日本の未来に希望が持てる、目からウロコの日本経済論!
ベストセラー『日本史の謎は「地形」で解ける』で注目を集めた著者だが、元々は国土交通省河川局長であり“ダムの専門家”であった。その経験から、「既存ダムの活用」と「小水力発電」により日本のエネルギー問題が解決できると提言する。
まず、「既存ダムの活用」については、現在半分程度しか貯水していない多目的ダムの運用見直しで、大幅に発電量が増えると説く。台風など大雨に備えた約60年前の法律に縛られダムの空き容量を確保しているわけだが、気象予報が発達した現在では、ふだんから空けておく必要はないという。満水近くまでダムに水を貯めるようにすれば、その水量増加と水位上昇の効果により、現在の2倍の発電が可能となる。
このほか、「発電施設のないダムにも発電機を付ける」「ダムのかさ上げで貯水量を2倍以上にする」など、ちょっとした工夫で、既存ダムの発電量を現在の2~3倍に増やす方法が語られている。発電機を新たに取り付けるのは技術的にも容易であるという。また、10%程度のダムのかさ上げにより、発電量がほぼ倍増する原理もわかりやすく解説されている。
次に「小水力発電」については、全国数千カ所ある砂防ダムなどが候補地として挙げられている。ひとつひとつの発電量は小規模でも、総計では莫大な電力量になる。電力需要に貢献するとともに、山間地に自主財源をもたらし過疎地の活性化に結びつけるスキームも提示されている。
純国産の自然エネルギーである水力発電の見直しで200兆円もの富を増やせるという著者の主張は、読むだけでも楽しい。