週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年9月6日号
2025年9月1日 発売
定価 950円(税込)
JAN:4910201310951

【第1特集】どうする! ホンダ

2040年に世界で売る新車をすべてEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)にする「脱エンジン」を掲げていたホンダ。しかし、ここ数年で市場環境は激変。当初もくろんでいた、EVを通じた‟第2の創業”に黄色信号が灯っています。本特集では、もがく業界の異端児の全体像を追います。三部敏宏社長の4ページインタビューをはじめ、内部資料で判明した「脱エンジン計画」の見直しの動き、米国、中国市場の戦略、ソニーなどとの提携戦略など、ホンダの足元の動きと今後を解き明かします。
 

【第2特集】日の丸医療機器の正念場


キヤノン、富士フイルム、オリンパスは、世界市場に打って出る。

担当記者より

第1特集「どうする!ホンダ」の編集を担当した西澤です。

2006年に当社へ入社した私の振り出しは、自動車担当の記者でした。企業や産業を見る視点、取材の進め方、記事の書き方。自動車取材を通じてこうした仕事の基礎を身につけました。

当時学んだ自動車経営を捉える枠組みは「車種」「地域」「提携」「人事」です。今回の特集では、この基本的な枠組みに沿って業界の異端児ホンダを深掘りしました。

車種戦略では、ホンダが掲げる2040年「脱エンジン」計画が、市場環境の激変で軌道修正を迫られている様を、東洋経済が独自入手した内部資料をもとに詳報しています。提携戦略では、経営統合交渉が破談した日産自動車・三菱自動車と、再接近の動きがあることを報じています。

地域戦略では、中国ではこの5年で販売台数が半減する非常事態に陥った背景、北米では水面下に進む大増産計画をレポートしました。インドでは現地取材を敢行し、2輪事業の強さの秘密を探りました。人事では「ナンバー2」辞任で揺らぐ経営体制や、26年度に「社長任期」が迫る中での次期社長レースの行方を追っています。

――こうして書くと簡潔にまとまりますが、実際にはたいへんな労力を要しました。経営戦略や人事の本音は、粘り強い取材の積み重ねなしには見えてこないからです。

一流の記者は王道のテーマに挑み、二流は変わり種に走る。王道の取材を担う記者を擁し、このような特集を社会に発信しつづけることこそが、本誌の存在意義であると私は信じています。

ぜひ手に取ってご覧ください!

担当記者:西澤 佑介(にしざわ ゆうすけ)
1981年生まれ。2006年大阪大学大学院経済学研究科卒、東洋経済新報社入社。自動車、電機、商社、不動産などの業界担当記者、19年10月『会社四季報 業界地図』編集長、22年10月より『週刊東洋経済』副編集長

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
逆風の「脱エンジン」戦略
どうする! ホンダ


車種戦略
内部資料に記された急旋回 2040年「脱エンジン」計画の異変
2026年投入、社運懸けたEV 新「ゼロ」に生じた異変

提携戦略
待ったなしのパートナー選び 「非トヨタ連合」が焦点
3車種を投入予定、2026年から納車 ソニー・ホンダ合弁の期待と不安
[トップインタビュー]独占取材で語った胸中 ホンダをどうする? 本田技研工業 社長 三部敏宏

ガバナンス
三部社長は来期最終コーナー? 揺らぐ三部体制、焦点は次期社長
[インタビュー]「三部社長から言われた。『ブレーキを踏んでほしい』」 本田技研工業  取締役常務 藤村英司
部品メーカー政策 波紋を広げた14項目の提言 「短く軽い」購買改革の激震

地域戦略
中国 自信の新型EVも大苦戦 5年で半減の非常事態
北米 頼みの綱はハイブリッド? トランプ政権下で戦略を大転換
インド現地で見た! 2輪事業 進化する“横綱”

N-BOX快進撃の副作用 大再編と商品強化 国内事業の二刀流
[インタビュー]自動車アナリストが語る ホンダの実力と生き残り策
 「EVの赤字縮小と第4世代投入がカギ」 ナカニシ自動車産業リサーチ 中西孝樹
 「EV失速を反撃の好機に」 ゴールドマン・サックス証券 湯澤康太
4輪車メーカーでなくなる日も来る? ロボット、ロケット… 「ホンダイズム」の現在地

第2特集
日の丸医療機器の正念場
進撃の富士フイルム メディカル1兆円への野望
オリンパス混乱の果て 新社長が挑む“2つの難題”
[インタビュー]「医療企業の文化を根付かせる」 オリンパス会長 竹内康雄
GE シーメンス フィリップス 欧米勢“ビッグ3”の高い壁
[インタビュー]テルモが描く勝ち筋 「目指すは売上高で世界トップ10」 テルモ社長CEO 鮫島 光

NEWS & TOPICS最前線
コカ・コーラが再び大赤字 仕切り直しの自販機事業
東洋エンジの株価が急騰 「レアアース銘柄」の現実
「鬼滅コラボ」絶好調でも 伊藤ハムを待ち受ける難題


連載
|経済を見る眼|労働市場は「暑さ対策」に柔軟に対応を|太田聰一
|ニュースの核心|終戦80年の反省は、ラピダスに生かされているか|山田雄大
|トップに直撃|近鉄百貨店 社長 梶間隆弘
|フォーカス政治|石破首相、政権延命の賭けの帰趨は|塩田 潮
|マネー潮流|未来見据え、外国人と協働・共生を|中空麻奈
|中国動態|習近平政権が企画した連続劇の意図|益尾知佐子
|財新|中国版「ロボタクシー」国外で躍進の実態
|グローバル・アイ|FRBは利下げ以上に深い問題を抱えている|グレン・ハバード
|Inside USA|セレブも次々脱出、国民が去っていく米国の今|瀧口範子
|少数異見|AIの寵児、エヌビディアへの期待と不安
|ゴルフざんまい|私にとって憧れの“ドリーム4サム”|佐藤信人
|ヤバい会社烈伝|タマホーム サンクスコイン 社長がおねだり!|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法 117|佐藤 優
|話題の本|『僕たちは言葉について何も知らない 孤独、誤解、もどかしさの言語学』著者 小野純一氏に聞く ほか
|名著は知っている|『とてつもない特権』[上編]
|西野智彦の金融秘録|「プラザ」から「バブル」へ②
|21世紀の証言|連合前会長 神津里季生 その4
|編集部から|
|次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 11/4(火) 週刊東洋経済 2025年11月8日号
  • 10/27(月) 週刊東洋経済 2025年11月1日号