全集版にもとづく待望の翻訳刊行
1936に年刊行され、現代につながる経済学の基礎を築いた『雇用・利子および貨幣の一般理論』(一般理論)と並び称される『確率論』、全集版にもとづく待望の翻訳刊行。
1921年に著された論文にもとづく『確率論』は、新しい種類の論理学・哲学の構築を目指した、実質上のケインズの処女作にあたる。若きケインズは、ジョージ・エドワード・ムーア、バートランド・ラッセルら哲学の巨人の影響のもとに、「確率の論理説」の立場に立って、確率概念の定義とその形式的体系化を試み、それを応用した帰納的推論の分析を行って、本書を完成させた。
世界的にも、『一般理論』が「アニマル・スピリット」の概念とともに新しく読み直されているように、論理学・哲学の書である『確率論』に対してもケインズ経済学との関連から世界的に関心が高まっている。
第I部 基礎的諸概念 第1章 確率の意味 第2章 確率に関する認識論 第3章 確率の測定 第4章 無差別原理 第5章 確率を決定するその他の方法 第6章 推論の重み 第7章 歴史的回顧 第8章 確率の頻度論 第9章 第I部の建設的理論の要約 第II部 基本定理 第10章 序説 第11章 とくに論理的整合性、推理、および論理的先在性に関する群論 第12章 推理および確率の諸定義と諸公理 第13章 必然的推理の基本定理 第14章 蓋然的推理の基本定理 第15章 確率の数値の測定と近似 第16章 第14章の諸定理に関する覚書、ならびにそれらの諸展開および証言への適用 第17章 逆確率ならびに平均に関する若干の問題 第III部 帰納と類比 第18章 序説 第19章 類比による推論の本姓 第20章 事例の増量の価値、すなわち純粋帰納 第21章 続・帰納的推論の本性 第22章 帰納の歴史に関する若干の覚書 第IV部 確率の若干の哲学的適用 第24章 客観的偶然すなわち偶然性の意味 第25章 偶然に関する検討から生じる若干の問題 第26章 確率の行為への適用 第V部 統計的推理の基礎 第27章 統計的推理の本性 第28章 大数の法則 第29章 統計的頻度を予測するための事前確率の利用 :ベルヌイ、ポアソンおよびチェビシェフの諸定理 第30章 事後確率を算定するための統計的頻度の数学的利用:ラプラスの方法 第31章 ベルヌイの定理の逆定理 第32章 事後確率を算定するための統計的頻度の帰納的利用 第33章 建設的理論の概略