ヨーロッパも、アメリカも、中国も、総崩れだ。
グローバル化万歳論は 大いなるまやかしだった。
欧州危機に端を発する国際金融の混乱は、まったく収束のメドは立っていない。ヨーロッパも、アメリカも、中国も総崩れで、グローバル化万歳論はおおいなるまやかしだった。この混乱はたんにいくつかの国の財政破綻で終わるものではなく、より大きな世界経済の大変動の始まりである。これまで世界各国の政治家・中央銀行・経済学者・マスコミが吹聴してきた4つの幻想が崩れ落ちようとしているからである。すなわち、
(1)借金踏み倒し経済は永続するという幻想、
(2)超大国・多国籍巨大企業は効率的だという幻想、
(3)経済のグローバル化は歓迎すべきだという幻想、
(4)エリート支配こそ理想の社会をつくるという幻想
が終わりととげるとともに、欧米先進国もアジア新興国も衰退に向かう。しかしこれらの4つの幻想にとらわれることなく、
(1)投資銀行も肥大化せず、
(2)どの業界も寡占は中途半端、
(3)グローバル化もさして進まず、
(4)超エリートが政治・経済を支配することもなかった
日本が、欧米先進諸国やアジア新興国の没落をよそに「屹立する」。一貫して「日本楽観論」を主張して読者を魅了し続けてきた人気アナリストが、欧州危機後の世界経済の行方を大胆に予言する一冊。
序 章 2012年 幻想協奏曲が終末部に入る 第1章 借金踏み倒し経済は永続するという幻想 第2章 超大国・多国籍巨大企業は効率的だという幻想 第3章 経済のグローバル化は歓迎すべきだという幻想 第4章 エリート支配こそ理想の社会をつくるという幻想 第5章 4つの幻想と無縁な真正大衆社会――日本
増田悦佐
ますだ・えつすけ
1949年東京都生まれ.一橋大学大学院経済学研究科修了後,ジョンズ・ホプキンス大学大学院で歴史学・経済学の博士課程修了.ニューヨーク州立大学助教授を経て,外資系証券会社で建設・住宅・不動産担当アナリストをつとめる.現在,株式会社ジパング経営戦略本部シニアアナリスト.
主な著書に『危機と金』(東洋経済新報社)、『経済論争の核心はここだ』(NTT出版)、『日本と世界を直撃するマネー大動乱』(マガジンハウス)、『いま資産を守るためにいちばん大切なこと』(徳間書店)、『高度経済成長は復活できる』(文春新書),『日本型ヒーローが世界を救う!』(宝島社),『格差社会論はウソである』(PHP研究所),『内向の世界帝国 日本の時代がやってくる』(NTT出版),『クルマ社会・7つの大罪』(PHP研究所),『奇跡の日本史』(PHP研究所),『3・11に勝つ日本経済』(PHP研究所)等.