21世紀の知識社会を生き抜くマネジメントの叡智
1990年代に野中郁次郎氏が提唱した「知識経営理論」は、日本企業の強みを経営資源としての「知識」にあることを喝破し、その概念は、日本発の経営理論として世界の経営学のみならず、ビジネス界に導入されるなど、多大な影響を与えた。
それから20年、当時は世界のお手本とされた日本企業は傾き始め、欧米の市場原理主義的な資本主義はリーマンショックによって挫折を余儀なくされた。
本書では、このような課題に取り組む経営学としての「知識経営理論」を今日の文脈に置き直し、経営学というジャンルを超えて多面的に分析し、実際の企業経営・働き方でも活用できるプリンシプル(原理・原則)にまで昇華させたたものである。
序 章 持続的社会システムと経営 第1)部 知行合一の戦略学 第1章 実践学の方法論 第2章 知の生態系 第3章 生きざまとしての戦略 第1)1)部 実践知の組織とリーダーシップ 第4章 実践知による判断の方法論 第5章 賢慮のリーダーになる 第6章 場によって創られる組織 第1)1)1)部 事業の革新と持続性 第7章 知識資産とビジネスモデル 第8章 社会に技術をつなぐデザインの知 第9章 情報の海を我がものとする 第10章 市場としての都市 おわりに 知識創造経営の役割
野中郁次郎
のなか・いくじろう
一橋大学名誉教授。1935年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造勤務の後、カリフォルニア大学(バークレー校)経営大学院にてPh.D.取得。南山大学経営学部、防衛大学校、北陸先端大学院大学各教授を歴任。クレアモント大学ドラッカースクール名誉スカラー、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院ゼロックス知識学ファカルティフェロー、早稲田大学特命教授、富士通総研経済研究所理事長。
知識創造理論を世界に広めたナレッジマネジメントの権威で、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙で「世界で最も影響力のあるビジネス思想家トップ20」に選ばれる。
著書に『組織と市場』(千倉書房)、『失敗の本質』(共著、ダイヤモンド社)、『知識創造の方法論』『流れを経営する』(共著、東洋経済新報社)、『知識創造の経営』(日本経済新聞社)、『戦略の本質』『日米企業の経営比較』(共著、ともに日本経済新聞社)、『美徳の経営』(共著、NTT出版)、The Knowledge-Creating Company(共著、邦題『知識創造企業』)、Enabling Knowledge Creation(共著、邦題『ナレッジ・イネーブリング』)(ともにOxford University Press、日本語版は東洋経済新報社)などがある。
紺野 登
こんの・のぼる
KIRO(知識イノベーション研究所)代表、多摩大学大学院教授。1954年東京都生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。博報堂勤務などを経て現職。京都工芸繊維大学新世代オフィス研究センター(NEO)特任教授、東京大学i.schoolエグゼクティブ・フェローなどを兼任。博士(経営情報学)。
デザインとイノベーション、リーダーシップ、ワークプレイス、都市開発などの領域で知識創造経営の研究と実践を続ける。
著書に、『ビジネスのためのデザイン思考』(東洋経済新報社)、『知識デザイン企業』(日本経済新聞出版社)、『知識創造の方法論』(共著、東洋経済新報社)、『幸せな小国オランダの智慧』(PHP新書)などがある。