特集『知らないと損する相続』を担当した森創一郎です。
いきなり私事で恐縮ですが、4月に母が亡くなり、まさに相続は自分事となりました(あるいは、だからこそ回ってきた特集なのかもしれません)。特集制作と同時に遺産分割の話し合いも進めましたが、痛感したのは、やはり家族のコミュニケーションが何よりも大事だということ。逐一弟と連絡を取り合い、自分の考えをつまびらかにして意見を聞きながら話を進めました。いまのところ円満に進んでいます。
そして、特集でも触れていますが、話す相手の気持ちになって考えてみること。ご多分に漏れず、父は自分の死後のことについての話題を嫌がりました。息子の立場からすれば、「なぜ、ちゃんと意思を示してくれないのだろう」と思いますが、本人としては死後のことなど、怖くて考えたくないのかもしれません。
そして自分が当事者になってわかったのは、相続税の基本中の基本だけでも理解できれば、いろんな話が進めやすくなるということです。基礎控除や配偶者控除、基本的な税率を押えておくだけで、家族の話し合いは順調に進みます。配偶者控除の額を知った父が安堵した様子を見て、こちらもほっとしました。
本特集では、そんなイロハのイから、企業経営者が頭を悩ます事業承継や節税方法、贈与課税の賢い使い方まで、相続の不安を解消する全ノウハウを掲載しました。もちろん「全ノウハウ」といっても雑誌ですから、専門書のように細部まで網羅できるわけではありません。が、相続で困ることやその解消法、贈与で心がけておくと良いことのツボは網羅的にご紹介したつもりです。
もとより相続税は複雑ですから、費用はかかっても税理士を頼ったほうが間違いはありません。ただ、その税理士選びも重要なポイントになります。
本特集で必要な知識を身につけていただき、いざ、相続に望んでほしいと思います。
担当記者:森 創一郎(もり そういちろう)
東洋経済 記者 『週刊東洋経済』副編集長