週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年8月9日・16日合併号
2025年8月4日 発売
定価 950円(税込)
JAN:4910201330850

【特集】知らないと損する相続


インフレで不動産価格が高騰したことによって、10人に1人が相続税の課税対象になっています。また処分に費用がかかる「負動産」や、家族間で「争族」となるケースも少なくありません。そうした問題を回避するためには、事前に戦略を立てることが重要となります。本特集では、相続税の基本から生前贈与、事業承継、遺言の書き方、「実家信託」まで相続のあらゆるノウハウを網羅。さらに富裕層相続の実態や、税務調査の最前線なども紹介していきます。

担当記者より

特集『知らないと損する相続』を担当した森創一郎です。

いきなり私事で恐縮ですが、4月に母が亡くなり、まさに相続は自分事となりました(あるいは、だからこそ回ってきた特集なのかもしれません)。特集制作と同時に遺産分割の話し合いも進めましたが、痛感したのは、やはり家族のコミュニケーションが何よりも大事だということ。逐一弟と連絡を取り合い、自分の考えをつまびらかにして意見を聞きながら話を進めました。いまのところ円満に進んでいます。

そして、特集でも触れていますが、話す相手の気持ちになって考えてみること。ご多分に漏れず、父は自分の死後のことについての話題を嫌がりました。息子の立場からすれば、「なぜ、ちゃんと意思を示してくれないのだろう」と思いますが、本人としては死後のことなど、怖くて考えたくないのかもしれません。

そして自分が当事者になってわかったのは、相続税の基本中の基本だけでも理解できれば、いろんな話が進めやすくなるということです。基礎控除や配偶者控除、基本的な税率を押えておくだけで、家族の話し合いは順調に進みます。配偶者控除の額を知った父が安堵した様子を見て、こちらもほっとしました。

本特集では、そんなイロハのイから、企業経営者が頭を悩ます事業承継や節税方法、贈与課税の賢い使い方まで、相続の不安を解消する全ノウハウを掲載しました。もちろん「全ノウハウ」といっても雑誌ですから、専門書のように細部まで網羅できるわけではありません。が、相続で困ることやその解消法、贈与で心がけておくと良いことのツボは網羅的にご紹介したつもりです。

もとより相続税は複雑ですから、費用はかかっても税理士を頼ったほうが間違いはありません。ただ、その税理士選びも重要なポイントになります。

本特集で必要な知識を身につけていただき、いざ、相続に望んでほしいと思います。

担当記者:森 創一郎(もり そういちろう)
東洋経済 記者 『週刊東洋経済』副編集長

週刊東洋経済とは

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『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

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約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

特集
知らないと損する 相続
[マンガ]主要都市で不動産価格が上昇中 あなたも相続税課税対象に

Part1
相続・贈与編

10人に1人が相続税対象 迫り来る「大相続時代」の現実
2700人アンケートで浮かぶ深刻事情
制度改正で精算課税が急伸! 贈与課税の賢い使い分け
地価高騰で注目 不動産小口化商品の活用術
税務署はそこまでやるか! ひとごとでない税務調査の来襲
持ち株会社つくって「株特外し」 富裕層相続のリアル
[インタビュー]「『勘定より感情』が重要」 税理士法人レガシィ代表社員税理士・公認会計士 天野大輔
ポイントは利益と資産を減らすこと お得な事業承継6カ条
「伝家の宝刀」総則6項めぐる 国税 vs. 富裕層のバトル

Part2
争族編

最新版「争族」のリアル もめる相続の回避術
終活渋る親にはこう切り出す うまくいく遺言、エンディングノートの書き方
「負動産」処分には多額のコスト 相続放棄の思わぬ落とし穴
「負動産」ビジネスは無法地帯 相続不動産の天国と地獄

Part3
準備編

親が認知症になる前に 「実家信託」の上手な活用法
これだけ押さえればOK 相続の流れを把握しよう
5つのステップで計算 相続税の計算にチャレンジ
教育、結婚資金に生命保険… 生前贈与の特例を活用しよう
こんな税理士に気をつけろ 失敗しない税理士選び5カ条

NEWS & TOPICS最前線
最悪の事態は回避したが 自動車関税15%に残る不安
再上場申請のSBI新生銀 関係者が気をもむ公開価格
キユーピーが育児食撤退 市場拡大でも苦渋の決断


連載
|経済を見る眼|単純ではないトランプ関税の経済的影響|小峰隆夫
|ニュースの核心|トランプ「貿易赤字は悪」の真実とウソを見抜け|野村明弘
|トップに直撃|味の素 社長 中村茂雄
|フォーカス政治|自民総裁選は他党巻き込む大政局か|飯尾 潤
|マネー潮流|日米譲歩で合意も関税問題終わらず|木内登英
|中国動態|過剰生産解消へ「反内巻き」運動|福本智之
|財新 Opinion&News|中国人の海外旅行「タイ離れ」と「日本人気」
|グローバル・アイ|大学ランキングが示す米国の停滞と中国の躍進|李 鍾和
|FROM The New York Times|エヌビディアが勝ち取った対中輸出規制の「一転解除」
|少数異見|日本国憲法での二院制はなぜ?
|ヤバい会社烈伝|保阪正康と近現代日本 ビジネスは戦争だ 全員玉砕せよ!|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法 114|佐藤 優
|経済学者が読み解く現代社会のリアル|都市はよそ者に優しい? 移民の社会的統合を考える|佐藤泰裕
|話題の本|『ボツ  『少年ジャンプ』伝説の編集長の“嫌われる”仕事術』著者 鳥嶋和彦氏に聞く ほか
|名著は知っている|『ヒルビリー・エレジー』[上編]
|西野智彦の金融秘録|銀行行政が変わった日⑥
|21世紀の証言|連合前会長 神津里季生 その1
|編集部から|
|次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 10/27(月) 週刊東洋経済 2025年11月1日号