週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2022年7月2日号
2022年6月27日 発売
定価 780円(税込)
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【特集】インフレ時代の資産運用術


物価が高騰するインフレの時代になると相対的に貨幣の価値が下がり、持っている現預金の実質的な資産価値は目減りします。今こそ、現預金を運用に回す「マネーシフト」が重要になってきます。そこで、投資についてのリスクやリターン、期間の戦略を解説していきます。さらに、投資信託やETF、日本株、米国株、外貨預金、債券、不動産、暗号資産などの投資商品の特徴や傾向について紹介していきます。「資産防衛」にも焦点を当て、節約術や税金対策、老後資産の活用・運用方法についても触れる内容になっています。

担当記者より

特集「インフレ時代の資産運用術」を担当した大竹麗子です。「運用にはリスクがつきものだし、何に投資するか考えるのは面倒。現金で持っているのがいちばん安心」と考えている方は多いのではないでしょうか。私自身にとっても投資のハードルは高く、「経済雑誌の会社に勤めながら、何も考えていないのか」と友人も呆れるほど、自身の資産運用についてはまったく無頓着。NISAもiDeCoもやっていませんでした。

ところが今、インフレの波は身近なところに迫り、食料品もどんどん値上がりしています。モノの値段は上がり、現金の価値が減少していくなか、経済評論家の山崎元氏がインタビューで語った「インフレは現金保有に対する課税のようなものだ」という言葉は印象的でした。

現金・預金を株式や投資信託などのリスク資産へ積極的に移してきた米国の家計資産は1995年を1とすると2016年には3.32倍にまで拡大しています。世界的なインフレに直面するいまこそ、現金・預金をリスク資産へ投じる”マネーシフト”が欠かせません。

取材を通じて、さまざまな運用の達人から「長期的な投資でリスクが抑えられる」、「運用資金はシンプルに○○一つへ投資すればいい」と極意を聞き、目からうろこ。取材翌日に、さっそく証券口座を開設しに行きました。まずは積立NISAから投資の第一歩を始めています。

特集では、初心者から一歩進んだ運用をしたい方にまで「老後の資金を確保したい」「円安を運用に生かしたい」など、お悩み別に情報をまとめています。資産運用に興味をお持ちの方も、そうでない方もご自身の資産のあり方を見つめ直すきっかけになれば幸いです。

担当記者:大竹 麗子(おおたけ れいこ)
1995年東京都生まれ。大学院では大学自治を中心に思想史、教育史を専攻。趣味は、スポーツ応援と高校野球、近代文学など。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
インフレ時代の資産運用術

一目でわかる お悩み別 おカネの運用術
▶︎老後資金を確保したい
▶︎手元の預金・現金を運用に回したい
▶︎円安を運用に生かしたい
▶︎インフレで儲けたい
▶︎新しい運用方法を検討したい
▶︎運用方法を見直したい
▶︎家計を見直したい
▶︎節税の最新事情知りたい

[図解] インフレ時代に必要なのは現金・預金からのマネーシフト

Part1 マネーシフトを起こせ
[インタビュー] 経済評論家 山崎 元
「現金主義から脱却しよう 長期投資こそ王道の備え」
リスクとリターンと「期間」がカギ ポートフォリオの最善手
個人投資の参考にもなる GPIFのポートフォリオの中身
iDeCo・NISAも使える 投信・ETFの基本のキ
[Q&A] FPがアドバイス! 持っている資産 今後どうする?
インフレ時代のFIRE術 老後資金は5000万円も?

Part2 投資先を厳選する
 投信・ETF 「世界の経済」に分散投資
 日本株  インフレに強い有望銘柄
 米国株  海外投資で円リスク分散
 米国株 お宝銘柄ランキング  高配当で波乱相場に勝つ

[インタビュー] 複眼経済塾 塾頭 エミン・ユルマズ
「バリュー株に商品ETF分散投資でインフレに備え」
 金・コモディティー   ロシア危機で続く高騰
 外貨預金  利上げ傾向は投資に妙味
 債券  米ドル建て外債が最適
 不動産投資  価格高騰でうまみ薄れる
 REIT 「含み益」がカギを握る
 暗号資産   乱高下相場に要注意

Part3 資産の防衛術
スマホ、保険、年金... 資産を守る家計見直し術
住宅ローン、早くも固定金利は上昇 「借りすぎ老後」にご用心
「使いながら運用」の最適解 老後資産の取り崩し方
iDeCoが最強 今からできる最新節税術
路線価認めず 「タワマン節税裁判」の顛末
資産防衛術の基本 最新!相続税対策の要点
歴史に学ぶインフレと株価 迫り来る逆風相場の足音

ニュース最前線
トヨタ国内販売幹部が交代 膨張する受注に募る危機感
後発薬大手が陥った窮地 カギ握る再生計画の行方
セブンにZOZO元幹部も プロ人材集める無印の真意


連載
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|ニュースの核心|忍び寄る世界的スタグフレーションの深刻度|中村 稔
|発見! 成長企業|グローバルインフォメーション
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|島津製作所 社長  山本靖則
|フォーカス政治|そこのけ、そこのけ積極財政派が通る|軽部謙介
|中国動態|欧米主導の国際秩序に反発する中国|小原凡司
|財新 Opinion &News|中国で「韓国ブランド車」の存在感が急低下の訳
|グローバル・アイ|ウクライナ「復興計画」がいま求められる理由|ポール・グロッド
|Inside USA|「世論を反映しない」大統領選に募る根深い不信|安井明彦
|FROM The New York Times|分散で平等な世界とは対極 暴かれたビットコインの幻想
|マネー潮流|カーボン市場という新たな潮流|高井裕之
|少数異見|「脱炭素」計画の一時棚上げが必要だ
|知の技法 出世の作法|ロシア討論番組で行われた米ロ間の対話と思惑(下)|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|重要な情報を選んで分析 マクロ経済予測の最先端|末石直也 中島佳樹
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