週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2023年6月3日号
2023年5月29日 発売
定価 820円(税込)
JAN:4910201310630

【第1特集】四季報記者が教える 決算書の読み解き方

決算書を読解する力を身に付ければ仕事や投資の成果アップにつなげることができます。しかし、何となくの知識でここまで来てしまったビジネスパーソンも少なくないでしょう。そこで、財務諸表の基本を徹底的に解説すると同時に、四季報記者視点での企業決算の見方、成長企業や危ない会社の見分け方について触れていきます。さらに最新の決算を基に、業界内比較や今期の会社計画の傾向についても掲載。基礎知識のインプットから読み解きの演習まで、1冊で決算書の「ニガテ」を克服できる内容です。
 

【第2特集】日立 変貌の先 DX支援「ルマーダ」で攻勢


新しい仕組みの下で、成長モードへのシフトを目指す。

担当記者より

特集「四季報記者が教える決算書の読み方」を担当した大竹です。「教える」と偉そうに銘打っていますが、自身が社会人1年目の頃を振り返ると「減損損失」、「のれん」など難解な用語に四苦八苦していました。大学院時代の専攻は大学史で、会計の知識は一つもありません。とはいえ3か月に1度、必ず四季報取材があります。必死に勉強するうちに決算書の基礎が掴めてきました。人間必要に迫られれば、なんとかなるものだと感じています。

1年目の頃、大学の先輩からこんな話を聞きました。その先輩は、就活で大失敗し、その年に念願かなってある一流企業に転職していました。転職成功の秘訣は、「決算書を読み込んだから」だと言います。「決算書は企業の成績表みたいなもの。そこには今までどんなことをしてきたのか、どんな強み、弱みがあるのか、ほぼ全て書いてある。決算書が読めれば、その企業に自分がどんな貢献ができるのか、イメージもしやすい」と決算書の重要性を熱く語っていました。

決算書を投資に役立てることしか頭になかった私は目からうろこ。確かに決算書が読めれば、就活や転職、ビジネスなど幅広くその知識を活用できます。

今回の特集では決算書の基礎から半導体や総合電機など各業界の決算書分析まで幅広く掲載しました。多種多様な企業の決算書を読み込んでいる四季報記者の分析のツボも紹介しており、膨大な決算書の中からどこを見ればいいのか、その勘所も掴んでいただけると思います。

この4月に就職した、もしくは新しい部署に異動になり、決算書が読めないといけないという危機感を持ち始めた方もいらっしゃると思います。先ほどの先輩も転職のために一から決算書を勉強し、成功を収めました。勘所を押さえ、目的をもって勉強すれば、決算書の読み解き方を身に付けるのは難しいことではありません。本特集が、投資や転職、ビジネスで決算書を武器にできる力を身につける一助となれば幸いです。

担当記者:大竹 麗子(おおたけ・れいこ)
東洋経済記者。1995年東京都生まれ。大学院では大学自治を中心に思想史、教育史を専攻。趣味は、スポーツ応援と高校野球、近代文学など。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
四季報記者が教える 決算書の読み解き方
[INDEX]決算書マスターへの3ステップ

Part1 財務諸表の構造を理解する
パン屋の経営から財務3表の基本のキがわかる ストーリーで学ぶ財務3表
決算書を読み解くための重要ワード8選

どこまで範囲に含める? 「連結決算」の基礎知識
日本基準と何が違う? 採用広がる「IFRS」

収入と「5つの利益」の内訳を把握 企業の収入・損益の「成績表」
企業の財務状況を読み解く BSは左右に分けて理解
営業、投資、財務の3視点 現金の動きはCSで読む
財務3表は連動している

『米国会社四季報』編集長がポイントを解説 米上場企業の決算書の読み方
意外な情報源もあるが注意は必要 未上場企業決算はこう探る
大手町のランダムウォーカーが解説 会計クイズで楽しく学ぶ決算書

Part2 四季報記者の視点を身に付ける
プロが見る決算書と関連資料のツボ 将来性や危険度を見極める
リース会計「新基準」の衝撃

決算書に表れる危ない会社のシグナル 会社はこうやって倒産する
環境・従業員対策が決算数字に反映 非財務情報の「金額化」進む
ビジュアル化で簡単把握 決算分析の便利ツール3選

Part3 最新決算で読み解きに慣れる
重要業界の決算書で実践 かんたん財務分析
電機 ソニーとアップル、企業価値の決定的な差
半導体 製造設備の有無でBSはこんなに変わる
半導体製造装置 社員に年収1400万円払う思惑
自動車 日産、販売台数減でも利益拡大のナゾ
小売り 自社出店vs.買収、CFへの影響は?
通信 KDDIとソフトバンクを徹底比較
楽天が資金集めに奔走する理由

「目利き力」を一歩深める「時系列比較」でビジネスモデルの変化を読み解く
最新決算から見えた主要業界・主要企業の「明」と「暗」
自動車/自動車部品/建設機械/工作機械/
鉄鋼/総合電機/電子部品/総合商社/
半導体関連/化学/通信・ITサービス/
メガバンク/アパレル/物流/食品/酒類・飲料/
医薬品/外食/コンビニ・スーパー/
広告・テレビ/人材サービス/
航空・旅行/鉄道/建設/ゲーム/GAFAM

第2特集
日立変貌の先 DX支援「ルマーダ」で攻勢
「ルマーダ」戦略の成否を握る デジタル人材獲得大作戦
[インタビュー]データを活用し社会イノベーション会社へ
「変わり続けるのが日立のDNA」 日立製作所 社長兼CEO 小島啓二

ニュース最前線
楽天モバイルが方針転換 巨額増資後も続く綱渡り
SBI新生銀が非公開化へ なお残る公的資金返済の壁
大赤字のコニカミノルタ 巨額減損を生んだ甘い体質


連載
|経済を見る眼|型にはまったウェルビーイングの自縛|井上達彦
|ニュースの核心|プラスチック汚染根絶へ、日本は規制強化に転換を|岡田広行
|発見! 成長企業|燦ホールディングス
|会社四季報 注目決算|今週の4社
|トップに直撃|カルチュア・コンビニエンス・クラブ 社長兼COO 髙橋誉則
|フォーカス政治|「改憲」は衆院選の大義名分になるか|塩田 潮
|中国動態|「抑止」をめぐる米中の角逐が激化|小原凡司
|財新 Opinion&News|中国EV大手BYD、値下げ敢行でも大幅増益
|グローバル・アイ|混濁する経済指標、「5月に売れ」を思い出せ|ジム・オニール
|Inside USA|グーグル、開発者会議でAIの広告影響に触れず|山本康正
|FROM The New York Times|「生成AI」の楽曲が人気に 音楽は誰のためにあるのか
|マネー潮流|続く米国の銀行不安、株価下落に要注目|木内登英
|少数異見|「没落する新聞」と心中することなかれ
|ヤバい会社烈伝|ケニア・ナッツ・カンパニー ゾウの論理で 経営しないとね| 金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法⑫|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|お酒に弱くても関係ない アルコール耐性と年収の話|横山 泉
|話題の本|『(決定版)戦略プロフェッショナル』『(決定版)V字回復の経営』著者 三枝 匡氏に聞くほか
|社会に斬り込む骨太シネマ|『老ナルキソス』
|シンクタンク 厳選リポート|
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  • 11/4(火) 週刊東洋経済 2025年11月8日号