週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2020年8月29日号
2020年8月24日 発売
定価 730円(税込)
JAN:4910201350803

【特集】本当に強い高校


多彩になる大学進学への道。本特集では有名私学だけでなく、名門公立高校、大学付属校、通信制高校についても深掘り。新入試制度と推薦・AO入試への対応力を養える「強い高校」を徹底分析しました。

本特集では、以下の高校を詳しく紹介しています。
 
渋谷幕張/市立堀川/茗渓学園/県立磐田南/横浜市立南/麗澤/桐朋女子/県立広島/北鎌倉女子/府立高津/須磨学園/同志社香里/京都橘/県立小川/成立学園/県立隠岐島前/N高/クラーク記念国際/近大高専/都立日比谷/都立西/府立北野/府立天王寺/仙台第一/仙台第二/都立新宿/県立山口/県立高松/早稲田佐賀/立命館慶祥…。

ほかにも、難関国立大合格者数トップ300校、推薦・AO合格者数ランキング、指定校推薦が魅力の関東219校など、見逃せない独自データが満載です。

担当記者より

特集「本当に強い高校」を担当した常盤有未です。自分の人生、高校選びからやり直したい…。今回の特集取材を通じて何度となくそんな思いに駆られました。

私たちの時代の学校選びは、まず自宅から通える場所にあることが第一条件。そのうえで、内申点と偏差値を考慮しながら、いくつかの選択肢から受験するのが普通でした。ところが今は違います。まず、場所の第一条件がありません。オンライン授業があれば校舎がどこにあろうと関係ありません。

むしろ専門家は「知識を身に付けるだけならネットのほうが断然効率的だ」と口をそろえます。今の教育では、知識を身に付けることよりも、自分の興味あることを極めたり、探求したりすることのほうがより重要です。国立大学協会では、推薦入試やAO入試などによる入学者の割合を3割にまで増やす方針を出しており、私たちが学校選びの基準に据えていた「偏差値」も意味のないものになりつつあります。

今回の特集で取り上げている高校は、必ずしもよく名の知れたトップクラスの進学校ばかりではありません。その顔触れに「?」と思われる読者の方も多いかもしれません。でもそれは、これからの社会で求められる教育の形がガラリと変わりつつということの表れです。

私がその変化をまざまざと感じたのは、意外な場面でした。クラーク記念国際高等学校という通信制の高校を訪れたときのことです。この学校は全国至るところに拠点を持っていて、週5日通学するスタイル、ネットでの学習が主のスタイルなど通い方を選ぶことができます。来年にはeスポーツやロボティクスなどテクノロジーに特化した校舎の新設も控えているのですが、私が訪ねたのはそんな数多くの拠点の一つ、週5日通学する生徒も多い東京のキャンパスでした。

ちょうどテスト期間中で、私が校舎を訪れた時間も登校する生徒がいて、そんな生徒たちを先生が一人ひとり出迎えて、親しげに話をしているのです。あれ?とちょっとした違和感をおぼえました。高校生と教員の距離感が、私の知っているそれとはまったく異なるのです。その関係性はまるで、一流スポーツ選手とコーチのようだと感じました。後から聞けば、生徒自身が担任を選べる制度があるとのこと。

オンライン授業や国際教育、探求型学習などは、これから必須となる教育スタイルですが形だけでは成立しません。個々の生徒の学習状況や興味関心、個性を教員が把握し、適切なサポートをする。きっと、教育のいちばん根本的な部分、生徒と教員のコミュニケーションという部分は、ますます重要性を増していくのだろうと思いました。

担当記者:常盤 有未(ときわ ゆうみ)
東洋経済記者。自動車タイヤ、トラック、輸入車、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食業界担当を経て、現在は『週刊東洋経済』編集部。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はフィットネスにいそしむ。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
本当に強い高校

変わる高校と大学受験
難関国立大学「推薦or一般」合格力マトリックス

Ⅰ 新受験時代に勝つ高校
渋谷教育学園幕張/市立堀川/茗渓学園/県立磐田南/横浜市立南/
麗澤/桐朋女子/県立広島/北鎌倉女子学園/府立高津/須磨学園

推薦・AOに強い上位校の共通点 決め手は「探究力」にあり
東大推薦で翠嵐と湘南を上回る「横浜市立南」躍進の背景
新受験時代の必須スキル 論理的に「表現力」を学ぶ
ウィズコロナに不可欠 オンライン授業の最先端
[Interview]須磨学園 学園長 西 和彦

II 子が際立つ選択肢
同志社香里/京都橘/県立小川/成立学園/県立隠岐島前/
N高/クラーク記念国際/近大高専

ダンス、吹奏楽、メディア 「今どき部活」で輝く!
部活でゲームをする時代「eスポーツ部 」が拡大中
隠岐島前高に延べ150人以上が留学 今熱い「離島・地方留学」
東大・京大にも合格者 進化する「通信制高校」
就職は理系大卒生より有利 時代にも即応「高専」の魅力
私立高の支援条件が2020年度から拡大 さらに充実した「高校無償化」

III 名門公立校の底力
都立日比谷/都立西/府立北野/府立天王寺/
仙台一高/仙台二高/都立新宿/県立山口/県立高松

伸びる大学合格実績 最上位校の人気が加速へ
進学実績で逆転現象起こる? 変わる名門公立校の序列
政・財・官で威力発揮 名門公立校人脈のすごさ
再編渦中の国民民主党代表が語る 高校人脈は大きな支えだ

IV 大学付属校の真の魅力
早慶・GMARCH・関関同立への近道 人気付属校への入り方
他大への進学でも実績 付属校が強い本当の理由
早稲田佐賀/立命館慶祥
コロナ禍の影響は? いまさら聞けない高校受験
[Interview]坪田塾 塾長 坪田信

V 大学合格力ランキング
難関国立大合格者数 都道府県別 トップ300校
東大、京大、難関国立大 推薦・AO入試に強い高校
早慶上理への最短ルート/関東 指定校推薦が魅力の219校

ニュース最前線
現金重視のソフトバンクG “攻めない”孫社長の思惑
モーリシャス沖の座礁事故 生物多様性に「重大危機」
コロナで殺虫剤「当たり年」 メーカー各社業績も絶好調


連載
|経済を見る眼|コロナ後の政策レジームを考える|早川英男
|ニュースの核心|最近のジョブ型雇用大合唱は何かが変だ|野村明弘
|トップに直撃| Welby 代表取締役 比木 武
|フォーカス政治|コロナと五輪が握る安倍政権の命運
|グローバル・アイ|気候変動、核兵器、AI... 最悪シナリオを甘く見るな|ダロン・アセモグル
|INSIDE USA|もはや後戻りできない コロナで加速する企業のDX|安井明彦
|中国動態|中国撤退を選んだZoomの苦悩|田中信彦
|財新|米国のTikTok「全面禁止」で大波乱
|マネー潮流|コロナ禍で資金の動きが大規模に|佐々木 融
|少数異見|リーダーの多様化へ舵を切るのは今
|知の技法 出世の作法|「クレムリン文書」が示す ロシアの対日戦略(下)|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|「休業要請」「補助金」は 企業に何をもたらしたか|川口康平
|人が集まる街 逃げる街|静岡県 伊東市|牧野知弘
|クラシック音楽最新事情|ハチャトゥリアンの名曲 『剣の舞』誕生の背景|田中 泰
|話題の本|『アフリカ経済の真実』の著者 吉田 敦に聞く ほか
|「英語雑談力」入門|value for money|柴田真一
|ゴルフざんまい|男女とも苦労人が優勝 スポーツで心に勇気を|青木 功
|経済クロスワード|新時代の大学受験
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