週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2020年2月8日号
2020年2月3日 発売
定価 730円(税込)
JAN:4910201320202

【特集】税金対策 トクする人 ソンする人

60兆円を超える国の税収のうち、個人が支払う所得税と消費税を合わせると40兆円超。実に全体の3分の2を占めています。
消費増税を例に挙げるまでもなく個人の負担は重くなるばかり。しかし税金の知識を身に付けることで取られすぎないようにしたり、還付によって取り戻したりすることができます。
この特集では、富裕層の間で注目されている節税術、生活防衛のための節税の知恵などを幅広く解説します。 確定申告の前にポイントをきちんと押さえておきましょう。
 

【スペシャルリポート】ゴーン拡大路線の重いツケ 日産、米国販売不振の深刻度


日産自動車の新車販売低迷が深刻です。とくに米国。ゴーン時代には大幅値引きによる薄利多売が奏功しましたが、目下は値引きしても売れず、しないとさらに売れない状況に。経営・開発体制もガタガタで、現地販売店も悲鳴を上げています。

担当記者より

30代に突入し、ふと自分の預金通帳を見てみたら、貯金がまったく増えていませんでした。日々の生活を見直して、無駄な出費を抑えなければと何となく焦りを感じ始めていたときに、今回の税金特集を担当することになりました。正直なところ「税金」といわれても最低限の知識しかなく、少し前までは興味もほとんどありませんでした。

そんな私が、今回の特集取材では目からウロコの連続でした。知っておくだけで、払わなくてもよい税金を取られない、払い過ぎた税金は取り戻せる方法がいくつもあることを知ったのです。

その1つが固定資産税。といっても、単身・実家暮らしの私には、固定資産税といっても現時点ではまったく関わりがありません。でも固定資産税は「過徴収」されているケースも少なくなく、その大きな原因が単なる評価ミスだと聞けば、これは今の私でも知っておいて損はありません。取材時に初めて目にした「課税明細書」でしたが、確認すべきポイントをばっちり頭に叩き込みました。

青色申告でも知っておいて損しないポイントがありました。いや、普通の会社員である私は、青色申告する必要なんて今のところないのですが、来年の確定申告から、青色申告の特別控除額が65万円から55万円に減ってしまうとのこと。ただ、電子申告(e-Tax)をすれば、これまでと変わらない65万円の控除を受けられると知り、これは断然電子申告をするべきだと心得ました。

被災地への義援金など、特定の団体に2000円を超える寄付をすると、その金額が「寄付金控除」として所得から差し引かれるのをご存知の方は多いかもしれません。でも、その寄付した先の団体によって、寄付金控除の対象とならないケースがあることはあまり知られていないようです。日本赤十字社は対象となっても、あしなが育英会のように対象とならない団体もあるとのこと。これは覚えておかなければと心に刻みました。

知識を持っているだけで、これだけ自分の預金通帳の額に影響が出ることなんて、ほかにはあまりないのではないでしょうか。取材を進めるうちに、私と同じように、節税のことなんてあまり興味がなかったという方にこそぜひ伝えたいという思いが強くなりました。今号を読んでいただくだけで、何万円分もの税金を取り戻せるかもしれません。「税金対策 トクする人 ソンする人」特集をぜひお手に取ってお読みください。

担当記者:常盤 有未 (ときわ ゆうみ)
自動車タイヤ、トラック、輸入車、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食業界担当を経て、現在は『週刊東洋経済』編集部。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はもっぱらダンスフィットネスにいそしむ。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
税金対策
トクする人 ソンする人


Part1 逃れられない税
富裕層vs.国税 攻防の手筋
国税庁が問題視 節税保険の今
それでも選択肢はある 今どき富裕層の節税術
法人税で10万件! 税務調査の実態

Part2 企業と税
成長志向改革の曲がり角
超大企業は対象外に 交際費減税は役割終えた?
盲点を突く果敢な“挑戦” ソフトバンクグループの巨額節税
国際社会がGAFA対策に本腰 デジタル課税の行方
[企業納税ランキング]
税金が多い100社/税負担率が高い100社/税負担率が低い100社

Part3 変わる税
「未婚ひとり親税制は抜本見直しの好事例だ」自民党税制調査会長 甘利 明
元国税局のお笑い芸人が教える 税制改正でここが変わる
配偶者特別控除が拡充 損益分岐点はどこ!?
税制改正大綱の中身とは? あなたの税金はこうなる

Part4 基礎から学ぶ税
今さら聞けない税金の初歩
税金のギモン Q&A

Part5 知らないと損する税
NISAの仕組みと今後
加入可能年齢上限を5歳引き上げ iDeCoはどう変わる
配偶者居住権、生前贈与… 相続税「圧縮」のノウハウ
控除と返礼品は魅力的だが… ふるさと納税悲劇の結末
手数料の差が返礼品の寄付額に影響 サイトで異なる基準額

Part6 取り戻せる税
「還付」で取り戻せる税金
使いにくいから知られていない 「特定支出控除」って何?
罹災・盗難時の控除方法 「損害」の申告で税金を軽減
固定資産税の「過徴収」を疑え!

Part7 フリーと副業の税
フリーランスの税金対策
会社にバレない裏技もある 副業の申告漏れに注意
「認められる経費」の境目
税理士報酬の相場はどれくらい?

スペシャルリポート
ゴーン拡大路線の重いツケ 日産、米国販売不振の深刻度
副COO退任、ゴーン氏は日産批判 いまだ収束しない経営の大混乱

ニュース最前線
楽天と出店者が真っ向対立 送料改革めぐり深まる溝
東芝機械の防衛に“待った” 村上グループの妙手
日本電産、日産ナンバー3入社でも定まらぬ「永守後継」の行方


連載
経済を見る眼|地域における「つながり」の再構築|藤森克彦
ニュースの核心|中国 新型肺炎が示す報道管制の毒|西村豪太
『会社四季報』ルーキー登場|マクアケ
トップに直撃|アスクル社長 吉岡 晃
フォーカス政治|7年も続く「安倍1強」 本当の原因は野党にあり|千田景明
グローバル・アイ|今後の世界経済を牽引するAとI/米国の民主主義は生きている
INSIDE USA|自治体の企業誘致策はムダ? アマゾンとNYの皮肉な教訓|安井明彦
中国動態|新型肺炎が猛威振るう中国 フェイクニュースも拡散中|富坂 聰
マネー潮流|経済見通しにおけるバイアス|森田長太郎
少数異見|弱い企業の温存が年金問題の改善も阻む
知の技法 出世の作法|相次いで要人と面会する国家安全保障局長の実力|佐藤 優
経済学者が読み解く現代社会のリアル|審判を下すのは神か人か あるいは人工知能か?|宮下将紀
人が集まる街 逃げる街|宮崎市(宮崎県) 南国リゾートは不死鳥になれるか|牧野知弘
クラシック音楽最新事情|世界中が涙する 道を踏み外した女の物語|田中 泰
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