週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年7月5日号
2025年6月30日 発売
定価 950円(税込)
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【特集】今こそ知りたい「金」「暗号資産」


金と暗号資産が過去最高値圏に接近しています。世界的な財政膨張とインフレの進行、イスラエル対イランの紛争勃発などを受けて、現金からの逃避は強まるばかりです。インフレで現金の価値が目減りする中、資産防衛のためには何ができるのでしょうか。本特集では、ドルへの不信を受けて逃避の受け皿になっている金や、米トランプ政権が推進する暗号資産について、基本から投資術、歴史、キーマンへのインタビュー、価格予測まで徹底解説しています。

担当記者より

「今こそ知りたい 金・暗号資産 特集」を担当した大野和幸です。

6月26日現在、金は1トロイオンス3300ドル台、ビットコインは1BTC10万7000ドル台で、どちらも史上最高値圏に接近しています。イスラエル・イラン紛争が始まったとみるや、一転して停戦合意に達するなど、国際情勢も流動化しています。

ただ、実際に買ったことのある人は、まだどちらも少ないのではないでしょうか。

例えば、金(ゴールド)をきちんとした店で購入する場合、実は身分証明書が必要です。金地金(きんじがね、「インゴット」ともいう)には金塊ナンバーが刻印されているので、偽造や複製もされにくくなっています。

その意味では、いわゆる「転売ヤー」も扱いにくいはず。ただ、かつては消費税の税率改定時、例えば19年10月1日の前後をはさみ、税率8%のときに買って10%のときに売ることで、利ザヤを稼いでいた人たちが少なからずいたそうです。今でも、転売目的ではありませんが、東京・銀座などでは平日午前中のオープン前から、貴金属店の店頭には購入を求めるお客さんが行列を作っているほどです。

また、最近では金に絡む“特殊詐欺”も増えており、警察庁が注意喚起をしています。被害者は警察官を名乗る犯人から、「(足がつく)ATMは使わず、現金を金地金や金貨、金のアクセサリーなどに替えて持ってきてほしい」などと、指示されることが多いためです。かさばらずに価値の高い金は持ち運びにも最適なのでしょう。

一方、ビットコインについては、ビットコインそのものより、ビットコインを保有している日本のメタプラネット株、米ストラテジー株などが投資家にとって、目下注目の的になっています。特にメタプラネットの場合、本業がもはやビットコイン投資になっており、わざわざ資金調達してビットコインを購入しているほどです。

スマホで買えるビットコインには及び腰の中高年層の投資家も、株ならとっつきやすいのでしょうか。メタプラネットは少なくとも今現在、日本の株式相場では最も注目されている銘柄の1つ。日本では、暗号資産のETF(上場投資信託)化も水面下では進行しており、いずれ投信の形でも買えるようになるでしょう。

本特集では、金が今高騰している理由、トランプ政権と暗号資産の関わり合い、メタプラネット株に続く銘柄、業界の重要人物へのインタビューなどについて、広範かつ網羅的に取り上げております。ぜひ手に取ってご覧ください。

担当記者:大野 和幸(おおの かずゆき)
ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

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  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
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    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
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    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

特集
インフレで現金の価値は減るのみ
今こそ知りたい 「金」「暗号資産」


「ゴールド」と「デジタルゴールド」 高騰する金、駆け上がる暗号資産

PART1
ドルへの不信受け、逃避の受け皿に
最高値1万7000円台に沸き立つ 行列ができる貴金属店
[市場予測] 中東紛争に米国不信も 金相場は26年に向け4000ドル到達も
ドル資産は凍結され、持っても意味がない なぜ新興国の中央銀行が金を買っているのか
金地金、純金積立、投信まで 金投資の極意
①金地金 ②金貨 ③純金積立 ④金投信・金ETF
[金の税金] 売るなら5年超が得 年50万円まで非課税に
[銘柄] 金とどこまで連動? 採掘からリサイクルまで 国内外の金関連株
[インタビュー]「『有事の金買い』は悪魔の選択」 マーケットアナリスト 豊島逸夫
実質価格でも最高値更新という意味 金高騰再び―歴史は繰り返す
[コラム]米国は本当に金を持っているのか
[Q&A] 用途から価格決定、インフレまで そこが知りたい金のナゾ

PART2
暗号資産 トランプが推す米国に日本は追いつくか
税、ETF、レバレッジの規制見直しが焦点 「金融商品」へと向かう暗号資産
テキサスなど各州でも法案成立が進む ビットコインを一転推進! 「戦略備蓄構想」はトランプ次第
[市場予測]債務拡大や利下げ再開も追い風 ビットコインは今年20万ドルまで上昇する
ビットフライヤーを追うコインチェック 暗号資産交換所バトルが激化 ユーザーはどこを選ぶのか
暗号資産株が持つリターンとリスク 20円から1800円へ! メタプラネット株爆騰の裏
[銘柄] 暴騰する銘柄も 日米の暗号資産関連株
年内の承認確率が90%の銘柄も ライトコインやソラナに注目 次のETF候補はどれだ?
[インタビュー]暗号資産普及にはこれが必要だ
衆議院議員 塩崎彰久/日本暗号資産等取引業協会会長 小田玄紀/
マネックスグループ会長 松本 大/ビットフライヤーホールディングス代表取締役CEO 加納裕三
税が安くなる一方、情報開示を強化 国産ビットコインETF、分離課税は27年が本命
他の暗号資産との交換でもかかる 暗号資産にかかる税金 所得・相続で110%も
取引所が連続閉鎖、投機目的では限界 NFTバブル「崩壊」後の活路

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今後の発売スケジュール

  • 11/4(火) 週刊東洋経済 2025年11月8日号
  • 10/27(月) 週刊東洋経済 2025年11月1日号