CFOの実務（第2版）

改訂のポイント

我々を取り巻く環境のこの4年間での変化は、下記に掲載した章立ての比較表に如実にあらわれている。

2008年の前著においては、ちょうど日本で内部統制制度が導入された時期で、第2章 コーポレート・ガバナンス、第3章 ディスクロージャー制度、第4章 内部統制、第5章 リスクマネジメントという順序立てであったが、今回の改訂においては、成長戦略とグローバリゼーションを前面に打ち出した。



第2版（2012年）太字部分　

初版（2008年）　

第1章 グローバル経済の中での新たなCFOの役割

　　　　グローバルの視点からの新たなCFOの役割

第2章 成長戦略とCFOの役割

　　　　コーポレート・ガバナンス

第3章 財務戦略とCFOの役割

　　　　ディスクロージャー制度

第4章 グローバル事業展開とグループ経営管理

　　　　内部統制

第5章 グローバル税務戦略

　　　　リスクマネジメント

第6章 ディスクロージャー制度

　　　　グローバル事業展開とグループ経営管理

第7章 IFRSとその導入（新規）

　　　　税務戦略

第8章 内部統制制度

　　　　コーポレート・ファイナンス

第9章 リスクマネジメント

　　　　収益力向上戦略

第10章 日本企業のグローバリゼーションとCFOの役割

　　　　CFOへのメッセージ





1．第1章では、CFOの役割の定義の再確認から始めて、その機能の変革が求められていること、KPMG Internationalのスタディレポートから、各国企業で実践しているCFO機能の変革において成功の鍵となるヒントを抽出して紹介している。



2．成長戦略については、第2章でコーポレートストラテジー、戦略的M&A、戦略的事業売却、事業再生・リストラクチャリングなどの具体的ソリューションを提示している。あわせて、戦略的M&Aの具体的実践例として、第10章において、武田薬品工業とJTを紹介している。



3．企業が持続的成長を維持するに際して、常に考慮し続けなければならないのが、資金的な裏付けであり、成長戦略 に続いて、第3章で財務戦略を配した。



4．グローバリゼーションに対応して、強化すべきCFOの機能として、グループ経営管理およびグローバル税務戦略の課題があり、これらを第4章、第5章において集中的に議論している。特に、グローバル税務戦略においては、関税のテーマと、海外駐在員所得税課税のテーマを新たに加えた。



5．IFRS導入の是非が議論される中での日本の開示規制の最新動向とIFRSの導入にあたってCFOが理解すべきことを新たに盛り込んでいる（第7章）。



6．内部統制制度においては、制度の概要にとどまらず、日本での法制化、導入から4年が過ぎ、導入後の成果と課題についても言及している（第8章）。



7．第9章 リスクマネジメントにおいて、東日本大震災の反省も踏まえ、事業継続等のリスクマネジメントを新たに加えている。



8．そして、締めくくりとして、「日本企業のグローバリゼーションとCFOの役割」と題して、トップ企業各社の実践例を、経営者の方々のできるだけ生の声を反映するかたちでとりあげている。そして、とどのつまりは、グローバルリーダーシップがとれる人材の育成にかかっているということを訴えた。



以上が、改訂のポイントであるが、各章ごとの関連図は、本書の図表1─3に掲載されているので、これを参照されたい。