週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年3月22日号
2025年3月17日 発売
定価 950円(税込)
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【第1特集】コンサル界の「新盟主」 進撃のアクセンチュア

総合コンサルティング企業の巨人、アクセンチュアの成長が止まりません。戦略からITまで横断的に顧客を囲い込み、売上高・人員ともに拡大中です。その勢いに死角はないのでしょうか。本特集では多角的な分析や、2015年から日本法人を率いる江川昌史社長へのインタビューなどを通じてアクセンチュアの全貌に迫ります。また、高年収で最難関大学の学生が最も就職したいコンサル業界の最新事情や、現役コンサル社員による覆面座談会などもお伝えします。
 

【第2特集】米国の不条理に翻弄 日鉄の試練


日本を代表する製造業企業・日本製鉄が試練を迎えている。米国のバイデン前大統領によって禁止命令が出されたUSスチール買収計画は、2月、トランプ大統領と石破首相による日米首脳会談で「買収ではなく多額の投資」への軌道修正が促された。だが、日鉄は「買収」の旗を降ろしていない。日米をまたぐ買収劇は、どこへ向かうのか――。

担当記者より

「コンサル新盟主 進撃のアクセンチュア」の特集と担当した大野和幸です。

コンサルティング業界はこの30年間、最も地位が上がった業界だと思います。私が学生のころは都市銀行が人気ナンバー1でしたが、いつしかそれが外資系の投資銀行などに代わり、今ではコンサル会社に変わったという印象です。と同時に人材の流動化も進み、同じコンサル会社に何年もいないというのも、ここ数年のトレンドでしょうか。

コンサルが華やかな業界というのはイメージ通りです。今回、覆面座談会で何人かのコンサルタントに取材しましたが、30代前半で年収2000万~3000万円もらっている人や、港区・湾岸のタワーマンションから近くの職場に通っている人もいました。稼いでいるのは確かなようです。

ただし、華やかさだけではありません。コンサルもクライアントあっての商売。クライアントは自社で解決できないからこそコンサルに頼るのですが、そういうJTC(日本的伝統企業)はそもそも保身的であり、外からコンサルが助言しても、簡単に理解してもらえるわけではないのです。耳の痛いところを突きながらも、どう相手を怒らせず納得させられるか━━。この辺の落としどころを素早く考え、実行できる人こそ、優秀なコンサルのような気がします。

とはいえ、「戦略案件」はそれで済むにせよ、デジタル的に効果が数字ではっきりできる「IT案件」は、そんな簡単では済まないようです。途中でバグが出るなど開発が思うように進まなくなれば、開発期間も延びて、金額(=クライアントから見ればコスト)に跳ね返ってきます。クライアント側のシステム部門の方も、コンサルに丸投げして非協力的であったりする場合もあるようです。

今号では、コンサル業界トップのアクセンチュアを中心に、コンサル他社の動向を含めた、最新の業界動向を体系的・網羅的に取り上げました。ぜひ手にとってご覧ください。

担当記者:大野 和幸(おおの かずゆき)
ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
コンサル界の「新盟主」  進撃のアクセンチュア
[図解]コンサルで突出するアクセンチュア
■コンサルティング業界カオスマップ2024
■データで見るアクセンチュアのすべて

第1章
アクセンチュアの新たな金脈

さらば、レガシーシステム 進化するITコンサルの雄
「2025年の崖」後に訪れる コンサルプロジェクトの転機
経営陣の「相棒」は生成AI デジタルツインを武器に企業の意思決定を変える
アクセンチュアvs.日本通運 システム開発失敗、問われる争点は何か
ソングはデジタルマーケの集積地/プロジェクト・プライドの奮闘
新興企業で根を張るOB・OG 光るアクセンチュアネットワーク
[インタビュー]アイスタイル 代表取締役会長CEO 吉松徹郎/ギフティ 代表取締役 太田 睦
[トップインタビュー]アクセンチュア 社長CEO 江川昌史 「勝てる仕組みをつくれば敵はいない」
アクセンチュア新経営陣 盤石な江川体制の次を占う
[インタビュー]ベイヒルズ 代表取締役、アクセンチュア 前社長 程 近智
[覆面座談会]コンサル会社は「天国か地獄か?」

第2章
アクセンチュア「1強」は永遠か

非監査のコンサル強化に懸命 ビッグ4、最新序列に変化も
[インタビュー] EYストラテジー・アンド・コンサルティング 社長 近藤 聡
地方経済の課題解決へと走る 岡山に見る地銀コンサルの「本気」
日系コンサルも台風の目 ベイカレントの爆走、ベイカレクローンの台頭
アクセンチュアの“領空侵犯”に危機感 商社、広告、Slerの猛反攻
 伊藤忠商事は「群戦略」で対抗/電通・博報堂  両雄が仕掛ける/富士通、コンサル1万人への壁

第3章
コンサル黄金時代の“賞味期限”

平均年収&新卒注目企業ランキング 高年収で東大生にも人気
ポストコンサルのキャリア コンサル人材が目指すPEファンドへの転身
PEファンド各社が続々と採用拡大 ベインの買収部隊に集まる面々
コンサル卒業後の新・ルート図 商社やファンド、起業もあり

第2特集
米国の不条理に翻弄 日鉄の試練
[インタビュー]日本総合研究所国際戦略研究所 特別顧問 田中 均
経済合理性だけでは片付かない 日米関係の現実
企業の自力再生の芽を奪う USスチールを「ゾンビ化」させた歪んだ鉄鋼保護政策の歴史

NEWS & TOPICS最前線
トランプ関税の脅しに 翻弄される自動車産業
金融業界で波紋を呼ぶ 日本郵政のゆうちょ株売却
毛先モフモフの歯ブラシ 「モフらし」ヒットの理由


連載
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|ニュースの核心|原発事故「除去土壌」の再生利用は問題が多すぎる|岡田広行
|トップに直撃|PwCコンサルティング 代表執行役CEO 安井正樹
|フォーカス政治|決戦の参院選で問われる党の旗と軸|塩田 潮
|マネー潮流|金相場「トランプ旋風」の賞味期限|高井裕之
|中国動態|「新経済」期待、成長につながるか|福本智之
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|少数異見|トランプ流の発想法をあえて擁護する
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法 96|佐藤 優
|経済学者が読み解く現代社会のリアル|医療費負担の未来を考える 「高額療養費改革案」の教訓|安藤道人
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