週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2023年7月29日号
2023年7月24日 発売
定価 880円(税込)
JAN:4910201350735

【特集】ChatGPT 超・仕事術革命


生成AI「ChatGPT」の衝撃が収まりません。個人の利用に次いで、企業の活用も沸騰しています。いち早く特集した本誌だからお届けできる、最新事情&実践術のシリーズ第2弾です。本特集では今さら聞けない超キホンや有料版の実力、独学で使う勘所などを紹介。読者のユニークな活用術も多数掲載しました。メガバンクや製造業などもアクセルを踏み込んだ、日本企業の活用の最前線にも迫っています。地殻変動が起きたGAFAM勢力図も描いています。この恐るべき生成AIの現在地を、巨弾50ページの大特集で深耕しました。

担当記者より

特集「ChatGPT 超・仕事術革命」を担当した西澤です。

ChatGPTが前回取り上げた特集「ChatGPT 仕事術革命」(4月22日号)からわずか3ヶ月で異例の第2弾となります。前回、このテーマを発信する際には、編集部内に不穏な緊張感が漂っていたことを、まるで昔のことのように感じます。

テック界隈では連日関連ニュースで大盛り上がりでした。しかし、日本の多くのビジネスパーソンにとって、ChatGPTは海の物とも山の物ともつかぬ技術。欧州では一部の国で利用が禁止されたということもあります。そのような存在の「活用術」を特集にすることで本当に需要があるのか、当社の営業部門は「類書がないので効果が未知数」と回答。しかし、話題にはなっている…。

勝負の結果、増刷に次ぐ増刷。他の雑誌でもChatGPTの大特集が次々と出され、書店には関連書籍が溢れるようになりました。しかし、ChatGPTに火をつけた生成AIのブームは収まることがありません。ほぼ毎週のように、新しい技術や商品、企業や政府の新しい動きが出て、業界地図が塗り替えられていきます。

わずか3ヶ月で打ち出した第2弾でしたが、前回とは全く異なるコンテンツになったことは編集部にとっても驚きでした。今の生成AIの進歩スピードの劇的な向上によるものだといえます。

「質問の仕方(プロンプト)の工夫」など個人の活用ノウハウが注目されていますが、現在盛り上がっているのは法人のビジネス活用です。企業が生産性向上や新サービスにどのように生成AIを取り入れているか、東洋経済の業界担当記者が最新の企業ユースケースを取材しました。また、パナソニックや日清食品など、GPTを早くから導入した企業がどのような成果や課題を見つけたかについても取材しました。

本特集では、「あなたの活用法を教えて欲しい」という応募に対し、約400人の読者から寄せられた声から厳選した「私の仕事術大賞」を発表しています。さらに、『シン・ニホン』の安宅和人氏や『ホモ・デウス』のユヴァル・ノア・ハラリ氏などの2人の賢人による「GPT以後の世界」を語る特別インタビューも掲載しています。他にも注目のコンテンツが盛りだくさんの50㌻巨大特集。いちはやくChatGPTを取り上げた本誌だからお届けできる、最新事情と活用術を御覧ください。

担当記者:西澤 佑介(にしざわ ゆうすけ)
1981年生まれ。2006年大阪大学大学院経済学研究科卒、東洋経済新報入社。自動車、電機、商社、不動産などの業界担当記者、19年10月『会社四季報 業界地図』編集長、22年10月より『週刊東洋経済』副編集長。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
ChatGPT 超・仕事術革命
万能AIではない、これが活用法の「正解」


生成AI実装が「勝ち残る企業」の常態に
「もはやブームではない。社会実装の段階に入った」 東京大学大学院 教授 松尾 豊
「2、3年のうちにさまざまな業種でビジネスモデルが一変する」 PKSHA Technology 代表取締役 上野山勝也

PART1 超・仕事術 編
万能ではない! 活用の「正解」「不正解」 今さら聞けない「ChatGPT」の超キホン
外資系コンサル&起業家 AIをこう使いこなす 「達人」たちの活用術に学べ!
・マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン パートナー 工藤卓哉
・インティメート・マージャー 代表取締役 簗島亮次
[コラム] 「フェイク画像」「ハルシネーション」… 生成AI「ウソ抑止」への模索

「月20ドル」を払う価値を検証 ChatGPT有料版の実力
一足先に使い勝手を解説! 「Office」は生成AI搭載でこう変わる
『独学大全』の著者、読書猿氏が直伝! 独学にChatGPTを使う勘所
応募総数376通。読者の声から厳選! 「私のChatGPT仕事術」大賞!

PART2 企業実装 編
メガバンク、製造業など大企業もアクセル 動き出した日本企業 生成AI活用の最前線
金融|膨大な事務を効率化 三菱UFJ銀行
製薬|新薬開発の成功率UP 小野薬品工業/アステラス製薬
製造業|「現場」を仮想化 日立製作所
マーケティング|AIで購買促進 DMMグループ/ZEALS
流通・小売り|ECに「接客」導入 DROBE
コンサル|リサーチを効率化 EYジャパン
カスタマーサービス|仮想SVが業務を支援 トランスコスモス

[コラム] 対話形式で手軽に銘柄研究 東洋経済「四季報AI 」開発中!
パナは用途拡大、日清は部門ごとに特訓 先行導入企業が得た手応え
「利用ガイドライン」 を作るだけでは意味がない 管理職のための「社内導入マニュアル」

[インタビュー]超一流テクノロジー論客が語る生成AI、教育、日本の未来
「AI時代こそリアルで深い『生体験』が必要だ」
慶応大学環境情報学部 教授 Zホールディングス シニアストラテジスト 安宅和人

PART3 業界動向 編
生成AIブームでクラウド首位の座は変わるか 生成AIでMSがアマゾンに仕掛けた戦い
[インタビュー] 幹部に聞くMSの野望
生成AI活用の 議論が切り口に データサービスの躍進に手応え
マイクロソフト エグゼクティブバイスプレジデント 沼本 健

後発でオープンAIに勝てる? 大規模言語モデル(LLM) 日本企業が次々参入の成算
エヌビディアは増産表明も、足元の納期は1年超 AI時代のつるはし「GPU」が足りない!
[コラム]「ジピる」子どもにどう対処? 悩める義務教育の現場

対AIの「権利章典」を策定 米国が身構えるAIの台頭
[インタビュー]「知の巨匠」が語るChatGPT 歴史学者 ユヴァル・ノア・ハラリ
「過度に依存すれば、人間はAIをコントロールする力すら失う」


[付録]2023年夏号から発掘!生成AI関係会社四季報

ニュース最前線
エーザイ1兆円超を目指す 認知症薬が米国で正式承認
マイナ問題で揺らぐ富士通 問われるIT最大手の矜持
すすきので再開発ラッシュ 地元不動産驚愕の高額賃料


連載
|経済を見る眼|日本の起業家発のサステイナブル革命|井上達彦
|ニュースの核心|習近平主席の沖縄発言に過剰反応は禁物|西村豪太
|発見! 成長企業|KeePer技研
|会社四季報 注目決算|今週の4社
|トップに直撃|ネクソン 社長 オーウェン・マホニ―
|フォーカス政治|権力者の自己正当化が日本を滅ぼす|山口二郎
|マネー潮流|心配性が考える年後半のリスク要素|中空麻奈
|中国動態|中国外交の武器となる「汚染水」批判|益尾知佐子
|財新 Opinion&News|対話を続け、米中関係のさらなる悪化を避けよ
|グローバル・アイ|市場原理主義者たちがAIに心酔する皮肉|ダロン・アセモグル
|FROM The New York Times|太陽の都市も耐えられない メキシコを襲う殺人的熱波
|少数異見|農業は衰退産業なのか
|ヤバい会社烈伝|トヨタVS.東京海上 ビッグ2が対立? 否、もたれ合いっす|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法⑳|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|コロナ禍の負の影響 子どもの発達の個人差拡大|佐藤豪竜 深井太洋
|話題の本|『敵対的買収とアクティビスト』 著者 太田 洋氏に聞くほか
|社会に斬り込む骨太シネマ|『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』
|シンクタンク 厳選リポート|
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