週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2024年10月12日号
2024年10月7日 発売
定価 920円(税込)
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【第1特集】米国動乱

11月5日投開票の米大統領選挙まで1カ月を切りましたが、趨勢を決める激戦7州では共和党トランプ、民主党ハリス両候補の支持率は依然としてほぼ互角の情勢となっています。当選者が決まったとき、日本企業はどう対処すべきでしょうか。また、利下げ局面に入り、AIブームが牽引してきた米国経済は急激な悪化を避けられるのでしょうか。さらに米国株の行方は。本特集では現地ルポを交えて、転換点を迎えている米国のいまを徹底解説します。
 

【第2特集】JR東日本 脱「鉄道」の成長戦略


日本最大の鉄道会社が「鉄道だけではない」事業体への変貌を加速させている。

担当記者より

特集「米国動乱」を担当した二階堂遼馬です。

かつて挑戦者だったシリコンバレーの起業家たちが、エスタブリッシュメントと呼ばれる既得権益の側に回ったらどうなるのか。かねてよりの関心テーマでしたが、まさかトランプと邂逅を果たすとは思いもよりませんでした。イーロン・マスクによるトランプの称賛は、ある種強者と強者との結託に見えて、今後の米国社会に不安を覚えます。

一方で米国は、富の独占に対抗するばねが働く国でもあります。2021年には一会社員がネットの実況中継を通じてゲームストップ(ゲームソフトの小売り企業)株の購入を呼びかけ、カラ売りを仕掛けるヘッジファンドに多額の損失を与えるという反乱劇がありました。このファンドはウォール・ストリートの大物から救済資金を受けていたため、より個人投資家の反感を高めることになりました。

米国のテック富豪たちにもいつか、そのような市民の怒りの矛先が向かう日が来るのかもしれません。

担当記者:二階堂 遼馬(にかいどう りょうま)
解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
世界と日本はどう変わる?
米国動乱

バイデン撤退後に風向きが一変 ハリス旋風でも激戦州はほぼ互角
米国経済は二極化、雇用環境も軟化へ

Part1
転換期迎える米国経済

[現地ルポ]トランプと邂逅するテック富豪 深まるシリコンバレーの亀裂
エヌビディア向けのネットワークで受注急増 AIブームの新主役 オラクル躍進の裏側
[Q&A]リセッション懸念高まる米国経済を分析
バイデンの「大きな政府」路線を強化 「現実的急進左派」ハリスの経済政策
[インタビュー]「気候変動をめぐる方針転換に注意」
英戦略コンサルティング会社 ブランズウィック・グループ パートナー ランヒー・チェン
仮想通貨に接近する両陣営 選挙を動かすビットコイン
世界経済の「牽引役」 米国の役割は変わるのか?

Part2
選挙に揺れる日本企業

【鉄鋼】ラストベルトの「政争の具」に 日鉄・巨額買収に労組の壁
[インタビュー]「日米安保の点でも重要案件に」笹川平和財団上席フェロー 渡部恒雄
【エネルギー】化石燃料・脱炭素とも正念場 党派対立、インフレで不透明感
[インタビュー]
「投資案件が多く重要度高い」 東京ガス副社長 海外事業カンパニー長 糟谷敏秀
「脱炭素めぐり政策遅延リスク」 武蔵野大学准教授 杉野綾子
【製薬】アステラスや武田も対象となるか 民主党で加速する薬価引き下げ
【自動車】政権と州の間で政策が歪む 「屋台骨」北米市場の不安
[インタビュー]「もしトラ『追い風』は大間違い」ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト 中西孝樹
【電池】パナソニック HD 社運懸ける車載電池 大統領選が命運を左右
【人材】リクルートHD 米国求人数減少は続く サービス改善で増収基調に
対中60%に加え、すべての国へ10%も トランプ「関税強化」がもたらす企業への激震
妥協なき価値観闘争の結末 なぜ「政治暴力」は繰り返されるのか

Part3
徹底解剖 米国株の行方

急落相場にどう備えるべきか? 米国株との向き合い方
転換した金融政策 「緩やかな利下げ」もくろむFRBの難路
選挙後にも期待できる注目の米国株40選
▶ウォーレン・バフェット銘柄10
▶キャシー・ウッド銘柄10
▶AI関連銘柄9
▶選挙・景気関連銘柄11

第2特集
JR東日本 脱「鉄道」の成長戦略
社運を懸けた開発「高輪ゲートウェイ」
[インタビュー]JR東日本社長 喜勢陽一 「鉄道事業だけではない 『2軸』の経営をする」
10年後の青写真 5大ポイント経済圏に「Suica」が並び立つ日

スペシャルインタビュー
前財務官 神田眞人
通貨防衛の最前線に立って 「介入する以上は勝たなければならない」


NEWS & TOPICS最前線
半導体の盟主インテルが「独り負け」で苦しむ元凶
任天堂がついに動いた パルワールド訴訟の焦点
らしくないモード服で勝負 青山商事の「秋冬戦線」


連載
|経済を見る眼|「低空域経済圏」の覇権争いが始まった|井上達彦
|ニュースの核心|石破首相は早期の日中首脳会談を|西村豪太
|トップに直撃|NTT 社長 島田 明
|フォーカス政治|経済安保を叫んでいればいいのか|軽部謙介
|マネー潮流|自然災害対応、もう放置は許されぬ|中空麻奈
|中国動態|経済失速が強める中国の不穏な空気|吉岡桂子
|財新 Opinion &News|中国で進む高齢化、 60歳以上が人口の2割超に
|グローバル・アイ|戦争と気候変動、悪化する「子どもの教育危機」|ゴードン・ブラウン
|FROM The New York Times|アマゾンが週5出社を義務化 トップの焦りと社員らの憤懣
|少数異見|イーロン・マスク氏が抱く恐怖
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法76 |佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|個人の異質性を取り入れたマクロ経済学の現在地|北尾早霧
|話題の本|『サステナビリティの経済哲学』著者 松島 斉氏に聞く ほか
|名著は知っている|『存在の彼方へ』[第三回]
|社会に斬り込む骨太シネマ|『私は憎まない』
|西野智彦の金融秘録 [新連載]大平・前川会談の全貌①
|次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2024年10月12日号」(10月7日発売)に、以下の誤りがありました。訂正してお詫び致します。
 
50ページ ■米国のエネルギー情勢の記事

LNGプロジェクト(既許可分の未稼働プロジェクト)の記述
【誤】現在、稼働しているプロジェクトの3倍超に相当する約3.5億トン
 ↓
【正】現在、稼働しているプロジェクトの2倍に相当する約2億トン