週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2022年1月8日号
2022年1月4日 発売
定価 730円(税込)
JAN:4910201320127

【第1特集】狙われる富裕層

“コロナバブル”で富裕層の資産規模が急膨張しています。そうした中で金融所得課税や贈与税と相続税の一体化をはじめ、富裕層をターゲットとした政策が次々に浮上。海外に持つ資産を含めて当局は富裕層のお金を徹底的にマークしており、徴税強化への構えを強めています。

本特集では、今でも有効な節税術や相続ノウハウを豊富な実例とともに紹介。併せて新手の詐欺などの脅威に対する防衛策も伝授しました。富裕層とその予備軍は必携の一冊です。
 

【第2特集】EV投資にアクセル 不退転の日系メーカー


世界中で活性化する電動化投資。日産が新方針を出し、トヨタはより大胆な戦略を打ち出してきた。
 

担当記者より

特集「狙われる富裕層」を担当した田島靖久です。ただただ「うらやましい」と思っていた“お金持ち”ですが、実はお金を持ったら持ったで大変、彼らには彼らなりの悩みがあるようです。「節税など許すまじ」とする税務当局からはしつこく追い回され、資産のにおいを嗅ぎつけた詐欺師たちは次々と群がってくる。今回の特集ではそんな「狙われる」富裕層のリアルな姿を追いました。

今、富裕層への課税を強化する流れは世界中で強まっています。これまで富裕層たちは、日本の税率が高いことを嫌い、相続税がなかったり税率の低い国に資産を「フライト」させていました。ところが、2018年から国税庁は、海外の税務当局と口座情報を定期的に交換する取り組みを始めるなど、国内だけでなく海外での資産の動きにも目を光らせるように。今や富裕層の資産状況は丸裸も同然。残高の大きな海外口座を持つ人の元には「この口座は何に使っているものですか?」と税務署職員からお尋ねの電話がかかってくるそうです。

そればかりではありません。これまで富裕層たちにとって節税の常套手段とも言われていたものに、悉くメスが入れられようとしています。相続税対策の一つとして広く使われてきた生前贈与についても同様です。2021年度の税制改正大網では具体的な明記こそされなかったものの「相続税・贈与税の一体化」つまり、生前に渡した財産がすべての相続とみなされる方向性は確実で、タイムリミットは迫りつつあります。

富裕層の方にとっては、いま必要な節税、相続、詐欺被害への完全対策を網羅した今回の特集。富裕層でない方も、見知らぬ世界を覗き見するつもりでお楽しみください。私自身は、取材を通じて節税についてかなりの知識を身につけることができました。一介の会社員にはまったく必要のない知識ではありますが。

担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
週刊東洋経済編集部副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件・事故を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社し現職。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
狙われる富裕層

Part1  富裕層のリアル
手ぐすね引く税務当局 追い詰められる富裕層
デジタルアートから未公開株まで コロナ禍で激変の富裕層
元プライベートバンカーが明かす 知られざる富裕層のリアル

Part2  富裕層包囲網
徴税強化で狙い撃ち! 海外資産に強まる監視
人気の減価償却スキームにメス 富裕層の「節税攻防」最前線
もはや中小企業経営者は打つ手なし!? 「節税保険」の最新事情
重い税負担の一方で抜け穴も 富裕層の暗号資産節税術

Part3  金持ち相続大激変
迫るタイムリミット 焦る富裕層 相続・贈与 一体化の行方
贈与節税は時間切れ間近 生前贈与シミュレーション
資産内容に応じて賢く節税 最新!相続㊙︎テクニック
養女への事業承継に腐心 細木数子氏が進めた「終活」
なりふり構わぬ税務調査 「伝家の宝刀」を抜く国税

Part4  富裕層に群がる人々  
メガバンクも参入! 過熱する富裕層争奪戦
甘い投資話にご用心 富裕層相手の詐欺が多発
富裕層も被害に 暗号資産トラブル多発中

第2特集
EV投資にアクセル 不退転の日系メーカー
[トヨタ] トヨタがEV強化 計画大刷新の衝撃
[ホンダ] 脱エンジン急ぐホンダ 問われる戦略の具体化
[日産] 電動化は現実路線 日産2兆円投資の裏
日産「復調」でも部品会社から不満

ニュース最前線
補助金がなければ赤字拡大 病院経営に山積する難問
本命候補がトップに就任 三菱商事が脱炭素化に本腰
ヤマダが社運懸けた新業態 再成長挑む山田会長の執念


連載  
|経済を見る眼|政策のタイミングと速さにもっと意識を|柳川範之
|ニュースの核心|金融所得課税はどう改革すべきか|野村明弘
|発見!成長企業|ラウンドワン
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|TOTO 社長  清田徳明
|フォーカス政治|マクロ政策に見る「政治の逆襲」|軽部謙介
|中国動態|「民主主義サミット」に反応する中国|小原凡司
|財新 Opinion&News|2022年の中国経済は6つの「穏」がカギ
|グローバル・アイ|金融市場は深い谷をのぞく 世界経済「2022年の論点」|ジム・オニール
|Inside USA|中間選挙経てトランプ再起? 注目は新・保守主義運動|会田弘継
|FROM The New York Times|オミクロン株が人手不足誘発 FRB「インフレ退治」の難路
|マネー潮流|クレジット市場の5つのリスク|中空麻奈
|少数異見|ゼネラリストより専門家をリーダーに
|知の技法 出世の作法|米国が主催した「民主主義サミット」の読み解き方|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|男性のテレワーク増加は家事負担の男女平等を促す|井上ちひろ
|話題の本|『エジプトの空の下 わたしが見た「ふたつの革命」』著者 飯山 陽氏に聞く ほか
|シンクタンク 厳選リポート|
|PICK UP 東洋経済ONLINE|
|編集部から|
|先週号の読まれた記事 次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 11/4(火) 週刊東洋経済 2025年11月8日号

訂正情報

「週刊東洋経済2022年1月8日号」(1月4日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
80ページ ■経済学者が読み解く現代社会のリアル

要点メモと本文の2カ所での、日本における家事・育児負担の男女間差別についての記述
【誤】世界最大
 ↓
【正】先進国最大