日本人と経済

労働・生活の視点から

橘木 俊詔著
2015年10月9日 発売 在庫なし
定価 1,980円(税込)
ISBN:9784492396193 / サイズ:四六/並/344

日本経済100年の見方が覆る! 通常のマクロ経済学ではなく、独自の視点から経済を語り続ける橘木経済学の集大成。
日本経済の姿をとらえる時には、筆者によって様々な視点があります。本書は、労働経済学・格差問題などの第一人者である筆者が、経済現場をフィールドワークし続けてきた立場から、日本経済の過去・現在・将来の姿を生活者を中核に据えてとらえた「日本経済」の入門書です。「私たちは、どのように働いて生活をしてきたのか」の問題意識を主軸に据えて、日本経済が様々に変遷する姿が描かれます。明治時代の小作・地主関係をスタートに、第一次産業、第二次産業、そして第三次産業へと働くウエートが移りゆく姿。第二次大戦前の女性も働き続けざるをえなかった貧しい日本経済の姿が、戦後はM字カーブを描く姿へと変容し、それがまた男女ともに働く姿へ移りつつある状況。戦前のきわめて大きな経済格差が、高度成長期を通じて縮小してきたものの、いままた拡大をしつつある問題点の追求。それらへの解決策としての教育問題や少子高齢問題への対応の処方箋の提案。財政問題・福祉国家像をふまえた日本のあるべき将来像の考え方。盛りだくさんの内容ですが、平易な筆致で描かれています。
「はしがき」より
日本経済に関する書物は、研究書から啓蒙書、そして入門書まで含めて無数にある。そこに橘木による日本経済論を世に問うには、何らかの特色を前面に出さないと無視されること必至である。
その特色を一言で要約すると、次のようになる。すなわち、第1に、経済活動の担い手として労働に励む人々の姿と、第2に、経済活動の成果で得た賃金や所得をどのように使い、そして労働以外の時間を何に使うのかの姿に、注目した。後者を生活者と理解すれば日本人はどのような生活者であったかの姿を分析するのである。労働者としてと、生活者としての日本人を幅広い視点から議論することが本書の目的である。
【日本経済を読み解く六つの視点】
1.明治時代以降の100年の歴史的な活動・行動を読み解く
2.教育・社会保障・働き方にまつわる制度について考察する
3.企業と労働者の行動様式の変化を解釈する
4.政府が日本社会で果たしてきた役割を客観的に評価する
5.女性にかんする労働と生活の両立の問題を考察する
6.格差問題を効率と公平のトレード・オフ関係から分析する

商品を購入する

概要

日本経済100年の見方が覆る! 通常のマクロ経済学ではなく、独自の視点から経済を語り続ける橘木経済学の集大成。

目次

第1章 戦前における旧体制の日本経済
第2章 日本経済の成功物語:高度成長期と安定成長期
第3章 バブル後に長期停滞に陥る
第4章 戦前から戦後において、人はどこで働いていたか
第5章 日本企業の特色とコーポレート・ガバナンス
第6章 自営業者が減少したにもかかわらず、一部は高所得者になる
第7章 女性は生活者だったのか、それとも労働者だったのか
第8章 政府は産業発展の牽引車だったのか、それとも生活者の味方だったのか
第9章 日本が福祉国家になることにおいて、財政赤字は支障となるのか
第10章 不平等社会から平等社会へ、そして再び不平等社会へ
第11章 教育が日本経済と社会に与えた影響
第12章 今後の日本経済の進路を占う

著者プロフィール

橘木 俊詔  【著】
たちばなき としあき

1943年兵庫県生まれ。小樽商科大学卒、大阪大学大学院修士課程修了、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。京都大学経済学部教授、同志社大学経済学部教授を経て、現在京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授。その間、仏米英独で教育・研究職。2005年度日本経済学会会長。専攻は経済学。
本書と関連する著作:『日本の経済格差』(1998年)、『安心の経済学』(2002年)、『格差社会』(2006年、以上岩波書店)、『学歴入門』(2013年、以上河出書房新社)、『共生社会を生きる』(2015年、晃洋書房)、『21世紀の資本主義を読み解く』(2015年、宝島社)、『夫婦格差社会』(2013年、中央公論新社)、『セーフティ・ネットの経済学』(2000年、日本経済新聞社)、『日本の地域間格差』(2012年、日本評論社)、『無縁社会の正体』(2010年、PHP研究所)、『消費税15%による年金改革』(2005年)、『女女格差』(2008年)、『安心の社会保障改革』(2010年、以上東洋経済新報社)。