東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故は、放射性物質の流出、周辺住民の避難、史上初の計画停電などを引き起こし、いまなお収束の兆しは見えません。長年にわたり日本の電力業界を研究してきた橘川教授は、事故の直接の原因は天災であるとしても、その影響が甚大なものになった背景には、電力業界のさまざまな構造的な問題があると指摘します。
本書は、福島原発事故がこれほど大きな負の影響をもたらした原因は何かを探り、このような事故を繰り返さないためには、電力業界とエネルギー政策にどのような改革が必要なのか・発送配電分離は真の解決策ではない!
日本の電力業界・エネルギー政策を研究してきた経営史研究家であり、新しい「エネルギー基本計画」を策定する総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会の委員を務める橘川武郎一橋大学教授が徹底分析。
第1章 「レベル7」の衝撃 第2章 電力が足りない ――計画停電は不可避だったのか 第3章 原発なしでやっていけるのか 第4章 電力事業の仕組み 第5章 日本電力業の歴史が教えるもの 第6章 東京電力が消える日 第7章 これからの電力業界
橘川武郎
きつかわ・たけお
一橋大学大学院商学研究科教授。今後のエネルギー政策に関する有識者会議(エネルギー政策賢人会議)委員。総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会委員。研究分野は経営史、エネルギー産業論、地域経済論、スポーツ産業論。
主な著書に、『日本電力業発展のダイナミズム』,『松永安左エ門―生きているうち鬼といわれても』 、『資源小国のエネルギー産業』、『原子力発電をどうするか―日本のエネルギー政策の再生に向けて』等。