週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2020年9月5日号
2020年8月31日 発売
定価 750円(税込)
JAN:4910201310906

【特集】がん治療の正解

国民の2人に1人が罹患する「がん」。がんは心疾患、脳血管疾患と並ぶ3大死因の1つといわれています。

さまざまな情報が氾濫していますが、まずは知っておかなければいけないのは「標準治療」。抗がん剤、先進医療、免疫療法、食事、検診…。気になる最新事情を徹底取材しました。
 

【スペシャルリポート】ソフトバンクショップ 法廷闘争の激震


ソフトバンクは成績の悪い代理店を一方的に契約解除し、切り捨てる制度を導入しました。双方の合意がないまま導入されたこの制度は有効か。法廷闘争に持ち込まれており、ほかの代理店も固唾をのんで経過を見守っています。

担当記者より

特集「がん治療の正解」を担当した石阪友貴です。がんの予防や治療のために、また最近は新型コロナウイルスの感染予防を意識してなのか、世間では「免疫力を上げよう」という言葉をよく耳にします。ところが、今回の特集取材で、ある専門家に「免疫力は上げるものではない」と言われてびっくりしました。

健康な人はすでに免疫機能を十分に高い状態で維持しているので、もし免疫力を上げようとすると、熱が出たり関節が痛くなったりと体に悪い症状が出るとのこと。重要なのは「免疫力を下げないこと」だそうです。

では、免疫力を下げないためにはどうすればいいのか。残念ながらそこに驚くような方法はありません。規則正しい生活を送り、適度な睡眠をとること。ストレスをためないこと。そして運動をすること。

ただし、運動にも注意が必要です。学生時代、ボート部に所属していた私は、レースや激しいトレーニングの後によく風邪を引いていました。チームメートも同じだったようです。実は、激しい運動をすると免疫の働きが低下することがわかっています。あくまでもほどほどに、が大切なのだそうです。

免疫は、私たちの体を病気から守る非常に精巧なメカニズムで、その働きをがんに活用できないかという研究は、すでに40年以上も前から行われてきました。世界中でいくつもの臨床試験が実施されてきたにもかかわらず、その有効性はいまだ確認されていません。ところが近年になってようやく、効果が期待できそうなアプローチがいくつも登場しています。

特集では、そうした研究開発の最前線も取材しました。免疫の働きを活用したがんの治療はどこまで解明されていて、有効性を確認するまでにはどのような課題を抱えているのか、わかりやすく図解しています。

担当記者:石阪 友貴(いしざか ともき)
東洋経済記者。医薬品業界を担当。早稲田大学政治経済学部卒。2017年、東洋経済新報社に入社してから食品・飲料業界を担当。ラグビーと格闘技、ツーリング、ビールが好き。

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週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

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「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

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約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

特集
がん治療の正解
玉石混淆の情報に惑わされるな

PART1 がん患者学の基礎
当事者にしかわからないシビアな悩み がん患者・家族のリアル
[国内最大級のがん経験者組織を運営] 患者は自分の未来が見たい ●5years代表 大久保淳一
信頼性の低い情報にだまされない 知っておきたい3大治療
[「先進医療」に惑わされるな] 標準治療は最高レベルの治療 ●日本医科大学教授 勝俣範之

PART2 がん治療最前線
最新治療① 薬物療法 開発進む大型の免疫新薬
最新治療② ロボット手術 「ダヴィンチ」の活用広がる
最新治療③ 重粒子線 飛躍しきれない夢の技術
最新治療④ 光免疫療法 近赤外線の照射でがんを治療
感染拡大に医療者と患者はどう対応したか コロナと戦うがん医療
「きちんと感染対策し 検診受診と早期治療を」●国立がん研究センター中央病院 病院長 島田和明
日米がん治療の違いを比較 情報公開が格差を埋める

PART3 6つのがんの徹底解説
胃がん 患者の6割が早期がん 手術が最も有効な治療法
大腸がん 高い診断力が求められる 早期がんは内視鏡で切除
肺がん 死者数が最も多いがん 非喫煙者でも油断は禁物
肺がん手術は歴史的局面に 早期がんへの「縮小手術」が広がる
乳がん タイプ別の薬の組み合わせがカギ 薬物療法で再発を防ぐ
予防的な手術も対象 遺伝子検査が保険適用に
子宮がん 子宮頸がんは検診が有効 上皮内ならば子宮を残せる
肝臓がん 脂肪肝由来の患者が増加 小さければ切除で根治できる
「異常なし」でも安心は禁物 がん検診は信頼できるのか

PART4 健康を維持する免疫のしくみ
体内の防御機能が立ち向かう 「がんと免疫」の深い関係
[免疫の権威が語るがんとの関係] NK細胞活性化で免疫力を維持 ●順天堂大学医学部 特任教授 奥村 康
「免疫の力は無限に近い がんは治せる病気になる」 ●京都大学特別教授 本庶 佑
がん免疫療法の無法地帯 効かない治療が野放し
世界の研究論文を分析してわかった がんになる食事、ならない食事

スペシャルリポート
代理店がソフトバンクに反旗 「携帯ショップ法廷闘争」の激震
客を“クソ野郎”呼ばわり事件が起きた理由 ドコモ、auでも過酷な評価
「評価制度の影響は小さくない。多くの店は必死に売っている」 野村総合研究所パートナー 北 俊一

ニュース最前線
行き過ぎた悲観は禁物 コロナが招く「不況」の真実
クボタが大型機投入で挑む 農機業界の巨人との戦い
任天堂「あつ森」絶好調も スイッチ供給不足の苦悩


連載
|経済を見る眼|コロナ禍が後押しする国内生産回帰|延岡健太郎
|ニュースの核心|米中の「新冷戦」に幻惑されるな|西村豪太
|トップに直撃| ダイキン工業 社長兼CEO 十河政則
|フォーカス政治|臆測呼ぶ首相の病状と退陣シナリオ|歳川 隆雄
|グローバル・アイ|先進国の手本になった韓国 最大の教訓はデジタル化|ジム・オニール
|INSIDE USA|「新たな封建制」の到来か 民主党の牙城・加州の現実|会田弘継
|寄稿/日台ロープを強化せよ|日台ロープの強化こそが 東アジア安定に繋がる|江口克彦
|中国動態|きな臭い習近平「飲食浪費禁止令」|小原凡司
|財新|新型コロナ「ワクチン容器」に供給の壁ファーウェイの自社開発路線に大打撃
|マネー潮流|上昇の止まった金相場の行方|高井裕之
|少数異見|リスクをごまかさずに安全保障の議論を
|知の技法 出世の作法|ロシア外務省が発する 事実誤認の対日声明|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|研究費獲得で経済学者の 成果には明確な差が出る|大西宏一郎
|人が集まる街 逃げる街|石川県 輪島市|牧野知弘
|クラシック音楽最新事情|海外旅行に代わる楽しみ 「映画館でオペラ」の魅力|田中 泰
|話題の本|『教師という接客業』の著者 齋藤 浩に聞く ほか
|「英語雑談力」入門|unprecedented|柴田真一
|経済クロスワード|がん治療
|編集部から|
|読者の手紙 次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 11/4(火) 週刊東洋経済 2025年11月8日号
  • 10/27(月) 週刊東洋経済 2025年11月1日号

訂正情報

「週刊東洋経済2020年9月5日号」(8月31日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
49ページ ■開発品目一覧表
【誤】OBP—301 フェーズ2準備中
【正】OBP—301 フェーズ2
54ページ ■楽天メディカルが開発する「ASP-1929」の申請状況
【誤】日米で申請した
【正】国内で申請した