日本経済が停滞する真因とは?
家族社会学と経済学の視点から、日本の過去、現在、未来を読み解く。
日本経済が停滞する真因は、高度成長期につくられたモデルから離れられないことにある。それは、経済モデルだけでなく、家族モデルにもあてはまる。
年金、医療、雇用、結婚などの右肩上がりの時代につくられた「戦後家族モデル」を前提とした数々の制度への不信によって、多くの将来不安が生みだされ、結果、経済の大停滞を招いている。
これらの将来不安を解消するように制度を見直すことによって、日本は再び成長することができる。家族社会学と経済学の視点か、様々な統計やデータを用いて、日本の過去、現在、未来の姿を読み解き、危機を回避するための処方箋を示す。
序 経済学と家族社会学のコラボレーションが求められる時代へ 第1章 右肩上がりだった日本経済 ――需要と供給がバランスよく伸び、高度成長からバブルへ 第2章 すべての制度は高度成長期につくられた ――典型的な「戦後家族モデル」と経済の関係 第3章 長期停滞に陥った日本 ――深刻な需要不足を生み出した複合的要因とは 第4章 変容する家族と噴出する諸問題 ――少子化、経済停滞はなぜ起こったか 第5章 将来の家族の姿と日本経済 ――家族の消費需要は回復するのか 第6章 10年後、20年後の日本経済 ――過度な悲観が正しくないこれだけの理由 第7章 危機を回避するための処方箋 ――政府、企業、私たちは何をすべきか
山田昌弘
やまだ・まさひろ
中央大学文学部教授。
東京都出身。東京教育大学(現筑波大学)附属駒場中・高等学校を経て、1981年東京大学文学部卒業。1986年同大学院社会学研究科博士課程退学。東京学芸大学教授を経て、2008年より現職。内閣府男女共同参画会議民間議員。専門は家族社会学。愛情やお金を切り口として、家族関係を社会学的に読み解く試みを行っている。
主な著書に『近代家族のゆくえ』(新曜社、1994年)、『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書、1999年)、『希望格差社会』(筑摩書房、2004年)、『迷走する家族』(有斐閣、2005年)、『少子社会日本』(岩波新書、2007年)、『ワーキングプア時代』(文藝春秋、2009年)、『なぜ若者は保守化するのか』(東洋経済新報社、2009年)がある。また共著に『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書、2008年)など多数がある。
塚崎公義
つかさき・きみよし
久留米大学商学部教授。
東京都出身。東京教育大学(現筑波大学)附属駒場中・高等学校を経て、1981年東京大学法学部卒業。同年日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。主に経済予測などに従事したのち、2005年に銀行を退職して久留米大学に転職、現在に至る。
主な著書に『図解 経済初心者のための景気の見方・読み方』(東洋経済新報社、2000年)、『図解 よくわかる構造改革』(同、2001年)『初心者のための経済指標の見方・読み方』(同、2010年)、『不良債権処理先送りの合理性』(同、2011年)、共著に『初心者のためのやさしい経済学』(東洋経済新報社、2002年)、『世界経済 連鎖する危機』(同、2009年)、『初心者のためのやさしい金融 第2版』(同、2009年)など多数がある。
ホームページ:http://www.tsukasaki.net