週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年12月20日号最新号
2025年12月15日 発売
定価 950円(税込)
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【特集】2026大予測 政治・経済編


翌年の政治・経済などを展望する恒例の年末・年始大予測号。今年は特別企画として100のテーマを3号にわたって徹底分析していきます。第1弾は政治・経済編。アメリカのトランプ大統領に振り回され続けた世界。片や、実力未知数の高市政権に運命を託す日本。2026年はより大きな混乱に見舞われるのでしょうか? 国内の政治から、景気、金融政策といったマクロ経済、そして米中間選挙やガザ、ウクライナ戦争といった海外情勢まで、大胆に予測します。

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担当記者より

特集「2026年大予測 政治・経済編」を担当した野村明弘です。

いつもの年ですと、年末・年始の合併号は「◎◎◎◎年大予測」との大特集を組んで、200ページを超える特大号をつくりますが、今年は趣向が違います。年末年始の3号(つまり3回)にわけて、「2026年大予測」の特集を掲載します。

1号目は、12月15日発売 「政治・経済編」
2号目は、12月22日発売 「株・マネー編」
3号目は、1月5日発売 「業界・企業編」です。
 
3回に分けたぶん、それぞれの号が「濃い内容」になっています。

さて1号目の紹介です。アメリカの民主主義の危機や、トランプ大統領とヨーロッパの亀裂、中ロの接近などなど、2025年は世界の戦後秩序が崩壊した年として記憶されそうです。では、2026年はどんな年になるのでしょうか。

企画会議では、従来以上に日本国内の記事を読みたいとの声が相次ぎました。政治の流動化や「責任ある積極財政」を掲げる高市政権の発足など先行きに対する不安ゆえでしょう。私はすぐにかつての財務省事務次官の嘆きを思い出しました。彼曰く「インフレで国の実質債務負担が減るならこんなに楽なことはない。でも、それでは国民に迷惑をかけるから財政健全化を訴えているのが……」と。

企業収益や賃金の名目値が膨らんだ結果、今年度の税収上振れは2.9兆円に上ります。この額は消費税を1%強増税したのと等しいですが、今の日本で消費税率引き上げは政治的に困難でしょう。テレビからは「物価高で家計のやり繰りが大変」という街の声が聞こえてきても、政府を直接批判する声は少ない。増税とは明らかに反応が違います。

消去法的にこの道を選んでしまった日本にとって大切なのは、インフレを奇貨として、債務とバランスを取って歳出を工夫することなのだと思います。

1号目の特集は、国内外の政治・経済を総ざらいしています。手に取っていただければ幸いです。

担当記者:野村 明弘(のむら あきひろ)
編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

 

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

特集
2026年大予測 政治・経済編
高市政権が引き起こす地殻変動
「トランプ劇場」2年目の世界マップ

Part1
政治 漂流の行く先
責任ある積極財政の成否は? 真の試金石は補正より当初予算 インフレ適応型に転換できるか
日本の防衛費は増え続けるのか? 「GDP比2%」達成に前のめり
社会保険料は下がるのか? 自分に跳ね返る「痛み」もある
働き方改革は行き過ぎか? 労働時間の規制と緩和 日本はどちらも難しい
外国人政策はどうなる? 不動産把握や医療費不払いで対策
日中対立は収まるのか? 中国に妥協する動機はない さらなる強硬措置は可能性薄
台湾有事は起きるのか? 中国には武力統一を焦る理由がない
高市首相は衆院解散に踏み切るか? 維新との綱渡りの政権運営 26年前半でのタイミング探る
参政党の党勢はどうなる? 衆院で比例を軸に2桁議席も 「仲間づくり」で党員増やす
[インタビュー]日米関係はどうなるか?
 「次の3年も、トランプ大統領は日本に多くの要求をしてくる」 スタンフォード大学客員研究員 グレン・S・フクシマ

Part2
経済 危うい熱狂

トランプ2年目のアメリカ経済はどうなる? AI投資の拡大は減速も トランプ景気刺激策が下支え
どうなる日本経済 1
 日経平均7万円時代は来るのか? インフレで設備投資増 企業収益の名目値拡大
どうなる日本経済 2
 1ドル=160円は再来するか? 円売り招くリフレ期待 日中対立で需給悪化も
どうなる日本経済 3
 日銀はどこまで利上げするか? 0.75%で打ち止め 円安加速なら1%か
どうなる日本経済 4
 5%賃上げは3年目も続くのか? 春闘は鈍化、全体が上昇 実質賃金はプラス圏へ
中国経済の26年は? 景気調整で4%成長は困難 抜群の生産力とデフレが併存
ドル基軸通貨体制の次は? 帝国を降りてゆくアメリカ 覇権国なき空白の危うさ
[インタビュー] 資本主義はどこへ向かうのか?
 「AIの出現が私の理論を揺さぶる ただしAIバブルは必ず崩壊する」  経済学者 岩井克人

Part3
世界の潮流を読む

[日米識者対談]高まる地政学リスクにどう備える? トランプ政権が変えたルールと秩序
 地経学研究所長 経済安全保障グループ・グループ長 鈴木一人
 ブランズウィック・グループパートナー ランヒー・チェン
米中間選挙 共和党は勝利するのか? 連邦議会はねじれ現象へ だがトランプ旋風は相変わらず
ガザに平和は訪れるのか? イスラエルの混乱で紛争長期化
ウクライナ戦争は長期化するのか? 「ウ」抜きで米ロ取引が進む可能性
[インタビュー] アメリカ政治の焦点は?
 「内向きであり続けるアメリカ それが大きなリスクになる」 ジャーナリスト ファリード・ザカリア

NEWS&TOPICS最前線
動き始めた「ポスト柳井」 ファストリで新取締役就任
M&Aキャピタル総会前夜 多額の現金に株主が包囲網
「グランドセイコー」に脚光 アメリカで大人気の理由


連載
|経済を見る眼|思いのほか大きい「中国への人材依存」苅谷剛彦
|トップに直撃|シャープ 社長 沖津雅浩
|フォーカス政治|高市首相が挑む科技・安保連携戦略|歳川隆雄
|マネー潮流|需給面ではない長期金利2%の理由|森田長太郎
|中国動態|中国AIで情報と認知戦に懸念|田中信彦
|財新 Opinion&News|シャオミ自動車事業黒字化でも「厳しい局面」
|少数異見|空前のAIバブルがはじけたら
|ヤバい会社烈伝|ヤバい会社大賞2025 チラ見せ、ラブホ会議 女性陣キター!|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|台湾有事発言の撤回には反対 誤ったシグナルを送ることになる|佐藤 優
|名著は知っている|『グローバリゼーション・パラドクス』[上編]
|ビジネスと人生は絶望に満ちている|私たちはじつは今、奴隷なのか?|頭木弘樹
|西野智彦の金融秘録|アベノミクスの誕生③
|21世紀の証言|アニメーター、漫画家 安彦良和 その1
|編集部から|
|次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 12/22(月) 週刊東洋経済 2025年12月27日・2026年1月3日合併号