週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2023年1月7日・1月14日合併号
2023年1月4日 発売
定価 820円(税込)
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【特集】熱狂のマンション 崖っぷちの戸建て


首都圏の新築マンション価格はバブル期の最高値を上回る勢いを続けています。日銀の金融政策変更により住宅ローン金利の先高懸念があるものの、市場の熱が急速に冷えることはなさそうです。本特集ではマンション開発・用地仕入れの深層をリポート、コロナ前後での値上がりランキングからあなたのマンションの資産価値を提示します。一方で戸建ては一足早くバブルが崩壊、中古住宅「再生」ビジネスなど新市場開拓に注目が集まります。水回りや保険など中古マンションの知られざる盲点や管理必勝法もお届けします。
 

担当記者より

週刊東洋経済1月7日-14日合併号の特集「熱狂のマンション 崖っぷちの戸建て」を担当した梅咲です。

今回の特集は実のところ、数ヶ月前に提出した企画書の段階では、「マンション バブル崩壊」という仮タイトルをつけていました。首都圏の新築マンション価格がバブル期を上回って推移していることや、「マンションを建てた後すぐに一棟売りするような投機的取引筋が跋扈している」という関係社の指摘もあることから、「それってバブってるよね」との見立てでした。

ところが、不動産担当記者とともに複数の取材先を回ったところ、関係社は口々に「価格が下がる要素はない」「低金利が需要を底支えする」と言います。特に、ある取材先の次の言葉は印象的でした。「金融機関は積極的な住宅ローンの貸し出し姿勢を変えていない。リーマンショックの時のように金融システムに混乱が起きれば別だが、健全に機能している限りは、大きな調整は入らないと見てよい」。

大手デベロッパーがマンションを売り急がずに、供給を調整していることも、価格を保つ要因になっています。

ただ、今後は予断を許しません。2022年12月20日には、日本銀行が長期金利の上限を従来の0.25%程度から0.50%程度に変更しました。この動きが住宅ローン金利に本格的に反映されるのはタイムラグがあるとはいえ、マンション相場を支える要因になっていた低金利環境が崩れると、一気に市場の熱が冷めかねません。

この点について、着目して欲しい記事があります。『住宅ローン金利の上昇 2%台ならば許容範囲か』です。記事を執筆した三井トラスト基礎研究所の菅田修・上席主任研究員は、「マンションが買いやすい環境にあるかどうかは、金利だけを見るのではなく、年収(世帯所得)と価格水準(マンションの平均価格)とのバランスで捉える必要がある」といった主旨のことを述べています。

記事の中では、三井トラスト基礎研究所の独自指標である「アフォーダビリティ」を使って、マンションが買いやすい環境にあるかどうかを考察するだけでなく、この先に金利が上昇した際のシミュレーションも実施しています。住宅ローンの先行きが気になる読者にとって、参考になるのではないでしょうか。

ほかにも、脚光を浴びる中古住宅「再生」ビジネス、マンション総合保険の落とし穴、複数のマンション評価制度を使い分けるコツなどを取り上げました。豊富なランキング、地図、データも揃えています。丸ごと一冊に「マンション&戸建ての最前線」を詰め込みました。ぜひ、お手にとってご覧くださいませ。

担当記者:梅咲 恵司(うめさき けいじ)
東洋経済 記者
ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
熱狂のマンション 崖っぷちの戸建て
[Prologue] 東京・赤羽 「億ション」開発 続々の衝撃

PART1 「熱視線」のマンション
原価高騰・供給制約で新相場に突入 マンション価格が下がらないワケ
坪1000万の都心物件も 高級路線は譲らない 大手デベの「次の一手」
[インタビュー] 東京建物 取締役常務執行役員 神保 健

あの手この手のマンション開発 小型用地の賃貸マンション「駅遠」シニア向けに焦点
富裕層向けマンション 3億円超の中古物件が取引活発

現役社員誌上覆面座談会
用地仕入れのプロたちが語る 仕入れのリアル

分譲マンションの「買いやすさ」を独自分析
住宅ローン金利の上昇 2%台ならば許容可能か 菅田 修

[コラム] 資産性を見極める 日下部理絵
①ダメな中古物件をつかまない3法則
②今こそ賃貸マンションを選択?

あなたのマンションの資産価値は?
コロナ前と後 値上がりランキング
値上がり物件 東京トップ70/神奈川 千葉 埼玉トップ100

人気エリアはここ!
①高価格帯マンションが多い「駅」 首都圏は億ションがズラリ
②マンション・戸建てページビュー(PV) 割安な郊外がチェックされている!

PART2 「冷え込む」戸建て
好調だった分譲にも暗雲 戸建ては一足早く「バブル」崩壊
新市場を開拓せよ! 一躍脚光 中古住宅「再生」ビジネス

PART3 中古マンションの盲点
盲点①「水回り」のわな
知らぬ間に漏水加害者の恐怖 伊藤 歩
[インタビュー] 日本住宅管理組合協議会 会長 柿沼英雄
盲点② 保険のわな
マンション総合保険のカラクリ 伊藤 歩
盲点③ 駐車場、ルーフバルコニーでも!
専有部と共用部の狭間で多発するトラブル解決法 柄澤昌樹

PART4 マンション管理必勝法
今さら聞けない... マンション評価制度のポイント
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建て替えマンションは東京に集中
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