世界経済が収縮するなかで、パイの奪い合いが始まっている。
民間エコノミストが、収縮する世界経済の行方を見通し、実はそこには「日本にとってチャンスと言える側面もあるのだ」として戦略的な行動を訴えかけた本です。
日米欧に新興国をも巻き込んで、世界経済が収縮しています。そこで始まったのは、パイの奪い合いです。欧米は通貨切り下げを画策し、円高傾向は止まりません。世界中の人々が不満を抱え、政治が不安定化しています。80年前の世界大恐慌にも似た情勢が、世界を覆っているのです。
日本経済に対する人々の実感も決してよくありません。しかし著者は「世界の危機を前に、実は日本に大きなチャンスが回ってきた」と見ます。欧米は今、バランスシート調整――バブル後の日本が経験した経済の立て直し――に懸命ですが、日本はひと足先にそれを終え、「筋肉質の構造に転換した」。半面で「前向きに考える楽観とリスクマネーを供給する官民のメカニズムを失ってしまった」。日本は国債や預金での資金調達力が高く、その安定した金融力を戦略的に投資活動に振り向けるべきだ、と著者は訴えます。
序 章 各国に芽生える「戦時」の意識 第1章 「新重商主義」はなぜ起きたのか 第2章 戦場となる国債市場 第3章 欧州危機の本質 第4章 経済戦争の背景にあるバランスシート調整 第5章 五つの「日本化現象」 第6章 「日本化現象」はいつまで続くか 第7章 世界経済戦争の行方 第8章 日本に戦略はあるのか 終 章 日本はまだ「持っている国」だ