役となり、「パラサイト・シングル」「希望格差」など多くの言葉を世に送り出してきた著者(山田昌弘氏)による新刊。
序 章 国際結婚の現在・過去・未来 第1章 アジアにおける日本人女性の国際結婚 第2章 国際結婚の背景にある日本社会の現状 第3章 経済力が低下する日本人男性と国際結婚の動向 第4章 絶食系男子とロマンティック・ラブは成立するか 第5章 あなたにとっての「結婚の決め手」は何ですか? 第6章 「予定調和」な幸福を夢見ることはできない? 第7章 グローバル化の中での「偶然の出会い」 第8章 恋愛にも結婚にも積極的なアジア人男性 第9章 「運命の赤い糸」で結ばれる理由 第10章 日本では、キャリアも家族も手に入れにくい 第11章 パンドラの箱を開けてもいないのに「希望」すらもない? 終 章 国際結婚から見えてくるもの
山田昌弘
やまだ・まさひろ
1981年東京大学文学部卒業。1986年同大学院社会学研究科博士課程退学。東京学芸大学教授を経て、2008年より中央大学文学部教授。内閣府男女共同参画会議民間議員。専門は家族社会学。「パラサイト・シングル」や「婚活」といった言葉を世に送り出すなど、愛情やお金を切り口として、家族関係を社会学的に読み解く試みを行っている。
主な著書に、『近代家族のゆくえ』(新曜社、1994年)、『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書、1999年)、『希望格差社会』(筑摩書房、2004年)、『迷走する家族』(有斐閣、2005年)、『少子社会日本』(岩波新書、2007年)、『ワーキングプア時代』(文藝春秋、2009年)、『なぜ若者は保守化するのか』(東洋経済新報社、2009年)がある。また共著に、『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書、2008年)、『家族の衰退が招く未来』(東洋経済新報社、2012年)などがある。
開内文乃
ひらきうち・ふみの
一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程退学。現在、中央大学文学部兼任講師、フェリス女学院大学文学部非常勤講師。専門は、家族社会学、ジェンダー理論、グローバリゼーション論。
主な論文に、「グローバル・ファミリーの出現―国際結婚の新しい形―」(『比較家族史研究』第26号)、「国際結婚の動向とその親子関係」(『アディクションと家族』Vol.28 No.3)がある。また主な訳書に、C.コーワン&P.コーワン『カップルが親になるとき』(共訳、勁草書房)、Z.バウマン『幸福論―"生きづらい"時代の社会学』(共訳、作品社)がある。