大学が壊れる

週刊東洋経済eビジネス新書no.252

週刊東洋経済編集部編
2018年6月4日 発売
定価 440円(税込)
ISBN:9784492920534 / サイズ:e新書/並/105

日本の大学が危機に瀕している。2004年、国立大学は独立行政法人となり「競争原理」の導入へと大きく舵を切った。その結果、国は国立大学へ定期配分する基盤的予算(運営費交付金)を年々削減、研究者は不足分を公募・審査を通じた官民の競争的資金制度でおカネを調達する形へと移行した。これにより国立大学間の資金力格差が広がった。国は大学の封建性、閉鎖性こそ問題と指摘するが、ノーベル賞学者は短期的な成果のみを求める風潮に警鐘を鳴らしている。今、国立大学は種々雑多な「大学改革」を迫られている。一方、約600ある私立大学は転機となる「2018年問題」の年を迎えた。18歳人口はこれから一直線に減少する。定員割れの大学が4割に達した。文部科学省は経営困難大学が急増することをにらみ、大淘汰時代でのセーフティネット設計の議論をスタート。瀬戸際に立つ大学の「今」と「これから」を展望する。

本書は『週刊東洋経済』2018年2月10日号掲載の26ページ分を電子化したものです。

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概要

国立の地方大学を中心に研究資金は枯渇し、時間は減り、雇用は不安定化。それが研究力劣化となっている。また人口の減少で定員割れの私立大学が4割に達し経営に不安も残る。瀬戸際に立つ大学の現状をリポートする。

目次

疲弊する国立大、捨てられる私大
研究劣化の真相 国立大学クライシス
いびつな大学改革と競争制度 地方国立大の危機的貧困
研究者の命綱、科研費の受難
ポスト不足とアカハラが研究不正を常態化させる
〔ノーベル賞受賞者の警鐘〕日本の科学研究は危機に瀕している!
 東京工業大学 栄誉教授・大隅良典〔生理学・医学賞〕
 東京大学 宇宙線研究所長・梶田隆章〔物理学賞〕
 京都産業大学 教授・益川敏英〔物理学賞〕
行き場のない博士たち 非正規だらけの研究事情
研究基盤崩す事務職雇い止め
INTERVIEW 財務省キーマンの反論 大学の封建性、閉鎖性こそ問題
研究力で躍進する中国のスゴすぎる人材政策
「大学性悪説」の論理が日本の大学を疲弊させる
【対論】地盤沈下を防ぐために今、なすべきことは
 【大学改革推進】学長が旗を振り民間資金獲得を
 【大学改革見直し】「優良中堅大学」底上げに舵を切れ
私大淘汰時代が来る!
定員厳格化に負けない有力私大の勝ち残り戦略

著者プロフィール

週刊東洋経済編集部  【編】
しゅうかんとうようけいざいへんしゅうぶ