週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2023年4月29日・5月6日合併号
2023年4月24日 発売
定価 880円(税込)
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【特集】食える資格と検定&副業100


コロナ禍が過ぎ去り、平穏が戻りつつある今、個人の真の実力が問われています。そして自分の市場価値を高めるなら「資格」「検定」を取ることが近道でしょう。政府も学び直し支援を強化しており、資格・検定取得のための勉強はその代表例になりそうです。本特集では時間が限られるビジネスパーソンのために、費用対効果の高い“コスパのいい”資格・検定&副業を100紹介。その特徴や取得のための最強勉強法のほか、人気講師が教える試験対策、合格者のアドバイスやキャリアについて触れています。

担当記者より

特集「資格と検定&副業100」を担当した大野和幸です。

資格というと、自分に縁がなかったせいか、もう何十年も「変化なし」という印象が強かったのが正直なところです。しかし、取材を進めているうちに、その考えは一変しました。

ひとつが少子高齢化への対応です。有資格者の平均年齢が60代の「税理士」ですが、若い世代を取り込もうと、受験資格の要件を緩和し始めました。かつては日商簿記1級の取得、法律学か経済学の履修などが条件でしたが、それらを撤廃。現在では高校生、文学部や理工学部の大学生でも、受験できるようになっています。少しでも若者に振り向いてもらいたいということでしょう。

一方、「公認会計士」の試験では若年化が先に進み、今や合格者の平均年齢は24歳という若さ。ある資格予備校のトップに聞いた話ですが、優秀な生徒には高校3年の時点から青田買いに動き、大学生になった時点で自分の予備校に入学してもらう。そして「講座の受講料をほぼ無料にする代わり、わが校の広告塔になってほしい」とお願いするそうです。大企業のリクルーターも真っ青のフットワークです。

もうひとつがデジタル化への対応です。誌面でも紹介した「ITパスポート」は2009年に始まり、今日では“文系にもとれるIT資格の登竜門”として、年間24万人も受験するマンモス資格に成長しました。目下、大注目のChatGPTにもつながるAI(人工知能)の領域では、日本ディープラーニング協会が実施する「G検定」も大いに注目されています。

試験の方法も新しくなっています。メインはいまだ紙と鉛筆ですが、会場ではパソコンを使ったCBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)方式が普及し始めています。前述のITパスポートはもちろん、70年近い歴史がある「日商簿記検定」の2級・3級にも導入されました。簿記では試験が終わり次第、即、解答が目の前のディスプレイに映し出されるというスピード振りです。

少子高齢化にしろデジタル化にしろ、いずれも、今の日本が抱える課題そのもの。「変化に対応できる者だけが生き残れる」、というダーウィンの名言は、資格の世界にも言えているようです。

担当記者:大野 和幸(おおの かずゆき)
ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
食える資格・検定&副業100


「難易度と年収で見るマトリックス図]コストパフォーマンスのいい資格はどれか
試験対策はどうする? 年間学習スケジュール

合格対策マニュアル 最強勉強法と将来のキャリア
人気講師が教える勝ち筋&合格者ここだけの本音

ビジネス・会計系
① 公認会計士 合格平均年齢24歳と若年化 監査のほかコンサルの道も
② 税理士 高齢化回避で受験要件緩和 インボイスなどへの対応も
③ 社会保険労務士 雇調金やハラスメント対策 高まるニーズに女性も志願
④ 中小企業診断士 論述では先入観を排除する コンサルとして独立開業も
⑤ ファイナンシャルプランナー 税から年金、相続まで幅広い 2つの団体がそれぞれ実施
⑥ 日商簿記 経理を知り税理士への道も 一部でCBT試験も開始
⑦ 証券アナリスト 新カリキュラムには情報戦 倫理でつまずかないこと

法律系
⑧ 司法試験 実は法科大学院こそが早道 新人で年収1000万円も
⑨ 司法書士 法の趣旨を体系的に覚える 登記や成年後見の需要拡大
⑩ 行政書士 法律は特性ごとに覚える 許認可のほか給付金申請も
⑪ 弁理士 求められる知的財産のプロ 選択科目は出題者で傾向変わる
[資格の天才を直撃] 医師、司法試験、会計士に合格した理由 河野塾ISM 代表 河野玄斗

不動産系
⑫ 宅地建物取引士 重要事項説明は独占業務 宅建業法から入り効率よく
⑬ 不動産鑑定士 鑑定理論の攻略が突破のカギ 合格後は鑑定会社が一般的
⑭ マンション管理士 管理組合の立場でサポート 区分所有法など法令を重視
⑮ 賃貸不動産経営管理士 国家資格化で注目が集まる 副業や不動産投資への活用も
⑯ 建築士 1級建築士は設計職の花形 製図は手描きの精度を磨くべし

新興系
⑰ キャリアコンサルタント  面接はロープレの数こなせ カウンセリング以外でも活躍
⑱ ドローン 2022年に国家資格が誕生 8の字、不安定飛行も試験
⑲ 気象予報士 世界的な気候変動で注目 保険など周辺業界でも期待
[スペシャルインタビュー]「気象災害を食い止める 自然現象は瞬時で判断」 気象予報士 森田正光
[資格の達人に聞く]
「資格とスキルの掛け合わせが強い」資格ソムリエ 林 雄次
「資格は自分で作ることもできる」 オールアバウト「資格」ガイド 鈴木秀明

IT系
⑳ ITパスポート デジタル化で社会人が殺到 ITを広く理解する登竜門
基本・応用情報技術者 高度IT人材へのステップ 基本ではプログラミング必須

副業系
インフルエンサー TikTokで企業案件獲得
[トップインタビュー] 「飯テロ動画の投稿で日本一 好きだから毎日継続できる」 飯テロTikToker バヤシ
アフィリエイト 成果報酬で広告収入が入る 得意分野でユーザーを誘導
動画制作 少規模でも撮影編集は可能  動機を探りニッチに攻める
EC 調達、サイト構築、配送まで ひとりでもECはできる
2023年版 ビジネスパーソンが選ぶ 最強資格・検定ランキング
・就職に役立つ30
・昇進に役立つ10
・趣味で取りたい10
・これから取得したい10
・DX関連10

コスパがいい&将来性がある資格・検定 注目14 (26~39)
日本暗号通貨技能検定、登録販売者、 ITストラテジスト、G検定、3Dプリンター活用技術検定試験、DX検定、小型船舶操縦士、QC検定、電気工事士、ヴィーガン検定、秘書検定、TOEIC Listening & Reading Test、実用英語技能検定、危険物取扱者

定番資格・検定 セレクト50 (40~89)
・ビジネス・会計系
外務員、金融コンプライアンス・オフィサー、貸金業務取扱主任者、経理・財務スキル検定、販売士検定、商業経済検定、知的財産管理技能検定、統計検定、ビジネス実務法務検定、マイナンバー実務検定、メンタルヘルス・マネジメント検定

・IT系
E資格、CompTIA認定資格、情報処理安全確保支援士、データベーススペシャリスト、P検、プロジェクトマネージャ試験、マイクロソフト オフィス スペシャリスト

・不動産系
管理業務主任者、土地家屋調査士、建築施工管理技士、インテリアコーディネーター

・語学系
観光英語検定、全国通訳案内士、中国語検定、中国語試験HSK、TOEIC Speaking & Writing Tests、日本漢字能力検定、日本語教育能力検定試験

・技術系・その他
アロマテラピー検定、公認心理師、衛生管理者、eco検定、サービス接遇検定、介護支援専門員(ケアマネジャー) 、介護福祉士、社会福祉士、技術士、消防設備士、施設警備業務検定、電気主任技術者、防災士、食品衛生責任者、調理師、野菜ソムリエ、カラーコーディネーター検定試験、色彩検定、キャンプインストラクター、世界遺産検定、ラジオ体操指導者

ユニーク資格・検定 BEST11 (90~100)
おさかなマイスター、古文書解読検定、サウナ・スパ健康アドバイザー、声優能力検定、銭湯検定、掃除能力検定、定年力検定、日本城郭検定、ねこ検定、夜景観光士、和食検定

受講費の20~70%が戻ってくる 資格は教育訓練給付金で取れ
YouTubeでできる 無料の資格試験対策

ニュース最前線
日銀大規模緩和の「呪縛」 植田新総裁が挑む後始末
百貨店に戻るインバウンド 売れ筋商品は様変わり
セブン&アイ売上高10兆円 大台突破でも消えない不安


連載
|経済を見る眼|生成系AIの拡大が教育現場に迫る難題苅谷剛彦
|ニュースの核心|「束ね法案」で原発推進を狙う経産省の狡猾岡田広行
|発見! 成長企業|サイフューズ
|会社四季報 注目決算|今週の4社
|トップに直撃|東レ 副社長(次期社長) 大矢光雄
|フォーカス政治|史上最低投票率が問う政治の可塑性|山口二郎
|中国動態|「覇権主義」めぐる認知戦が始まった|益尾知佐子
|財新 Opinion&News|アリババが「事業6分割」で目指す難局の打開
|グローバル・アイ|呉越同舟のBRICSにドル覇権は崩せない|ジム・オニール
|Inside USA|規制か活用か「オープンAI」の技術を見極めよ山本康正
|FROM The New York Times|「非常識」レベルの大ヒット マリオが切り開いた新境地
|マネー潮流|日銀の金融政策正常化は円高をもたらすか|佐々木 融
|少数異見|食品の「鮮度フェチ」から脱しよう
|ヤバい会社烈伝|社長サークル 下には下がいる! 底抜け怠惰な人々|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と 分析の技法⑧|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|2010年代以降の雇用 世界と日本の傾向に違いも|川田恵介
|話題の本|『真珠とダイヤモンド』著者 桐野夏生氏に聞く ほか
|シンクタンク 厳選リポート|
|PICK UP 東洋経済ONLINE|
|編集部から|
|次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2023年4月29日・5月6日合併特大号」(4月24日発売)に、以下の誤りがありました。訂正してお詫び致します。
 
19ページ ■百貨店のインバウンド復活についての記事 

高島屋における免税売上高に関する記述
【誤】高島屋新宿店の売上高に占める免税売上高の構成比は約30%、大阪店では同50%
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【正】高島屋グループ全体の免税売上高に占める新宿店の構成比は約30%、大阪店は約50%
54ページ ■日商簿記についての記事

【誤】商業簿記は製造業向け、工業簿記は小売業向け
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【正】商業簿記は小売業向け、工業簿記は製造業向け